安野光雅のふしぎな絵本展

遊び×芸術×科学

九州大学芸術工学研究院連携企画

安野光雅作品に見られる、だまし絵、錯視といった表現は、美術のみならず科学・数学などの幅広い学識に下支えされています。本イベントでは、その事実を出発点に、芸術と科学を融合させた作品で国際的に活躍しているアーティスト、研究者を招き、最新の取り組みを紹介します。
安野の作品から現代の作家までをつないで見ようとする背景には、科学と芸術の境界にある創作活動を研究し、執筆・展覧会の企画、さらには後進の育成をおこなってきた坂根厳夫の存在があります。メディア表現を専門とする教育機関、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]の名誉学長である坂根は、その半世紀にわたる活動を通じて、芸術、科学、そして遊びをフラットな目線で見つめ、安野の「ふしぎな」作品たちを研究対象として度々取り上げてきました。また、安野もその盟友として坂根の代表的な著作の装幀を数多く手がけています。
この坂根の活動に直接的・間接的な恩恵を受けたアーティスト、研究者をゲストに迎える今回のイベントでは、その一人である九州大学芸術工学研究院 城一裕 准教授を聞き手に、第一線で科学と芸術の境界にある創作を担う彼らの取り組みから、芸術×科学について改めて考えます。芸術×科学の融合によって生まれる「ふしぎな」遊びは、古典的な手法であれ、新しい手法であれ、今でも変わらず鑑賞者たちを楽しませてくれます。その世界の一端をトークイベントで是非体感してみてください。

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トークイベント(1)
「遊びの博物館」展(1979年)からひもとく遊びと芸術と科学
日時:2016年7月22日(金) 18:30〜

「遊び」を芸術と科学の想像の場に繋がる発見精神の原点だと考えていた坂根厳夫さんが、安野光雅さん、そしてデザイナーの福田繁雄さんと共同企画した「遊びの博物館」展(1979年)について話します。安野さんの絵と福田さんの彫刻・グラフィックを含め、人々の好奇心や遊び心に訴える、古今東西の作品約200点を紹介したこの展覧会は、東京を皮切りに北海道から沖縄まで全国を巡回し、60万人を超える観客を動員しました。今回のトークでは、当時のカタログや書籍、いくつかの作品を見ていきながら、遊びと芸術と科学が交差する場で開花したイマジネーションについて一緒に考えてみたいと思います。

馬 定延 ま・じょんよん(研究者)
1980年韓国ソウル生まれ。韓国延世大学人文学部(英語英文学、心理学)および韓国中央大学尖端映像大学院修士課程(芸術工学)を経て、東京藝術大学大学院映像研究科博士課程(映像メディア学)を卒業。現在、日本学術振興会外国人特別研究員、国立新美術館客員研究員、韓国『月刊美術』東京通信員。多様な言語が交差するメディアアートの社会的存在意義に関心をもっている。『日本メディアアート史』(アルテスパブリッシング、2014年)著者。
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トークイベント(2)
「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」
日時:2016年8月8日(月) 18:30〜

Animated Clock

Animated Clock

今回のトークでは八木のこの表題の言葉を出発点に、古今のテクノロジーを考古学的な手法で作品として再考する意味について考えます。昨今、phono/graph(※1)や車輪の再発明プロジェクト(※2)といった活動が、同時に起こりつつあります。彼ら一部のメディアアーティストたちは、先端テクノロジーから始まる制作ではなく、身体的・感覚的な制作を通じて、メディアの意味を問いなおすという共通したテーマを持っています。その問題意識の先にあるもの/根底にある同時代性について、具体的な作品事例を取り上げながら話していきます。

※1
phono/graphは、「音・文字・グラフィック」の関係性における研究と、それを取り巻く現在の状況とを検証しながら形にすることを目的としたプロジェクト。八木の他、鈴木大義、城一裕、藤本由紀夫、ニコール・シュミット、intext、 softpadが参加している。
※2
車輪の再発明プロジェクトは、実践を通じて歴史を読み替え、ありえたかもしれない「今」をつくりだすことを目的とした、IAMAS(情報科学芸術大学院大学)でのプロジェクト。主なメンバーとして、城一裕、クワクボリョウタ、瀬川晃、松井茂が参加している。

八木 良太(アーティスト)
1980年愛媛県生まれ。京都市在住。見たいものしか見ない・聞きたいことしか聞かないといった、我々の制限的な知覚システムあるいは態度に対する批判的思考をベースに作品制作を行う。既製品を用いて作品を構成し、その現れによって人間の知覚やそれを利用した工学的システムを浮かび上がらせるような作品を発表している。音響作品をはじめとして、オブジェや映像、インスタレーションからインタラクティブな作品など、表現手法は多岐にわたる。主な個展に2016年「メタ考古学」(無人島プロダクション、東京)、2014年「サイエンス/フィクション」(神奈川県民ホールギャラリー、神奈川)など。主なグループ展に2013年「Media/Art Kitchen ­ Reality Distortion Field」(インドネシア国立美術館、キネフォーラム、ジャカルタ、インドネシア)、2011年「ヨコハマトリエンナーレ2011 OUR MAGIC HOUR」(横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、神奈川)、2008年「おおがきビエンナーレ2008 流れる live stream」(大垣市内各所、岐阜)など。 http://www.lyt.jp
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トークイベント(3)
「あたらしいTOYプロジェクト」から考える、いかに伝えるか、ということ
日時:2016年8月19日(金) 18:30〜

あたらしいTOYプロジェクト」(2016〜)は、TOY(おもちゃ)という枠組みから、アカデミズムとポピュリズムの乖離に挑むIAMAS(情報科学芸術大学院大学)のプロジェクトです。このトークでは、専門化を進めれば進めるほど人に伝わらなくなるジレンマが表れる既存のジャンルの抱える問題に対し、各々の「らしさ」や「~であるべき」にとらわれることなく、各自の興味を存分に掘り下げることを試みる本プロジェクトを題材に、「作る」「伝える」「考える」の3つの過程を循環させる新しいクリエイションのあり方を考えていきます。

クワクボリョウタ(アーティスト)
1971年生まれ。筑波大学大学院修士課程デザイン研究科総合造形/国際情報科学アカデミー卒。現在、IAMAS(情報科学芸術大学院大学)准教授/多摩美術大学情報デザイン学科非常勤講師。1998年に明和電機との共作《Bitman》を制作し、エレクトロニクスを使用した作品制作活動を開始。デジタルとアナログ、人間と機械、情報の送り手と受け手など、さまざまな境界線上で生じる事象をクローズアップする作品によって、「デバイス・アート」とも呼ばれる独自のスタイルを生み出した。2010年発表のインスタレーション「10番目の感傷(点・線・面)」以降は、観る人自身が内面で体験を紡ぎ出すような作品に着手している。ソロ活動の傍ら、パーフェクトロンの一員としても活動している。主な個展に2012年「ひかり・くうかん じっけんしつ」(NTTインターコミュニケーション・センター [ICC]、東京)など。グループ展に2015年「混浴温泉世界」(別府市内、大分)、「動きのカガク」(21_21 DESIGN SIGHT、東京)、「アート・オブ・メモリー」(北九州市美術館、福岡)など。
http://ryotakuwakubo.com

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城 一裕
1977年福島生まれ。九州大学芸術工学院准教授。山口情報芸術センター[YCAM] 専門委員(非常勤)。九州芸術工科大学(現九州大学)音響設計学科卒・同大学院修了。日本アイ・ビー・エムソフトウェア開発研究所、東京大学先端科学技術研究センター、英国ニューカッスル大学 Culture Lab、東京藝術大学芸術情報センター、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]を経て、2016年3月より現職。主な活動に、参加する音楽の実践である「The SINE WAVE ORCHESTRA」、ありえたかもしれない今をつくりだす「車輪の再発明」、音・文字・グラフィックの関係性を形にし考える「phono/graph」など。主な著書に『FABに何が可能か―「つくりながら生きる」21世紀の野生の思考』(共著、田中浩也・門田和雄編著、フィルムアート社、2013)、『音楽が終わる時: 産業/テクノロジー/言説』(共著、日本記号学会編集、新曜社、2015)

トークイベント1  日時:2016年7月22日 18:30〜
講師:馬定延ま・じょんよん/研究者

トークイベント2  日時:2016年8月8日 18:30〜
講師:八木良太アーティスト

トークイベント3  日時:2016年8月19日 18:30〜
講師:クワクボリョウタアーティスト

聞き手:城一裕九州大学芸術工学研究院准教授

会場:solid&liquid TENJINイムズ4F
いずれも各回参加費:1,000円1ドリンク付

※当日参加も可能ですが、ご予約も承っております。
三菱地所アルティアム TEL 092733-2050

【展覧会ページ】
安野光雅のふしぎな絵本展

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