From the Artists

三菱地所アルティアムは、7/14(水)開幕する展覧会を最後に2021年8月31日で閉館いたします。閉館を迎えるにあたり、これまでアルティアムに関わってくださった作家の皆さまより、コメントを頂戴しました。閉館までの期間、「From the Artists」と題し、いただいたコメントを当時の展示風景とともに紹介していきます。
これまでの展覧会を振り返ることで、皆さまのアルティアムでの記憶に思いを巡らすきっかけとなれば幸いです。そして、ここで皆さまの心に留まる作品や作家との出会いがあったのであれば、大変うれしく思います。

本企画に賛同しコメントを寄せてくださった作家の皆さまにこの場を借りて心よりお礼申し上げます。

三菱地所アルティアム

(順次追加予定)
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今は亡き九州芸工大に通っていた頃からずっと、その企画の眩しさに吸い寄せられるように通い詰めたアルティアム。「いつかここでやりたい」と密かに胸を熱くしておりました。
そんな僕にとって2014年の「大空気展」は、Dream come true の体現でした。
地方の一企業を丸ごと展示するという馬鹿げた冗談のような企画展。
こんなことを軽やかにやれてしまうアルティアムに、むしろ「もっとやれ」と背中を押されているようでした。
アルティアムは、これからも永遠に僕の中で眩しく輝き続ける存在です。

 映画監督 江口カン(KOO-KI
IMS 25th Anniversary
『大空気展~KOO-KIが作る映像と仕事~』ウソはホントで作られる。(2014)

 

2019年の夏は暑く、展覧会も熱かった。
ヘトヘトになりながら、展示をし、不思議の国のアリスの衣装を飾ったからか、不思議で楽しい森に迷い込んだ。パフォーマンスは観客を巻き込み、ワークショップではユニークないきものが沢山生まれ飛び立ち、夢のように楽しく幸せな時間を私もここで過ごした。
それは、アルティアムと共に働く人の優しさが展覧会を訪れる人にも伝染したから。
展覧会が閉じるように、この場所はなくなってしまう。
でもここで起きた出来事や出会った関係はきっと続いて行く。
また違う形で会いましょうね。

ひびのこづえ
ひびのこづえ展「みる・きる・つくる」(2019)
内藤こづえ個展 寄生(1996)

 

30年近く前、アーティストとしてのキャリアがスタートした頃、僕の目標はアルティアムで個展をすることだった。つい最近、このことを話す機会があり、夢が叶った日の感情が鮮明に蘇った。閉館することはとても残念だけど、ここからたくさんのアーティストを送り出し、そして福岡・九州のアートシーンを確実に前進させた場所として記憶に残り続けるのだろう。多分、こんな素敵な場所はもうできやしない。だから、アルティアムの精神を僕たちは引き継ぎ未来を創るのだ。お疲れ様でした。ありがとう。

山出淳也
イントロダクション・シリーズ1994
山出淳也 VARIOS 150(1994)

 

32年間もの間、アートを発信し続けてきた空間。偉大で素晴らしい事です。
スタッフの方々も情熱的で、尊敬の念が尽きません。
このコロナ禍では、アートもオンラインで見られたらいいとなりましたが、ところがやはり、実物に触れてリアルに対峙してこそ感じられるものがあったのだと、改めて思います。
幕が閉じてしまうことが寂しくもありますが、その空間で実物を観た感動は人々の中に、ずっと残る事でしょう。

瀧本幹也
LAND SPACE 瀧本幹也写真展(2014)

 

私がアルティアムで行った展覧会は2011年、東日本大震災が起きた年の秋でした。当時は、表現に迷い悩みながら少しづつ活動を始めた頃でしたし、福岡での展示も初めて。だからこそ、あえて、「とんこつラーメン」に顔を突っ込むという破天荒なパフォーマンスを実行したのだと思います。コントロール不可能なものへの畏敬の念と同時にそれを突破するために。成功したかどうかは今でも解らない。しかし、それら全てを受け入れてくれた福岡の皆さんのことは忘れません。

宮島達男
宮島達男「その人と思想」展
— 宮島達男は何を考え、どう生きたのか(2011)

 

「アルティアムでいつか展示がしたい」写真家を目指した頃からそう思っていた。
今年、その願いが届いて写真展を開催させてもらった。
撮り下ろしをした二家族との出会いが、とくに思い出深い。
アルティアムが閉館しても、二家族の方とはこれからも会えるし、会うとアルティアムでの特別な時間を思い出すだろう。

浅田政志
浅田政志写真展『私の家族』(2021)

 

2014年、記録的な大雪の中、私たちにとっては初めての個展ということもあって、やりたいことをたくさんプランに詰め込んで、作品もパンパンにトラックに詰め込んで、埼玉から福岡に向かいました。そんな無鉄砲な私たちのプランをアルティアムのみなさんはとても真摯に受け止めてくださって、福岡のたくさんの美術関係の方々にも協力をいただいて、何かみんなで一丸となって展覧会を作らせてもらったのが強く心に残っています。
今もふと、福岡で過ごした搬入の日々や、展示室の音やぼんやりとした光、その時交わした些細な会話などを思い出しては、あー、あの瞬間に戻りたいな~っと思います。
アルティアムはずっとあると思っていたし、まだ信じられない気持ちもあって、寂しいですが、でも、またきっと、みんなが戻りたくなるような場所が生まれることを願っています。

現代アートチーム 目[mé]
状況の配列(2014)

 

何か食絡みのことを、とお話をいただいたとき、庭木になるくらい柑橘類が豊富に実る生まれ育った福岡の土地柄が思い浮び、素材を収獲するところから始めた。糸島の金柑+田主丸の胡麻祥酎+白ざらめ。古賀のメイヤーレモン+糸島の牛乳+グラニュー糖+八角。最終日、集まった来場者が仕込んだ果実酒を開けて会場で飲み、瓶ごと持ち帰るまでが一式。「木甘橘系」はアルティアムという場でなければ出来ない展示だった。心から感謝。

福田里香
木甘橘系 福田里香展(2005)

 

福岡出身の学生だった私のアートとの出会いは、2002年アルティアムの展覧会。
はじめて制作したインタラクティブアートを展示させて頂き、私の作家としての第一歩となりました。
10年後の節目となったLIGHT EMOTION展では光をテーマとした展覧会を開催。
私のアーティストキャリアに大きな影響を与えて頂いたアルティアムへの感謝と共に、福岡発のアートシーンのこれからに期待しています。

松尾高弘
2002 アジアデジタルアート大賞展(2002)
松尾高弘展 LIGHT EMOTION(2012)

 

2013年に写真展をさせていただきました。
いち写真家にとって、オリジナル作品を直接みなさまに観ていただけるという喜びは、ギャラリーあってのことです。
写真家にとっても、観にいらっしゃる方達にとっても、ギャラリーは永遠です。

鋤田正義
鋤田正義展 RETROSPECTIVE SOUND & VISION(2013)

 

2017年の夏に、絵本「モノモノノケ」(アリエスブックス)の展覧会を開催させて頂きました。会場には、絵本に登場する42体のモノモノノケ達と、期間中に来館者のみなさんが生み出したモノモノノケ達が溢れ、楽しく怪しい展覧会となりました。アルティアムでまたいつか!と思っていたので残念ですが、福岡を拠点にしている、出版社、デザイナー、映像作家、音楽家、そしてアルティアムやイムズのみなさんと一緒に、福岡ならではの展覧会を作り上げられたことは、自分たちにとって、かけがえのない経験になりました。本当にありがとうございました!

tupera tupera
絵本作家 tupera tupera × 写真家 阿部高之
イルヨイルイル モノモノノケ 展(2017)

 

tupera tuperaの二人と共に作らせていただいた絵本『モノモノノケ』(アリエスブックス)の世界を展示させていただけるとのことで2017年の夏、展覧会をご一緒させていただきました。
あの空間で作品を展示させていただいたこと、アリエスブックスのまりさん、目黒さんはじめアルティアムのみなさんや福岡のクリエイターさんたちとご一緒できたことは刺激の多い、とても有意義な経験となりました。
これでおしまいではなく、ここで出会った皆さんとの今後の拡がりを楽しみにしています。
本当にありがとうございました。

阿部高之
絵本作家 tupera tupera × 写真家 阿部高之
イルヨイルイル モノモノノケ 展(2017)

 

僕らが手掛けてきたD-BROSの商品を併設ショップで販売をしていただいたことでアルティアムの存在を知りました。その後、2015年にKIGIの展覧会を開催させていただきました。
ホンマタカシさん、ミナペルホネン、krank marcello の展覧会等も観に行く機会があり、未だ記憶に新しいです。閉館すると思うと寂しいですね。
実は、福岡は僕が子ども(0歳〜4歳)の頃育った場所で、どこか愛着のある場所でした。アルティアムで展覧会をすることで少しばかりか恩返しができたと思っています。
32年間、おつかれさまでした!

KIGI 代表 植原亮輔
KIGI EXHIBITION in FUKUOKA(2015)

 

今思えば、
きっとアルティアムでの展示が決まってから1年くらい、
頭の中のほとんどがアルティアムになって、、、
会場が完成した瞬間、はじまった瞬間、
レセプションの瞬間、ライブの瞬間、そして終わりの瞬間、
全ての一瞬一瞬が、今まで感じたことのないドキドキでした。
僕らはほんとに幸せでしたよ。
ありがとうございました。

藤井健一郎
krank marcello ぼくらはいつのまにか 虹にさわれないことをおぼえていた(2018)

 

今から14年前の2007年にアルティアムで開催した展覧会は、九州で初めての個展だったため、自分にとっては非常に意味のあるものだった。知らない土地で、日常のデザインをテーマにした展覧会が、どのように受けとめてもらえるだろうか。結果は、とても大勢の方にご来場いただいた。このような経験の積み重ねが、2011年からスタートすることになるNHK Eテレ「デザインあ」の番組制作の発想に繋がっていった。閉館は誠に残念だが、育んだ貴重な文化を何らかの形で繋げていってほしいと、切に願う。

グラフィックデザイナー 佐藤 卓
佐藤卓展「日常のデザイン」(2007)

 

鉱物展のサウンドスケープ(BGMではなく!)という、それまでやってきた中で最も難しいお題をいただきました。鉱物のもつ何百万年、何億年という長大な時間について考えることは、まさに音の中に没入しているような不思議な感覚でした。きめ細かな気遣いととも刺激的な実践の機会を提供してくれたアルティアム。またいつの日か、どこか別の場所で引き継がれていくことを願っています。

原 摩利彦
音と旅する鉱物展 九州大学総合研究博物館コレクション(2019)

 

2017年に「原初の感覚」というテーマのグループ展に参加した。人々から集めたセーターやミトンなど手編みのものを毛糸にほどき、層を作るように円状に編んだ。編みながら、一度姿を失った編み物の、それでも糸に残る作り手たちの気持ちが指先から伝わってくるような気がした。その作品に、今年からまた別の地域で集めた誰かの編み物をほどいて編み足してゆくつもりだ。編み物は、いつでもどこからでも続きを始めることができるから。

平川渚
Local Prospects 3 原初の感覚(2017)

 

福岡に17年間住みながら作品制作を続けてきた私にとって、アルティアムはオールジャンルにアートシーンを知るための貴重な情報源であり、心ときめく作家に出会うための無二の場所、作家であり続けるための燃料と熱量を分けてもらった大切な存在でした。そのような場所で作品展示の機会を与えて頂きとても幸運だったと思っています。これまでアルティアムに関わってきた人々の情熱を次に繋いでゆけるよう、これからも制作を続けていきます。32年間の長きにわたり、本当にありがとうございました。

三輪恭子
Local Prospects 3 原初の感覚(2017)

 

2008年の谷尻誠展は僕にとって建築のあり方を考える機会を考えるとても重要なものでした。会場に散りばめられた段ボールチップの床は、来場者の移動によって徐々に導線が出来ていくものだった。
それは建築が完成してからが始まるということを改めて認識させて貰う機会にもなり、それ以降完成の概念について僕はより考えるようになっていった。
あの展覧会がなければ、いまのぼくはなかったと言っても過言ではないだろう。
アートは鑑賞者に様々な価値観の気づきを与える。
そして同時に作者にも、物事に向き合う姿勢を問うものでもあるように思う。
アルティアムという場を通して、多くの作家が自分と向き合ったことにより、大きく後の活動が豊かになったことが想像できる。
豊かな時間を提供して頂けたことに心から感謝申し上げます。

谷尻誠
谷尻誠展 —拾う建築のデザイン(2008)

 

料理家として食の展示。
不安と楽しみが入り混じりながらの
準備期間でした。
アルティアムだからこそできること、
アルティアムだからこその楽しみ方があります。
再入場ができることで、何度も
足を運んでくださる方が多く、在廊しながら
感謝の日々となりました。
記憶に残る様々な世界を創り続けてきたアルティアム。
この場所で展示をできたことを誇りに思います。
ありがとうございました。

広沢京子
jikijiki展 料理家 広沢京子 食のつながり▷食のひらめき(2020)

 

私、出身は佐賀市なのですが、大学にいた4年間は福岡市の井尻に住んでいたので福岡はとても好きな街です。実は福岡での展示回数はそんなに多くないのですが、1995年という活動の初期の段階で、アートシーンのなかで当時からすでに伝説的な場所であったIMSのアルティアムで展示が出来たことは自分のキャリアの中でとても大事なことだったりします。
そしてアルティアム個展で会ったアシスタントが、いまも自分の部下だったりするのでした。そういう意味では自分の人生を大きく変えた展示だったことは間違いないです。

八谷和彦
八谷和彦個展 ラブ・ダブラー(1995)

 

2年前の展覧会は私にとって過去最大規模。準備の間は楽しみな気持ちと不安な気持ちを行き来する日々でした。
在廊日にはお客さんの反応が気になり、こっそり会場をまわっては布影から様子を伺ってしまうほど。受付の方から、お客様が「かわいかった」「楽しかった」「不思議~」と口々に笑顔で出てきて下さるんですよ!と聞いたときは、作りたかった空間が実現できたのかなと嬉しくなりました。アルティアムでのこの経験はかけがえのないものです。本当にありがとうございました!

氷室友里
氷室友里のテキスタイル展 TEXTILE PLAY GROUND(2019)

 

三菱地所アルティアムで展示を開催させていただいたのは2019年、甚大な被害をもたらした台風19号が来た10月のことでした。オープニングの日に上陸する見込みとなり、飛行機は全便欠航、鉄道も運休し、来てくれる予定だった友人、知人から次々と欠席の連絡が入りました。お近くの方しか来られない状況に、寂しいオープニングを予想していたので、会場で大勢の観客の方が迎えてくださった時は本当に驚きました。そして熱心に鑑賞し、質問してくださる福岡の人々に囲まれ、アルティアムが30年の間にどのような活動をされて、何を作り上げられたのかを体感した日となりました。閉館はとても残念ですが、アルティアムが築いたものは多くの人に引き継がれていくと思います。

近藤聡乃
近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前(2019)

 

1998年にアルティアムで開催した明和電機展のポスターは、明和電機が変形して「¥マーク」になる、というビジュアルををタナカカツキさんに描いてもらった。「展示してる製品を売りまっせ!」という露骨なコンセプトで、ふつうのギャラリーだと断られますが、アルティアムさんはすんなり受けれていただきました。ありがとうございました。おかげさまで今も「¥マーク」な明和電機を続けております。

明和電機
明和電機 ショールーム(1998)

 

本展では、日常にある身近な好奇心の種をメンバーそれぞれが実らせた作品群で構成しました。開催に向け、コンセプトを練り、各自が自身と向き合い制作。また会場設計からポスター制作、広報活動などアルティアムスタッフと一緒に創り上げた空間は、そのものがひとつの作品となりました。(貴重な機会を頂き関係者の皆さまに深く感謝します。)
今後も「楽しい街をつくる」を合言葉に、日常のとなりにある知的好奇心を出発点とした新しい体験や付加価値を提示し、表現手法に拘らずチャレンジし続けます。

anno lab
日常のとなり anno lab(2019)

 

個展開始直後に福岡県西方沖地震が起き、高さ3mを超える塩の作品は倒壊した。私は元の姿に近付けようと試みたが、自然の力で完全に破壊された作品は元通りにはならず、地震前とは異なる形になってしまった。しかし、そこに立ち上がったのは長い時間をかけて風化した遺跡のような塩の階段。アクシデントによって誕生した形に、一気に時を超えたような感覚を覚えた。
そしてこの夏、私は博多で用いたその塩を使い、奥能登で新作をつくる。16年の時を超え、それはどんな姿になるのだろうか。

山本基
山本基展 Reinigen—浄化(2005)

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