安野光雅のふしぎな絵本展

遊び×芸術×科学 トークイベントレポート2前編

九州大学芸術工学研究院連携企画

「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」と題した、アーティストの八木良太さん、城一裕さんによるトークイベントのレポート前編です。シリーズ全体についてはこちらを是非お読みください。(※本文は、本イベントのトークを一部抜粋・編集したものです。)

(アルティアム・笠井)「安野光雅のふしぎな絵本展」とこのトークの関連性なんですけれども、芸術であると同時に、科学へのまなざしというのが非常に特徴的な作家さんで、幅広い学識に裏打ちされた作品を作られています。そのことを出発点に、芸術と科学、遊びなど領域横断的に、今、活躍している方をお招きして、その活動を伺っていくというトークシリーズ企画です。今回お招きした八木良太さんは神奈川県民ホールギャラリーで2014年に開催された個展のタイトルが「サイエンス/フィクション」でした。「ふしぎ」という言葉で切り取ってみても、お二人の創作には、根っこの方で通じるものがあるのかなと思っています。

(城さん)今回は、その「サイエンス/フィクション」の話や、さらに、最近八木さんが東京のギャラリー・無人島プロダクションで開催された個展「メタ考古学」を受けつつ、その解説に書かれていた言葉であり今回の企画名でもある「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」について話していきたいと思います。この言葉は、安野さんの初期の作品、僕らが子どもの頃に見ていた絵本をいま、あとがきと共に読み返す、ということに通じるものがあると思っています。
今日は八木さんから作品の紹介をしていただいた後、僕から「車輪の再発明」というプロジェクトのことをお話しします。そして、「phono/graph」という八木さんと他のメンバーと一緒にやっている活動を紹介します。その後は会場の皆さんも交えて、過去と未来を考えていきましょう。

(八木さん)八木良太です。今日は宜しくお願いします。
私は普段、現代美術というフィールドで、主にサウンドやメディアを扱って作品を制作しています。自己紹介がわりに、普段作っている作品のスライドを見せながら紹介していきます。まず、2005年に一番最初に作った作品がこれでした。氷で作ったレコードを制作しました。これはシリコンゴムでレコードの型取りをして、レコードの代わりに水を入れて冷凍庫で凍らせたものを、プレーヤーでかけると、ちゃんと音楽が流れるんですね。

こんな感じで結構クリアに音が流れるんです。これを発見したときにすごくびっくりして。レコードっていうのは、溝をひっかくと音が出るんですね。その音がどこから来るかということがすごく不思議で。その不思議ということをベースにいつも作品を作っている感じです。
次は、カセットテープの球体です。

ノイズみたいな音が鳴っていますが、これは球体に巻いたカセットテープが出している音なんです。プレーヤーって言ってるんですけど、玉を回転させる台を作って、磁気ヘッドというカセットデッキから取り出したヘッドでこすって音を出しています。元々の音を再現するのは極めて難しいです。放っておくと、球の回転する道筋は変わっていくので、始まりも終わりもない。普通はA面、B面があって、直線的に時間が流れていくのに対して、球体にすることでぐちゃぐちゃに混ざる。重なったり、方向も変わったりします。

Animated Clock

Animated Clock

このAnimated Clockは、安野さんのイメージに近いと思っている作品です。フェナキストスコープ、驚き盤とも呼ばれる、アニメーションの原型のようなものです。時計の文字盤を反転させて、スリットから鏡をのぞいてみると、文字盤の数字が回転して、アニメーションに見えるんですね。ただの文字盤に秘められていた動きが可視化されるような作品です。作品の紹介は、こんな感じで。

(城さん)ありがとうございました。次に、僕が今年の春までいたIAMAS(情報科学芸術大学院大学)でおこなっていたプロジェクト「車輪の再発明」を少しご紹介します。

メディア考古学 パーソナルファブリケーション

このプロジェクトは、第3回のゲストでお呼びするクワクボリョウタさんとも一緒にやっていたプロジェクトです。「メディア考古学」と「パーソナル・ファブリケーション」をキーワードとしています。ここが八木さんと共通する、過去を見るというものかなと思っています。
この2冊が各々を代表する書籍なのですが、両方とも読むと色々インスパイアされる本です。まず「メディア考古学」というのは、考古学、すなわち歴史を遡って研究する対象を「メディア」というものに特化させたものです。この10数年、インターネットより具体的にはgoogleのサービスのお陰で、いろんなメディア、例えばビデオや、カセット、プロジェクターなど、の歴史がすごく遡りやすくなってきていて、いろんな知見が明らかになっています。これは、作品を作る側から見ると宝の山のようにも見えます。一方、ファブリケーションとよばれる世界では、3Dプリンタなどの、コンピュータと組み合わせてものを作るツールというのが非常に気軽に扱えるようになった。今までは、工業製品は型を作って、大量に作ってこそコストに見合うものだった。でも、これからはむしろ、小ロットのものをたくさん作る。個々人が必要なものを作っていくという多品種少量生産のほうが理にかなうのではないか。ということが社会的な流れになりつつあります。この作ろうと思えばかなりのモノが作り出せるという状況と、あり得たかもしれないメディアの可能性を示してくれる「メディア考古学」はすごく相性がいいのではないか、と思ったのがプロジェクトの出発点です。
具体的に、学生と一緒にプロジェクトをやってきた中からの成果をいくつか紹介しますね。まずは、ここに実物があるコイルと磁石に分解されてヘッドフォンのような形になっているスピーカー。

学生作品

これはjohnsmithくんという学生の作品なのですが、丸いのがコイルで、この先につながっているステレオのミニジャックをiPhoneなんかにつないで、白い布で覆われた磁石を耳にくっつけてコイルを近づけると音がなるんです。原理としてはコイルに音声信号(電気)が流れることで磁界が変化して磁石が振動する、その振動が耳に伝わることで音として聞こえる、ということで、物理としては当たり前のことが起きているだけなんですけど、体験としては結構意外なんですよね。その他には、クワクボさんを中心に、印刷の技法である網点や写植というものを高輝度のLEDを組み合わせて、別種のプロジェクションの技法を作るということもしています。
これは僕がphono/graphに参加するきっかけにもなったものなんですけど、紙や木、アクリルで作る(予め吹き込まれた音響のない)レコードってのがあります。八木さんの氷のレコードとは、作り方がちょっと違っていて、普通、レコードは音が鳴っている状態を針に伝えて、そこから原盤を作って、その型を取ってという原理でできますが、僕の場合は、音の代わりにAdobeのIllustratorというグラフィックのソフトを使っています。このソフトのジグザグっていう機能を使って、直接波形を絵として描く。描いた絵をペーパーカッターやレーザーカッターという機械に送って、紙や木、アクリルを刻む。そしてレコードプレーヤーにかけると、音がなる。こういう仕組みで作っています。文字通りにはそもそもレコードは「記録」という意味ですよね。でも、このレコードの場合は音が記録されているのではなくて、絵しかないところから音が出るんです。レコードとは言っているけれどレコードではないとも言えるのではないかなあと。で、このようなメディアの別な可能性を実際にものとして作ることって先程お話したような技術的な環境があることですごくやりやすくなってきています。高輝度なLEDだって、せいぜいここ10年くらいのもの。さっきの磁石も1980年代に出てきたネオジムという強力なものです。その意味でレコードも含め、僕らがやっていることは100年前ではできなかっただろうな、と。この、今じゃないと作れない、違う今という、そこに面白さを感じています。

(八木さん)phono/graphっていう活動について補足しておくと、城さん、デザイナーの鈴木大義さん、ニコール・シュミットさん、デザイナー・アーティストユニットのsoftpad、intextの方たちと一緒にやっていて、アーティストの藤本由紀夫さんが発起人です。すごく領域横断的で、アートの人もいれば、デザインの人もいる。城さんみたいに研究者でもある人も。様々な分野の人が入り混じって、みんなでわいわいやって。それこそ、「遊ぶ」感覚に近いです。集まって実験しながらプロジェクトを進めていく。テーマは、音、文字、グラフィックで、その三者の関係性について考えるプロジェクトです。phonographはそもそもエジソンの発明したレコードプレーヤーのことなんです。昨年、レコード自体を作ってしまうという城さんの存在を聞きつけて、じゃあ、この人にはちょっと入ってもらわないとまずいよな、と一番最近入ってもらいました。
先ほどの「車輪の再発明」もそうなんですけどphono/graphも古いものを見つめるという姿勢を大事にしています。最新のテクノロジーももちろん好きなんだけど、「平たく見る」というか。
メディアアートって随分誤解されているような時期があって、今でも誤解され続けているかもしれない。プロジェクターを使って、最新のテクノロジーでインタラクティブなものがメディアアートとイメージされてしまっている。そもそもメディアアートって、言葉自体を考えたときに、メディアそのものについて向き合わないといけないと思うんです。でも、ついついそれを忘れて、テクノロジーにばっかり固執しちゃう。そうはなりたくないと思っています。僕はメディアって、何かを乗せて運ぶ装置のようなものだと捉えています。石に何かメッセージが書いてあれば、石はメディアだと思うし、馬だったり、船だったり、Emailもテレビも手紙も。そういうものを平たく見ることができないと気持ち悪い。phono/graphの活動はそのあたりがうまくバランスがとれていて、エキサイティングなプロジェクトです。
さっき「メディア考古学」というキーワードを城さんが話されていましたが、僕がつい最近開催していた個展のタイトルは「メタ考古学」でした。そこで展示していた作品は、ランダムドットステレオグラムという昔の裸眼立体視のテクノロジーを応用しています。特別なメガネをかけなくても平面が立体に見えるという方法ですね。一昨年に世界遺産を巡って作品を作るという不思議な展覧会に誘われまして、イタリアのValcamonicaという谷にある遺跡に行ったんです。そこには1万年から3000年くらい前の人たちが掘った絵柄がいっぱい残ってるんです。その図像をモチーフに、石にランダムドットステレオグラムのパターンとして貼り付けました。立体視するとさっきの図像が浮かび上がって出てくるという作品です。ランダムドットステレオグラムのパターンが石の模様みたいなんですね。アクリルでカバーしてみると、御影石のピカピカに磨いたような質感になるんです。それを立体視すると、崖に掘られた仏様の絵だったり、アルファベットの元になったものだったりが浮かび上がる。あとは「発掘」ということで、砂を掘って行って音を掘り当てる作品も作りました。どれも考古学的な手法を参照しながら作品を作っていきました。

(城さん)冒頭でも少し触れましたが、その個展「メタ考古学」に寄せられた言葉で、今回のトークのタイトルにもなっている「現代においては、過去を考えることが、未来を考えることよりも、より自由な気がする」、これについてもう少しお話を聞かせてください。

(八木さん)なんで今「考古学」なのかな、って考えていたんです。僕らが小さい頃って、未来のイメージって宇宙船が飛んでて、ロボットがいて、なんとなく明るくて開けたイメージだった。特に宇宙はイメージしやすくて、僕の中では宇宙と自由は、ニアイコールと言って良いくらいなんです。ところが、今、将来を考えるときに、宇宙につながる絵がイメージできないんです。それより古い、考古物とか土器とか、何千年、何万年前の物を目の前にした時の方が、より宇宙が近づいてきた。理屈じゃないんですよね。そういう直感みたいなものを言葉にしています。

(城さん)「車輪の再発明」も、未来に対する違和感が根底にあります。当時のありえたかもしれない未来を今、再現する。子どもの頃を思い返してみると、携帯電話とか全然違うものとして描かれていたりします。今、その携帯電話は作れる。一方、今の技術があればそっち(過去にとっての未来)も実現することができる。それが、今のものと全然違うものになったりする。

(八木さん)昔のことを捨ててしまいすぎているように感じているというか。つい、新しいものに目がいってしまう。でも、最近のドキドキするような発明ってiPhoneが出た時くらい。レコードやカセットには、それよりも大きいドキドキがあった気がするんです。懐古趣味ってわけじゃないんですけど、新しいものも好きだけどそればっかりにならないようにと考えています。

レポートは後編へ続きます!

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安野光雅のふしぎな絵本展
2016/7/9 − 8/28

鹿児島睦の図案展

《祝!1万人突破》会場レポート

好評開催中の本展も、残り2週間となりました。今回は会場内の様子をお届けします♪
会場は「図案×〇〇」をテーマに大きく3つに分かれています。一つずつご紹介します。

図案×器
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会場入ってすぐの壁に、器を展示しています。様々な形や絵柄の100点を超えるハンドメイドの器をご覧いただけます。素敵で楽しい図案の中から、お気に入りの図案を見つけてくださいね。

図案×空間
床まで広がる鳥と花の図案や、器を大きくプリントしたフォトブース、ライブペインティングで完成した壁画など、大きな図案を体感してお楽しみください♪
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図案×プロダクト
多数のブランドとのコラボレーションワークスを展示しています。
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また、器から抜き出された図案がプロダクトになる過程などをご覧いただけます。
こちらは東京・doinelでの「図案展2013-2016」のアーカイブの一つです。
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会場最後の展示物は、和菓子店「鈴懸」さんとのコラボレーションで生まれた太宰府天満宮公式土産のお干菓子「梅とうぐいす」ができるまでの過程をご覧いただけます。
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太宰府天満宮に行かれた際は、ぜひ商品をお手にとってみてくださいね!(会期終了後も太宰府天満宮案内所にて販売されます。鈴懸さんの各店舗とアルティアム併設ショップでは販売はございません。ご注意ください。)

そして、本展は先日来場者1万人を達成しました!市内からお越しという1万人目のお客様へ、記念品を贈呈いたしました。CIMG1445image1
ご家族で一枚撮らせていただきました♪
鹿児島さんのサイン色紙、図案展オリジナルバッグ、展覧会ポスターを記念品としてお贈りしました。

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最後になりましたが、同時開催の太宰府天満宮宝物殿の「鹿児島睦の造形展」もご覧になられましたか?こちらも同じ会期ですので、お気をつけくださいね。
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アルティアムへのご入場ですが、ゆっくりご覧になられたい方は平日がおすすめです。最終日までたくさんのご来場、お待ちしております!

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鹿児島睦の図案展
Makoto Kagoshima ZUAN Exhibition

2017/1/28 − 3/12

鹿児島睦の図案展

ライブペインティング レポート

1月29日に行われた鹿児島睦さんのライブペインティングの様子をお届けします!たくさんの方にお集まりいただき、ペインティングが始まる頃には会場の後ろまで列ができました。
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本展設営時、「ZUAN」のアルファベットの中にピンクの塗料で植物のシルエットを描かれていた鹿児島さん。

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このピンクのシルエットの上に、この日は白の塗料で植物の細部を描き込んでいきます。たくさんのお客様が見守る中、下書きなしでどんどん描き進める鹿児島さん。時々、少し離れたところから眺めたり、高いところは台に上がったりしながら、花びらや葉脈となる線を引いていきます。

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当日はTVの取材カメラも入り、鹿児島さんがペイントする様子を携帯やカメラで皆さま撮影されていました。

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もくもくと描き進められ、予定通り1時間弱で完成しました!

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完成後、鹿児島さんにご挨拶いただきました。
(以下はペインティング後のトークを一部抜粋・編集したものです。)

(鹿児島さん)東京で個展をしていて、会場で器を販売していると器の数が後半になると少なくなってきてしまうんですね。そうなると、後からいらしたお客様がご覧になるものがないというのが非常に切ないところでございまして。10年くらい前、今回の展示でも企画で大変素晴らしい力を発揮してくださったビオトープの築地さんに、「会場に後から来てくださった方たちも楽しめるように、フォトブースを作りましょう」と提案していただいて、壁に絵を描かせていただいたのがライブペインティングの始まりなんですね。今ではこうやって描かせていただくことが目的になってきているようなところもありますが、基本的には来ていただいた方に楽しんでいただくことが一番なのでこうして今回も描かせていただきました。

同時開催の太宰府天満宮宝物殿では造形展ということで、梅の木と花の造形を作らせていただいています。この「ZUAN」の文字の中にピンクのシルエットを描きましたが、太宰府の展示物の梅の花の塗料なんですね。主に太宰府で活動されているアートボランティア「NPO法人太宰府アートのたね」の方たちが梅の花を塗ってくださって。設営時に先に太宰府の会場に参りまして、そのときに「ZUAN」の中に何かシルエットを描いていかないといけないんだけど、色をどうしようとお話していた時に、太宰府天満宮様の学芸員のアンダーソンさんが「ピンクの塗料がいっぱい余ってますよ」とおっしゃられて。ネイビーとかグレーとか地味な感じの色にしようと思っていたんですけども、意味としても天満宮様で使わせていただいたピンクの絵の具を使うのが一番だと思いまして、今回ピンク色を使わせていただきました。
今日はちょっと微妙な天気で他のイベントもある中、おじさんがこうして絵を描く空間に来ていただいて本当にありがとうございました。

ライブペインティング終了後は、『鹿児島睦の器の本』、『なにのせる?』、『Makoto Kagoshima Ceramics』の3冊が同時期発売となったことを記念して、サイン会を行いました。こちらにも大変多くの方にお並びいただき、大盛況となりました。

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こちらの新刊3冊は最終日3/12まで併設ショップドットジーでもお取り扱いしておりますので、ぜひお手に取ってご覧くださいね。

 

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鹿児島睦の図案展
Makoto Kagoshima ZUAN Exhibition

2017/1/28 − 3/12

クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―

特別上映会

本展では触れられなかったCMの映像作品を厳選してご紹介する特別上映会。また、ダンスする様子がユーモラスな映像作品『デュエット』も上映します。

日時     4月9日、4月29日土・祝、5月4日木・祝
各日18:30〜上映時間:約30分

ブルーノ・シュルツ 砂時計サナトリウム イギリス 2006年 デジタル・ヴィデオ モノクロ
バドワ イギリス 1988年 35mm カラー 1分
ワンダーウッド イギリス 2010年 デジタル・ヴィデオ カラー 3分
デュエット イギリス 1999年 35mm カラー 18分

会場    三菱地所アルティアム内
申込    申込不要、要展覧会チケット

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クエイ兄弟 ―ファントム・ミュージアム―
2017/3/25 − 5/7

クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―

クエイ兄弟の映像作品 上映会

『ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナー・ルウスのちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき』イギリス 1985年 16mm カラー 11分

『ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナー・ルウスの局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき』イギリス 1985年 16mm カラー 11分

人気の高い代表作を交えた映像作品の上映会をアルティアム会場内でおこないます。日によって上映プログラムが異なりますのでお気をつけください。

Aプログラム 各日1830上映時間:58
日時    3月26日、4月2日、4月15日、4月22日、4月30日、5月5日金・祝、5月7日
イーゴリ―パリでプレイエルが仕事場を提供していた頃1920-1929 イギリス 1982年 16mm カラー 26分
ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナー・ルウスの局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき イギリス 1985年 16mm カラー 11分
ストリート・オブ・クロコダイル イギリス 1986年 35mm カラー 21分

Bプログラム   各日1830上映時間:54
日時    4月1日、4月8日、4月16日、4月23日、5月3日水・祝、5月6日
ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋 イギリス 1984年 16mm カラー 14分
失われた解剖模型のリハーサル イギリス 1988年 35mm モノクロ 14分
人為的な透視図法、またはアナモルフォーシス イギリス 1991年 35mm カラー 14分
ファントム・ミュージアム―ヘンリー・ウェルカム卿の医学コレクション保管庫への気儘な侵入 イギリス 2003年 35mm カラー 12分

会場   三菱地所アルティアム内
申込   申込不要、要展覧会チケット

配給:British Film Institute 上映素材協力:IMAGICA TV

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クエイ兄弟 ―ファントム・ミュージアム―
2017/3/25 − 5/7

クエイ兄弟―ファントム・ミュージアム―

オープニングイベント 上映会 & 講演会映像作家クエイ兄弟の今昔

『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』1984年 16mmカラー 14分

『ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋』1984年 16mmカラー 14分

東欧のアートを専門に、長年にわたり研究を続ける籾山 昌夫氏によるトークとクエイ兄弟の代表作による上映会をおこないます。トークでは2000年代の作品を交えながら、初期から現在までの作品の魅力と変遷をお楽しみ頂けます。

日時  3月25日 14:00〜140分程度 | 上映:約45分/休憩15分/講演:約80分
会場  セミナールームAイムズ10F
話し手 籾山 昌夫神奈川県立近代美術館  主任学芸員
参加料 500円
定員  50名自由席・先着順
申込  要電話予約 ※3月6日より受付開始
三菱地所アルティアム092-733-2050

配給:British Film Institute 上映素材協力:IMAGICA TV

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クエイ兄弟 ―ファントム・ミュージアム―
2017/3/25 − 5/7

鹿児島睦の図案展

オープニングレセプション レポート

1/28(土)に鹿児島睦さんをお迎えし開催したオープニングレセプションの様子をお届けします!会場が埋まるほどたくさんのお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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(ディレクター・笠井)本日は、鹿児島睦展オープニングレセプションにお越しいただき、ありがとうございます。本日よりここ三菱地所アルティアムでは「鹿児島睦の図案展」、そして太宰府天満宮宝物殿では「鹿児島睦の造形展」が始まりました。たくさんの方に来ていただきまして、大変うれしく思っております。それでは、鹿児島睦さんよりご挨拶いただきたいと思います。

(鹿児島睦さん)今日はこんなにたくさんの皆様に足をお運びいただき、本当にありがとうございます。お天気が心配でしたが、とても暖かくいいお天気となり、皆さんのお力かなと思い感謝しています。笠井さんからもお伝えいただきましたが、アルティアムで図案展、そして太宰府天満宮様では造形展が始まりました。太宰府では立体の造形を作って展示させていただいております。両会場とも皆さんで色々なところで写真を撮ってSNSにアップしたり、友だち同士で見せ合ったり、楽しく使っていただければと思っています。今回、たくさん展示をさせていただいておりますが、様々な企業、団体、メーカーさんと多くのところで、こんなに様々な仕事をさせていただいたことを改めて拝見しました。私はただの陶芸家ですが、こうして多くの方たちに楽しんでいただけて、本当に嬉しく思っております。

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展示しているプロダクトは、いろんな国のいろんな方たちと様々な取り組みをさせていただき一緒に作っています。楽しい出会いから、本当にすてきなものをたくさん作っていただきました。

フォトブースもありまして、皆さんパネルの前に立って、写真を撮って楽しんでください。頭の上に鳥を乗せているように撮ったり、木を握っているように撮ったりするのも楽しいので、ぜひ遊んでください。

一番最後に、お干菓子ですね。これは今回のスペシャルなアイテムです。皆さんご存知、福岡の和菓子屋さん鈴懸さんが特別に作ってくださいました。スパイスやハーブを使ったとても美味しい干菓子を作っていただいています。お茶だけでなく、シャンパンやワインにも合うように作っていただいています。ぜひ皆さん味わっていただければなと思います。(※お干菓子は太宰府天満宮にて販売しております。)

今日は本当に皆さんどうもありがとうございました。ゆっくり楽しんでください。写真撮って拡散してください。ありがとうございました。

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ご挨拶後も会場はたくさんの人で賑わいました。

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会場内のフォトブースにて、お客さまに気さくに応じる鹿児島さん。

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ご来場の際は、携帯やカメラで写真を撮ってお楽しみください♪

会期は3/12(日)まで!翌日1/29に行われたイベントのレポートも後日公開予定です!お楽しみに!

 

 

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鹿児島睦の図案展
Makoto Kagoshima ZUAN Exhibition

2017/1/28 − 3/12

岡崎京子展

今日マチ子が語る岡崎京子マンガの魅力 レポート2

マンガ家の今日マチ子さんと、本展を企画した世田谷文学館学芸員の庭山貴裕さんのトークレポート第二回目です。第一回目はこちらからお読みください。

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(庭山貴裕さん/以下略)年代順にお話を進めていくと、岡崎京子さんは1985年に『バージン』という単行本を出されて、その後、『セカンドバージン』や『ボーイフレンドisベター』、『退屈が大好き』などの短編集や長編を発表されます。そして一つ転機になったと思われるのが『pink』という作品ですね。これまでにない強いストーリーラインを持った長編を描かれて、お話としてはユミコという女性が昼間は会社員、夜はホテトル嬢として働いて、自分の部屋ではワニを飼っているという設定の作品です。この『pink』について今日さんの印象はいかがですか。

(今日マチ子さん/以下略)オチを言っちゃっても良いか分からないんですけど、ワニの使い方が非常に秀逸で、そこに全てが入ってると言っても過言ではないと思うんですよね。

(庭山)ワニの使い方というと?

(今日)物語の中で「ペット、生き物」と「物」の間を反転する時があるじゃないですか。それがすごく岡崎京子さんの新しい表現というか、時代的に変わったと思わせるものだと思うんです。それまでの80〜90年代の明るい作品から、何か変わったなと思わせるような作品だったと思いますね。

(庭山)『pink』は、89年の作品で、歴史的にはいろんなことが起きた年ですよね。『pink』を読むと、私は今日さんの作品にもつながるものを感じたりします。『cocoon』も『アノネ、』も、言葉にすると言い尽くせないですが、何か主人公が自分にとって大事なものを守っているとか、周囲から守られているという状況が浮かんできます。『cocoon』の主人公のサンが、他の登場人物やいろいろなものに庇護されているということや、『アノネ、』で花子が自分の日記を大切に守っているということ。いっぽう『pink』のユミちゃんが昼も夜も働いて餌をあげているワニは、ひとつには消費社会を象徴しているのだと思いますが、それを彼女が大切に守っているという側面もあります。『リバーズ・エッジ』でも、死体を山田くんや吉川こずえちゃんがある種懸命に守ろうとしている。今日さんは、そういう主題についてはいかがですか。

(今日)岡崎さんの作品は、普段明るい女の子だけれども、ちゃんとその女の子の「弱さ」を描いているところが、みんなの共感を得るところなのかなと思うんですよね。ワニについての弱みとか。結構、岡崎京子作品の女の子って普段は悩みがないような明るい感じで描かれてるんですけど、あるところで急にガクッと深みに落ちるシーンが多いなと思うんです。「この子は実はものすごい何かを抱えてるのではないか」ということを描くのがすごく上手というか。最初から「この子は悩みがあります」みたいな感じで始まるんじゃなくて「何もないよ」みたいなふうに物語が進んでいるのに、あるところでハッと転換するっていうのが、すごく鮮やかだなというふうに思うんです。

(庭山)『pink』でも突然ユミコが発作に襲われるようにしてぺたんと座り込んでしまう、そこで闇の部分というか、この子は何かを抱えてるんだなということが伝わってきます。何かを大切に守るということでいうと、今日さんの場合は『cocoon』であれば「繭」みたいなもの。『アノネ、』でいえば日記や角砂糖のイメージみたいなものがありますが、一方で岡崎作品では、意味がわからない不気味なもの、社会にとってノイズのようなものを登場人物が守っているみたいな独特の味があって、その辺りがまた違うところだなと思いますが。

(今日)モチーフの違いというか。でも共通するのは、「弱さ」と「守らなくてはと思い続けている女の子」というのは似てるのかなと思うんです。

(庭山)今日さんはどんなふうに「少女性」を捉えて作品を描いていらっしゃいますか。

(今日)少女にこだわっているというよりは、あるひとりの主人公の物語ですね。誰でも自分の人生を邪魔されたくないじゃないですか。私はやりたいようにやりたい、それを戦争や他人からダメにされたくないという、そういうわがままな思いを「少女」なり「女性」なりが自分なりに続けようとしているというのをずっと描いているつもりです。

(庭山)岡崎さんと今日さんの描く女性像との違いを、ご自身ではどんなふうに感じますか。

(今日)私は本当にただのファンなので、自分と比べてどうこうというわけでは全然ないんですけどね。ただ、やっぱり岡崎さんのマンガは、どこか完璧な女の子じゃない、ある意味すごく愚かな女の子しか出てこないですよね。それが自分の作品でもそうなのかなと。やっぱり主人公とか女の子って本当に愚かしいし、でもその中で自分の世界を守ろうと足掻いているというところは似ているのかなと思います。

(庭山)岡崎作品には、とても魅力的なキャラクターがたくさんいます。東京の会場の出口に岡崎さんにメッセージを書くコーナーを設けたのですが、その中ですごく多かったのが、岡崎作品の登場人物を自分の人生のモデルにしていますというコメントでした。例えば、『東京ガールズブラボー』の主人公サカエちゃんに影響されて地方から出てきましたとか、『pink』を理解できないような男とは付き合えないとか、『ヘルタースケルター』のりりこがとても好きで、娘にりりこと名前を付けましたとあって、その隣にりりこちゃんが絵を描いていたりとか(笑)。男性ファンからすると、岡崎作品はキャラクターの魅力とは別のところですごいのだと思っていたのですが、岡崎さんの生み出したキャラクターって本当に女性の読者の中に息づいているんだなというのは驚きでした。今日さんは、岡崎作品の中で好きなキャラクターはいらっしゃいますか。

『リバーズ・エッジ』/宝島社 © 岡崎京子

『リバーズ・エッジ』/宝島社
© 岡崎京子

(今日)私はやっぱり『リバーズ・エッジ』のハルナちゃんが好きですね。ハルナちゃんは、やっぱり一番普通で、キャラクターとして薄い感じなんですよね。高校の頃も私があの世界にいたら、ああいう立ち位置しか取れないだろうなと重ね合わせて読んでいました。

(庭山)最終的にハルナちゃんが生き延びますよね。

(今日)そうですね。一番普通だし、特に何もないけれども、生き延びていくっていうところに当時共感したというか。岡崎作品ってすごく可愛い子とかモデルの子とか出てくるんですけど、そうでもない普通の女子高生という役どころがすごく良かったんですよね。

(庭山)透明な存在ですよね。

(今日)俯瞰的にいつも引いたところから状況を見ているっていうような。

(庭山)『リバーズ・エッジ』で後半にカタストロフというか、人が亡くなるような出来事が起こりますよね。観音崎くんが女性を絞め殺しかけたり、田島カンナがハルナの家に火をつけて自分が焼け死んだり、同級生のお姉さんが家に引きこもっていて、妹を切りつけたりとか。何かに執着している人間は破局を迎えるんだけれども、ハルナは透明な存在でいろんな人の存在を受け流しつつ、最後まで生き延びていく…そういう感じですよね。

(今日)他のキャラクターはキャラクターとしては好きなんですけど、岡崎作品の中で共感できるのは、やっぱりハルナちゃんですね。

(庭山)『cocoon』にも通じるものを感じますが。

(今日)そうですね。

(庭山)今日さんは作品を作る上で、登場人物を造形することと、ひとつの大きなストーリーラインを作ることは、どんな関係や比重があるんですか。

(今日)それは作品によりけりで、すごく奇妙な主人公の話となると、キャラクターを強くしなきゃいけないですし、ただ異常な状況下にあるというふうに舞台設定が決められているならば、その中に異常な主人公を置くよりは普通の人が翻弄される方が私は描きやすかったりしますね。

(庭山)ミドリさん』とかとても魅力的なキャラクターが配置されている作品もありますよね。

(今日)基本、普通の人が多いような気がするんですけど。

(庭山)岡崎さんのような強烈なキャラクターを作りたいとかは?

(今日)本当は作りたいんですけど、自分が薄い人間だからかだんだん薄くなってしまうというか、これからはもっと気合を入れてキャラクターを作ろうと思います(笑)。

 

『リバーズ・エッジ』/宝島社 © 岡崎京子

『リバーズ・エッジ』/宝島社
© 岡崎京子

(庭山)先ほど一番好きな作品は『リバーズ・エッジ』とおっしゃっていましたが、改めてお好きなシーンや理由はどんなところでしょうか。

(今日)当時読んでいたのが『リバーズ・エッジ』で、読んだときに主人公の彼らと同じような年齢だったっていうことが大きいですね。あとは「河」が好きだったので、河原が舞台っていうところにものすごく刺さりました。

(庭山)今日さんのいろいろな作品にも河が出てきますよね。

(今日)私の作品ではただ水辺のモチーフなんですけど、『リバーズ・エッジ』では、河はすごく不思議な場所で、誰のものでもない対象として描かれている。誰かの管理はあるんですけど、一種自由な場所で、でもそれは町の一部でもあるし、外側でもある。非常に不思議ないわゆる38度線的な場所だと私は思ってるんです。そこで展開される少年少女の話っていうのが、都市型のファンタジーみたいで、すごく好きだったんですよね。

(庭山)『リバーズ・エッジ』の「エッジ」は淵であり、「境界」ですね。

(今日)結局高校生って、自由と言われてるけど、自由じゃない。大人の管理している塾だったり、学校だったり、進路だったり、その中で動いてるだけで、別に大して自由じゃないなと思ってたところに、緩衝地帯みたいな河がパンっと入ってきたので、それがすごく当時の自分にとっては気持ち良かったというか、「そうか自由な場所もあるんだ」というふうに思ったんですよ。管理されているんだけど、でも普段よりは自由に動き回れる場所が与えられている場所ですね。

(庭山)避難所、逃げ場所みたいな。

(今日)避難所でもありつつ、暗部を展開できる場所と言えるかもしれませんね。

(庭山)『リバーズ・エッジ』以外に、岡崎作品で魅力的なキャラクターで、吉川こずえがいますよね。吉川こずえについてはどう思いますか?

(今日)そうですね。非常に岡崎作品的なキャラクターだし、当時私のクラスに本当に吉川こずえに似てる、読者モデルをやってる子がいたんですよ。現実の人が描かれているような、マンガと現実の境がよく分からなくなるような、そんな感じでしたね。読んだときに。

(庭山)吉川こずえは、『ヘルタースケルター』にも出てくるわけですけど、岡崎作品が今読んでもかっこいいと思える重要な部分って吉川こずえの造形にあるんじゃんないかと思うことがあります。

(今日)ショートカットで、すごいかっこいいなぁって思っていましたね。

(庭山)主人公と対比される存在で、そこがすごく面白いなと思うんですよね。『リバーズ・エッジ』では、河原で穴を掘りながら、世の中きれいぶってるけどざけんじゃねぇよってすごいセリフを吐いたりして、クラスメイトたちを相対化する虚無的な存在。『ヘルタースケルター』だと、りりこと対比される存在ですよね。りりこが語る「忘れられるのって死んでるのと同じよね。本当に死ぬことも怖いけど、忘れられることも恐ろしい」という印象的なセリフがありますけど、りりこの存在を象徴しているそのセリフに対比されるのが吉川こずえで「私は今ちやほやされるけれども、早く忘れられてほしい。その方が私は楽しみだ」と語る。「忘れられているもの」や「忘れられてしまう」ことの怖さということは、今日さんの作品でも感じることなのですが、何か『ヘルタースケルター』を読んで感じることはありますか。

(今日)りりこの焦りみたいなものって、今のSNSで必死で「いいね」とか「お気に入り」とかフォロワーが欲しいみたいな、そういうふうに焦ってしまう人の感情とすごく通じるなと読み返すたびに思うんですよね。そこにしか自分の生きてる場所はないように思い込んで、必死にすがりつくっていうような状況ですね。だから今もそういう意味で、普遍的に読み継がれているんじゃないかなとも思ったりしますね。

(庭山)忘れられることとしての死、ということを岡崎さんはいろんなところで描いていらっしゃって、雑誌の「ユリイカ」に寄せた文章でも萩尾望都の『トーマの心臓』を引きながら、「死には二種類ある。肉体としての死と、忘れさられることとしての死、と」ということを書いています。岡崎さんにとって、とても持続的なテーマだったのかなと思います。

(今日)やっぱりマンガ家っていう職業自体が人気商売というか、そういう部分があるので、ある程度、例えば80〜90年代を体現した存在であるほど、2010年代になるとその時代の人みたいに思われて、どんどん時代の奥に押しやられていくっていうことはあるのかもしれないですね。もしかしたら、岡崎さんはそういうことをうっすら自身が感じ取っていた部分があるんじゃないかなとは思ったりはします。

(庭山)それは職業マンガ家として、今日さんも感じられるところでもありますか。

(今日)業界でよく言われるのは、ものすごいビッグヒットを出してしまうと、長続きしづらくなるっていうのは若干言われることであって、別に誰かのことを言っているとか、自分がそうであるとかそういう意味ではないんですけども、やっぱりインパクトが強くなればなる分だけ、なかなかその時代から抜けられなくなるっていうふうには言われますけどね。

(庭山)そういうところでも『ヘルタースケルター』は、とても普遍的なことを描いているのではないかと思いますね。

最後に庭山さんより東京会場で寄せられた感想もご紹介頂きました。皆さんの思いが詰まったもので、なんと全部で2,000もの感想が集まったそうです。

(庭山)世田谷の会期終了後に来場者からのメッセージを岡崎京子さんにお届けしましたが、大変喜んでおられたようです。これは時代の回顧展ではないので、岡崎さんが来場者に宛てた現在のメッセージを受けて、皆さんも手紙を書くということが大事な展覧会の一部だと思っています。福岡会場での感想も楽しみにしていらっしゃると思うので、ぜひメッセージをお寄せいただきたいなと思います。展覧会では、なかなか岡崎作品の全てを網羅して紹介するなどということはできないですし、これによってなにかかりそめの全体像を与えてしまうかもしれないということは怖いことでもありました。岡崎作品の魅力はこれに尽きるものではないので、ぜひ展覧会をご覧になった後、また、自分なりの感じ方で改めて作品に出会って、その魅力を他の方達にも伝えて欲しいなと思います。こんな感じでしたが、今日さんいかがでしたか。

(今日)岡崎京子さんってやっぱりファンの方の思い入れが非常に強いというか、そういう独特な作家さんだと思います。ここまでマンガ家さん本人に思い入れがあるって、なかなかないと思うんですよね。作家っていうだけではなくて、その時代を体現した人だったんだなと思います。

岡崎さんと今日さんの作品の魅力を知ることのできる、大変充実のトークでした。トーク終了後は今日さんの九州で初となるサイン会も開催し、こちらもとても盛況でした。ご参加頂いた皆さま、誠にありがとうございました!展覧会は1月22日(日)まで開催しております。この機会にぜひご覧ください。

【展覧会ページ】
岡崎京子展
戦場のガールズ・ライフ

2016/12/3 − 2017/1/22

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