Mind in Sound

生態系を聴取する - 環境にむかうサウンド・アート

会期/開館時間

2009年2月21日 − 3月10日
10:00 - 20:00

入場料

一般:400300円  学生:300200

  • は前売料金/チケットぴあ
  • 再入場可
  • 高校生以下無料
  • アルティアムカード会員無料

Paphio in My Life2007Mamoru Fujieda + Yuji Dogane

自然環境をテーマにしたサウンド・アーティストたち

植物、生物、大気、大地・・・我々を取り囲む環境について、サウンド・アーティストたちが行ってきたラディカルな実践は、私たちの環境への意識を変える力をもっています。植物の生理現象、空気の流れ、生物の交信など、私たちの知覚の領域を超えた音響テクスチャーの渦を、彼らは様々な技術や手法を用いて聴取が可能な響きへと転化してきました。メタファーとして環境をマッピングしているそれらの響きは、生態系に内在する自律的な意識、空気や水の循環による地球の息吹、土地に綴られた時の流れを雄弁に物語ります。これらの音に内包されたメッセージを聴くことは、環境の知性を理解し、その知性との交信が可能であることを実感させてくれるでしょう。

響きに内在する知性の聴取は、環境を意識する上で「mind-精神」という概念の必要性を示唆しています。「mind-精神」はグレゴリー・ベイトソンの用語であり、次のように説明しています。
「われわれ個々の精神は、内在的なものだが、ただ身体の中にあるだけではありません。それは身体の外側のさまざまな経路やメッセージのなかにも内在しています。(中略)この精神は、あくまでも相互につながりあった全社会システムと地球の生態系に内在するものなのです。」

サウンド・アーティストたちが実践する環境との交信が、われわれと環境との関係性に与える「mind-精神」という文脈。環境と人間とを分けて考えるのではなく、社会システムを含めた大きな枠組みで環境を意識することは、今後われわれが環境を認識するために重要な視座となるでしょう。環境への意識を変えるきっかけを、サウンド・アーティストたちの実践を通して提示したいと考えています。

旧ウェブサイトブログでのレポート記事

作家紹介

藤枝守
1955年生まれ。作曲家/九州大学大学院芸術工学研究院教授
カリフォルニア大学サンディエゴ校音楽学部博士課程修了。博士号Ph.D.in Musicを取得。純正調によるあらたな音律の方向を模索しながら、植物の生体情報である電位変化のデータに基づく植物文様という作曲シリーズを展開。最新のCDに《クラヴィコードの植物文様》MAMや《Patterns of Plants Ⅱ》TZADIKなど。著書に〔増補〕響きの考古学平凡社ライブラリー響きの生態系フィルムアート社がある。最近では、NTTインターコミュニケーションセンターや金沢21世紀美術館などでサウンド・インスタレーションを行っている。
今年2月に放映予定のNHK爆笑問題 ニッポンの教養に出演。また、3月28日に住吉神社・能楽殿にてクラヴィコードの植物文様を開催予定。

銅金裕司
1957年生まれ。アーティスト/東京芸術大学美術学部先端芸術表現科非常勤講師
海洋学を修めた後、園芸学に転向。ランの研究と営農指導に携わりながら、91年に植物と環境の生理を音で解読、表現するプラントロンプロジェクトを開始。学術的に新しい試みに挑戦しつつ、美術館、ギャラリーなどで作品展示、ワークショップを多数行う。学術博士植物生理学、園芸学、工学修士海洋学

World Aeolian Harp Project
九州大学大学院の藤枝研究室を拠点としたプロジェクト。杉山紘一郎1980年生まれ、渡辺融1982年生まれたちによって実践されている。様々な場所にエオリアン・ハープを設置することによって、その環境がもつ特異なかたちや変容を浮かび上がらせる試みを続けている。2008年には天神パークビル福岡市屋上でのAeolian Harp Gardenのインスタレーションや、金沢21世紀美術館での藤枝守の《エオリアン・ハープ・リザウンディング》の設置を行った。

ロス・バンド
アーティスト/作曲家/キュレーター
オーストラリアのサウンド・アートに関して、アーティストや研究のデータベース等を制作している。オーストラリアン・サウンド・デザイン・プロジェクトのディレクターであり、自身もアーティストとして国際的に活躍し、サウンド・アート・オーストラリア賞などを受賞している。日本でも和歌山大学の招聘により、音楽作品の制作やパフォーマンスを行っている。2008年には日本で海女の磯笛をテーマに制作したCDISOBUEをリリース。

デヴィッド・ダン
1953年カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。作曲家
アメリカの作曲家ハリー・パーチのアシスタントを務めながら、10年にわたりハリー・パーチ・アンサンブルにパフォーマーとして参加。伝統音楽、実験音楽、展覧会でのインスタレーション、映像作品のサウンドトラック、ラジオ放送、生体音響学研究など、幅広い分野で活動している。現在の取り組みの多くは、美学的/科学的双方の観点からみた聴取計画と環境音観測の開発をテーマにしている。アメリカ・ニューメキシコ州サンタフェ在住。

【展示予定作品】

<Paphio in My Life>藤枝守×銅金裕司
-植物の声に耳を傾ける-
音に変換される植物の生体電位変化を植物の声とみなし、その声を聞き取りうることでわれわれと植物の相互的な関係を考え、人と植物が共存するなかでの連鎖を感覚的にとらえ直すことによって、生きているという意味をあらためてといかけようとする。藤枝守と銅金裕司のコラボレーションによるサウンド・インスタレーション。

<エオリアン・ハープ・リザウンディング>藤枝守×ワールド・エオリアン・ハープ・プロジェクト
-屋上を吹き抜ける風がハープをかき鳴らす-
エオリアン・ハープ・リザウンディング藤枝守/金沢21世紀美術館金沢アートプラットホーム2008にて
ある環境のなかのリアルタイムの変容をなんらかの構造物に響かせる藤枝守の《リザウンディング》のシリーズ。今回は、ワールド・エオリアン・ハープ・プロジェクトとのコラボレーションにより、ギャラリーのあるイムズビルの屋上に設置されたエオリアン・ハープによって、博多湾から市街地に向けて吹き抜ける屋上の風の変容が、ギャラリーのガラス面や鉄骨などを響かせる試み。

※エオリアン・ハープ:弦に風が当たって生まれるカルマン渦と呼ばれる渦が弦と共振することで音が鳴る楽器

<珪藻土の声>藤枝守
-土の中にある響きを聴く-
豊かな音響世界が内包された珪藻土の響きを聴くインスタレーション。
珪藻土の塊を水に沈めることによって、その内部に織り込まれた多孔性の空洞に水が浸透し、内部の空気がはき出され、微細な響きのパターンが生まれる。この珪藻土の息ともいえる響きのパターンは、時間的な推移のなかに顕在化した珪藻土の多孔空間の変容だといえる。

<Mungo>Ros Bandt
オーストラリアの“Mugo”に設置されたロス・バンドのエオリアン・ハープ
-風の音色が導くドリーム・タイム-
乾いた塩湖“Mungo”にエオリアン・ハープを設置した同名作品をもとにしたインスタレーション。4万年前、アボリジニにとって重要な場であったその土地で風が奏でるエオリアン・ハープの音は、聴くものをアボリジニのドリーム・タイムへとリンクさせる響きだった。本展では、音や映像、カンガルーの骨、赤い聖なる砂などを用いて、新たにインスタレーションとして表現する。

8つのオーディオ作品/David Dunn
-先鋭的アーティストによる驚異の音響世界-
様々なカスタム・メイド・マイクロフォンを使用し、水中やアリの巣の奥、木の樹皮の中など、あらゆる環境の音を録音しているサウンド・アーティスト、デヴィッド・ダンによる8つのオーディオ作品。通常は聞こえない音の世界を現出させてくれる作品の数々は、拡張された聴覚が様々な環境へアプローチを続けた類まれなる実践の結果である。

お問い合わせ

三菱地所アルティアムイムズ8F
〒810-0001 福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8Fアクセスはこちら
TEL. 092-733-205010:00 - 20:00 / E-Mail

主催等

主催:三菱地所、三菱地所アルティアム、西日本新聞社
協力:太成工業株式会社、日本ダイアコム工業株式会社
制作協力:マイルストーン・アートワークス、九州大学藤枝研究室
後援:福岡市、福岡市教育委員会、福岡市文化芸術振興財団

開催中

2019/11/16 − 12/15  |  10:00-20:00  

氷室友里のテキスタイル展

TEXTILE PLAY GROUND

次回予告

2019/12/21 − 2020/1/26  |  10:00-20:00   |  休館日 12/31、1/1

音と旅する鉱物展

九州大学総合研究博物館コレクション