本城直季 新作写真展
「ここからはじまるまち Scripted Las Vegas」
2009年6月27日(土) − 7月26日(日)
10:00 - 20:00
一般:400(300)円 学生:300(200)円
- ()は前売料金/チケットぴあ
- 再入場可
- 高校生以下無料
- アルティアムカード会員無料

(c)Naoki Honjo
ラスベガスで撮影した注目の最新作・約30点を発表!
ミニチュアのように人工的な造形物としてとらえられる風景は、都市が人によってつくられたものであることを、再認識させてくれる。見る者の幼心を揺さぶる写真の持つ魅力は、多くの人々の目を楽しませ、ファースト写真集『small planet』は、写真集としては異例の数万部にのぼるベストセラーとなった。2006年、同書で、木村伊兵衛写真賞を受賞した本城直季は、その後も、4×5カメラによるあおり (フィルムに対してレンズの角度をずらして撮影すること)を生かした、魅力的な作品を発表しつづけている。
今回、アルティアムで展示する、「ここからはじまるまち Scripted Las Vegas」では、ここ数年来、ケニアやハワイなどで取り組んでいる、ヘリコプターからの空中撮影によって生まれた。あおりの効果はより高い場所で発揮されるため行き着いたのが空中撮影だったのである。
1936年に完成した、ラスベガス東南35kmに位置する巨大なフーバー・ダムから供給される水は、アメリカの都市開発の源流である。このダムの水は、砂漠を通過し、街の中心部を囲い込む整然と区画整理された住宅地を潤して、ラスベガスの賑わいをささえている。ある意味で、アメリカの象徴的な開発スタイルを遂げた街づくりの過程を、本城は、ヘリの上で辿り、俯瞰の風景を撮りおろしたのである。
広大な自然と、華やかな街づくり、そこで働く人々の居住地。それぞれの明快な境界線を描くラスベガスは、本城の視覚を得ることによって、壮大な街づくりの全容を現し、リアルなライヴ感をあふれさせる。
【展覧会によせて】
都市はどのように構成されているのか? ラスベガスは、この問いについてとてもわかりやすく答えてくれる都市である。中心地、商業地、住宅地、郊外、道路、工場、エネルギー施設など、都市を形づくる構成要素がシンプルに露出しているからだ。1930年代に建設された「フーバーダム」の出現により、ここラスベガスは大きく変貌した。 その巨大なダムから伸びる一本の道をたどって、山間からゆっくり下っ ていくと郊外の住宅地へ続き、そこから様々な道が分岐し、そのうちの一本はハイウェイに繋がり、その道はさらにはカジノの街ラスベガスの 中心部へと至る。そしてそこには遊園地が接合された不思議なホテルがあり、いまなお乾いた土地の上で建設中の高層ビルが競って建てられている。こうしたランドスケープの連続から、今後の経済と都市の関係というか、とりわけ世界の経済都市が、どこへいこうとしているのかが見えてくるような気がする。
本城直季
本城直季
1978年東京生まれ。
東京工芸大学大学院芸術研究科メディアアート修了。
4×5の大判カメラを使用して、人物や建造物をミニチュアのように撮影する独特の表現スタイルを確立する。
作品集『small planet』(リトルモア刊)で第32回「木村伊兵衛写真賞」を受賞。作品はニューヨークのメトロポリタン美術館をはじめパーマネントコレクションとして収蔵される。
近年はロンドンやニューヨークマイアミやハワイそしてパリなどの諸都市で
ヘリコプーをチャーターし、作品制作のため空撮を続けている。また、広告的な作業においては、東京電力のテレビCF用ムービーを撮影したり横浜銀行の交通広告ではポートレイトを撮影したりと、いつも新しい課題に挑戦し続けている。