みえないものとの対話:
Dialogue with Something Invisible
2015年10月10日(土) − 11月8日(日)
10:00 - 20:00
休館日 10月20日(火)
一般:400(300)円 学生:300(200)円
- ()は前売料金/チケットぴあ
- 再入場可
- 高校生以下、障がい者等とその介護者1名は無料
- アルティアムカード会員・三菱地所グループCARD(イムズカード)会員無料

久門剛史 《after that.》 青森国際芸術センター[ACAC] 2013年
ポリカーボネートミラー、アクリル、時計、マンガン電池、LEDスポットライト
プログラミングやwebサービスを用いて制作を行う、1980年代生まれの若手作家たち
三菱地所アルティアムでは、気鋭の若手作家を取り上げて紹介する企画展を開催します。本展で取り上げる作家は全員1980年代生まれで、プログラミングやwebサービスを用いて作品制作を行っています。音や光を組み立てることで、非日常の異空間を出現させる久門剛史。ネットアートの旗手でweb上で作品を発表するラファエル・ローゼンダール。iPadやiPhoneなどをモチーフに使用し、コンピューターによって作られた虚構と現実から、関係性の違和感を炙り出す谷口暁彦。webサービスや3Dプリンタを用いて、コンセプチュアルな作品を生み出す渡邉朋也。それぞれに表現手段が異なりますが、共通しているのはプログラミングなどを駆使しながらも、「水」や「風」といった自然現象、あるいは記憶といった予測不可能さを作品に取り込み、昇華させる詩的な感性にあります。
現代、私たちは日常に溶け込む様々なサービスや情報端末機器、インターネットなど高度に発達したテクノロジーと膨大な情報に取り囲まれて生活しています。しかし、どんなに社会が変化したとしても中心には人間があり、自然があり、もやのような曖昧さがあります。同時にユーモアや意識の底に眠る記憶、矛盾や第六感といったものも人間に備わった普遍的で根源的な感覚と言えるでしょう。いつの時代も人は“みえないなにか”に思いを巡らせ、表現活動の起点としてきました。今の時代を生きる作家たちが見つめる“みえないなにか”とは一体何なのでしょうか。彼らの作品は私たちの常識をときほぐし、新たな視点で世界を眺めることを教えてくれるに違いありません。本展により鑑賞者がそれぞれに想像し、思考する場となれば幸いです。
4名の参加作家と作品の魅力について
久門 剛史は、サンプリングされた音と光、現象を用いて非日常の劇場的な空間を出現させるアーティストです。2002年に結成されたアーティストグループのSHINCHIKAにサウンド担当として参加し、作家としてのキャリアをスタート。近年は精力的に個人での作品発表を行っており、今年11月には「日産アートアワード2015」の展覧会を控えるなど注目を集めています。本展では無数の時計を使った作品《after that.》と突如音が鳴り響いたり、電球が点滅したりと様々に変化する神秘的なインスタレーション《Quantize》を九州で初めて展示します。
ラファエル・ローゼンダールはインターネットのドメイン名で作品を販売し、発表しています。購入された作品は、世界中の誰もが24時間鑑賞可能で、アートの所有性と公共性、開かれたアートの在り方を追求しています。本展はインスタレーションとして《looking at something.com》を展開。鑑賞者が作品に働きかけると、画面上の雨の強弱を変化させたり、晴天にできたりするインタラクティブな作品です。コンピューターによる自然を、鑑賞者はまるで神話の神のように操作することができます。
谷口 暁彦は作品《思い過ごすものたち》の連作を発表します。この作品は、日用品とiPadやiPhoneなどを組み合わせた彫刻作品の連作で、もはや現代人にとって身近にあって当たり前の情報端末機器と人間との関係を見つめ直した作品です。扇風機の風に揺れるiPadの画面に風で揺れるティッシュペーパーの映像が流れたり、iPadに水が流れることでアプリケーション機能のメモ帳に文字が時折入力されたりする現象をコンピューターによって作り出しています。コンピューターの生む虚構と現実とが曖昧になった一瞬、私たちの日常へのまなざしが揺るがされることでしょう。
また渡邉 朋也は、webサービスや3Dプリンタを用いて、批評的かつユーモア溢れる作品を生み出してきました。今年6月に「マテリアライジング展Ⅲ」で発表された作品《荒んだ生活を極力なおそう》では、紛失した割り箸の片方を3Dプリンタで復元するユニークな作品で注目を集めています。本展では商業施設のイムズビル館内にて新作を展開します。
【各作家プロフィール】
久門 剛史/Tsuyoshi Hisakado(1981-)
京都生まれ、京都在住。京都市立芸術大学大学院修了。様々な現象や歴史を採取し、音や光、立体を用いて個々の記憶や物語と再会させる劇場的空間を創出している。近年の主な展覧会に「still moving」(元・崇仁小学校/京都/2015)、「現代における信仰とは?『私の神さま|あなたの神さま』」(成安造形大学/滋賀/2014)、「Quantize」(オオタファインアーツ/東京/2014)、「Exchange – 種を植える-」(国際芸術センター青森[ACAC]/2013)、「shiseido artegg 久門剛史展」(資生堂ギャラリー/東京/2013)など。2002 年よりアーティストグループSHINCHIKA にサウンド担当として参加。平成27年度京都市芸術文化特別奨励者(2015)。
http://tsuyoshihisakado.com
ラファエル・ローゼンダール/Rafaël Rozendaal(1980-)
オランダ生まれ、ニューヨーク在住。ブラジルの大統領だった曽祖父、画家の父、ファッション・ジャーナリストの母のもとに生まれる。インターネットをメディウムとして、ウェブサイト、インスタレーション、レンチキュラー、ファブリックへと展開。ソロプロジェクトとしてニューヨークでの「Midnight Moment, Much Better Than This」(Times Square| 2015)が 話題に。日本では「セカイがハンテンし、テイク」(川崎市市民ミュージアム | 2013)などに参加。
http://www.newrafael.com
谷口 暁彦/Akihiko Taniguchi(1983-)
埼玉生まれ、関東在住。多摩美術大学大学院修了。自作のデヴァイスやソフトウェアを用い、メディア・アート、ネット・アート、ライヴ・パフォーマンス、映像、彫刻作品など、さまざまな形態で作品を制作、発表している。渡邉 朋也とともに、メディア・アートという芸術表現について思索と実践を行なうユニット、思い出横丁情報科学芸術アカデミーとしても活動中。近年の主な展覧会に「[インターネットアート これから]―ポスト・インターネットのリアリティ」(ICC/東京/2012)、「思い過ごすものたち」(飯田橋文明/東京/2013)、「オープン・スペース2014」(ICC/東京/2014)など。
http://okikata.org
渡邉 朋也/Tomoya Watanabe(1984-)
東京生まれ、山口県在住。多摩美術大学卒業。コンピューターやテレビジョン、インターネットといったメディア技術をベースに、パフォーマンス、インスタレーション、映像作品、ダジャレなどを制作する。近年の主な展覧会に「scopic measure #07」(山口情報芸術センター/2008)、「transmediale 2014」(Haus der Kulturen der Welt/ベルリン/2014)、「光るグラフィック展」(クリエイションギャラリーG8/東京/ 2014)、「Affekte」(Kunstpalais Erlangen/エアランゲン/2014)、「マテリアライジング展Ⅱ」(東京藝大大学美術館/東京/2014)など。
http://watanabetomoya.com