最果タヒ展
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。
2020年8月8日(土) − 9月27日(日)
10:00 - 20:00
会期中休館日なし
一般:400(300)円 学生:300(200)円
- ミニ本付き特別チケット:一般1,400(1,300)円、学生1,300(1,200)円
- ( )は前売料金(チケットぴあ 992-791) ※当面の間、団体入場割引きはいたしません。
- 再入場可
- 高校生以下、障がい者等とその介護者1名は無料
- アルティアムカード会員・三菱地所グループCARD(イムズカード)会員無料
- 会場内の混雑・密集を避けるため人数制限をおこなうことがございます。
- 状況により変更・中止する場合がございます。

本展メインビジュアル
数々の新しい詩の運動をまきおこしてきた現代詩人・最果タヒによる言葉を体験するインスタレーション!
スマートフォンで詩を書き、現代の感情を繊細かつ鋭く表現する最果タヒの作品発表の場は、本はもちろん、インターネット上にもとどまりません。今回は「詩の展示」。読者が会場を歩き回り、空間全体で言葉を体感するインスタレーションです。なかでも、天井から多数の言葉が書かれたモビールを吊るす《詩になる直前の、アルティアムは。》は重要な作品の一つ。表裏に異なる詩の断片が記された、静かに揺れ動くモノトーンの紙片はいくつもの言葉の連なりを生み出し、その偶然から詩を切り取るのは読者自身です。この展示を始め、最果タヒは書き下ろし作品を含む自らの詩を大胆に断片化し、空間いっぱいに展開させます。つまり会場にあるのは、作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う、最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たち。それらを追いかける体験を通して、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは、目が「無意識に読んでいる」感覚に気付くような、言葉との新たな出会いが生まれるでしょう。
—————-
言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。
わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、そこが痛快であるのです。
知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まることをじっとじっと待っている。
詩の展示。
言葉が、わたしを飛び越える。
それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。
最果タヒ
プロフィール
最果タヒ(Tahi Saihate) 詩人・作家
1986年生まれ。2006年、現代詩手帖賞受賞。2008年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。
エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』などがある。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百年一首という感情』刊行。2017年にルミネのクリスマスキャンペーン、2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美術館で個展開催、HOTEL SHE, KYOTOでの期間限定のコラボルーム「詩のホテル」オープンなど、幅広い活動が続く。最新刊は、翻訳小説『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/著)(金原瑞人との共訳)、絵本『ここは』(及川賢治/絵)。
公式サイト http://tahi.jp/
ミニ本付き特別チケット

本展オリジナルミニ本『6等星の詩』
本展オリジナルのミニ本『6等星の詩』(非売品)が付いた特別チケットを限定販売します。
最果タヒによる書き下ろし作品です。
前売:一般1,300円、学生1,200円(7/1〜8/7チケットぴあで販売)※販売終了しました
当日:一般1,400円、学生1,300円(8/8〜アルティアム受付で販売)※販売終了しました
※ただし、前売・当日チケットともに限定枚数販売の為、なくなり次第終了。
※チケットぴあPコード:992-791
※ミニ本の引き換えは会期中に、会場受付でおこないます。
前売券を紛失・お忘れの場合は、引き換えできません。
同時期開催

IMS SUMMER 2020 ビジュアル
イムズB2Fイムズプラザをはじめ館内各所でも最果タヒの詩のインスタレーションを展開します。
会期:2020年7月10日(金)〜8月30日(日)
入場無料
IMS SUMMER 2020