絵本原画ニャー!mini

絵本作家 きくちちき絵でお答えします!回答③

皆さまからの質問に、きくちちきさんが絵で答える本イベント、最後の質問者と回答を紹介します。回答①回答②も公開中ですので、ご覧ください。
きくちちきさんが描いた絵は、このあと3名の質問者にお贈りします。コメント、動画付きの絵、宝物になるのではないでしょうか。ぜひ大事にしていただければと思います。
きくちちきさん、ご応募いただきました皆さま、本当にありがとうございました。

kekotin(45歳)
世界中どこへでも行けるようになったら、どこへ行きたいですか?何をしたいですか?
実は私たち家族は、上海に駐在していましたが、コロナの件で福岡に一時帰国しています。上海はのらねこでも近所の人たちがエサやりをしたり、雨やどりできるように協力してかわいがっています。実際に触れ合えば何の国問わず、やさしく親切です。上海ガニ、小籠包、とてもおいしいので、ぜひ中国へも!

きくちちきさんからの回答

nya03

kekotinさんへ

いまどこへ行きたいかなと考えると、世界のどこか日本でももちろんいいのですが、行ったことのないとてもいい景色が望める山へ家族で登ってみたいなと思いました。
まだ息子は小さいのでできれば小さな山で、のんびり美しい自然を眺めたいです。
そしてそのあと滝の見えるような温泉にゆったりつかりたいです。
中国は行ったことありませんが、すごく壮大な自然が残っていて魅力的なんだろうなと思っています。
中華料理も大好きです。
のらねこを近所の方々で可愛いがっているのはほっこりしますね。
いつか機会があれば行ってみたいです。
ご質問ありがとうございました。

きくちちき

【展覧会ページ】
絵本原画ニャー!mini
猫が歩く絵本の世界

2020/6/27 − 8/2

絵本原画ニャー!mini

絵本作家 きくちちき絵でお答えします!回答②

皆さまから寄せられた質問に、きくちちきさんが絵で答える本イベント、二つ目の回答をお届けします。下書きすることなく墨で描きはじめるところから、色が混ざってにじむ瞬間、最後にサインを入れるところまで見られる動画にも見入ってしまいます。
回答①はこちらから。

サク(9歳)
①絵がじょうずになるにはどうすればいいですか。
②絵本を書くときの頭の中はどうなっているんですか。
③おはなしの中みをどこでかんがえているのですか。

きくちちきさんからの回答

nya02

サクさんへ

絵が上手になるには上手に描こうと思わないことがいいと思います。
ぼくもついつい上手に描きたいなと思って描けないことばかりで、たくさん描いているうちに上手に描きたい気持ちがいつの間にか消えて、あれ?いいのが描けたなという感じです。
夢中になって描ければとっても楽しいので、夢中になって描けるものを見つけるのが大切なのかなと思います。
絵本の絵を描くときの頭の中は、お話しを想像して自分がそのお話しの中にいるような感覚で描いています。
お話しを考えるときは家や外、何をしているときでも、ほんの少しだけ頭の中にすき間をあけておいて、いつでもそこにアイデアが入ってきてくれるようにしています。
そしてちらっとアイデアが見えたらすぐに絵や言葉を描くようにしています。
サクさんもぜひ絵やお話しをたくさんチャレンジしてみてくださいね。
きっと楽しいと思いますよ。
ご質問ありがとうございました。

きくちちき

回答③に続きます。

【展覧会ページ】
絵本原画ニャー!mini
猫が歩く絵本の世界

2020/6/27 − 8/2

絵本原画ニャー!mini

絵本作家 きくちちき絵でお答えします!回答①

本展関連イベントとして、出品作家きくちちきさんへの質問を募集し、たくさんのご応募をいただきました。その中から抽選で選ばれた3名の方の質問にきくちさんが絵で答えてくださいました。うれしいことに、コメントと動画付きです!3回に分けて紹介します。

にまい(20歳)
きくちちきさん、初めまして。私は美術系の短期大学に通っている2年生です。私はグラフィックデザイナーになるのが夢で、日々勉強にはげんでいます。きくちさんが以前デザイン会社に勤めていたという記事を読み、勝手ながら親近感がわきました(笑)。そこで質問があります。デザイン会社で働いていた時、一番楽しかったこと、うれしかったことは何ですか?


きくちちきさんからの回答

nya01

にまいさんへ

ぼくがデザイン会社にいた頃で楽しかったことは、仕事では正直なところ修行をしている感覚で、楽しいというよりは必死な毎日で余裕がありませんでした。
なにか楽しいことはと思い出してみると、休みの日に会社で仲良くなった同僚と海へ出かけ、岩場でのんびりと絵を描いていたことがありました。
海水を使いその場の土を絵具に混ぜたりしながら、なにも考えず海の絵を描いていました。
いい思い出です。
その頃を思い出すいいきっかけとなりました。
ぜひグラフィックデザイナーの夢をかなえてくださいね。
いつかご縁があることを楽しみにしています。
ご質問ありがとうございました。

きくちちき

回答②回答③に続きます。

【展覧会ページ】
絵本原画ニャー!mini
猫が歩く絵本の世界

2020/6/27 − 8/2

小さなデザイン 駒形克己展

会場レポート

本展は6/21(日)まで会期を延長し開催しています。ご来場が可能な方は、実際に作品をご覧いただきたいですが、なかには難しい方もいらっしゃるかと思います。休業中にSNSで紹介した内容を、会場レポートとしてまとめて公開します。主な章ごとに分けてお届けします。

第1章     ロス・N.Y.

ここでは、駒形さんが20代前半に渡米しロサンゼルスやニューヨークで活動した6年半の間に作られた初期の作品を展示しています。
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タバコのパッケージデザイン案はすべてコンピューターを使わない手仕事によるもの。パソコンで簡単に編集が可能な今と比べて、膨大な作業量がうかがえます。
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ほかにもNBAのオールスターゲームの案内状など、アメリカ・CBSやシェクターグループで活動した当時の仕事、若手のグラフィックデザイナーとして制作した実験的な試作をご覧いただける部屋となっています。「人種のるつぼニューヨークでは、いろんな人や言語、価値観が混在していて、ことば以上に視覚的な手法による問題解決が、デザインの力として求められていました。」と駒形さんは語っています。
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第2章     グラフィックデザインの仕事

アメリカから帰国後、駒形さんはミュージシャンのレコードジャケットやファッションブランドのロゴなど、数多くの企業のためにグラフィックデザインを手掛けました。
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なかには、ZUCCaのロゴマークやコムデギャルソンの案内状、ブランドタグなど、駒形さんによるデザインだと知らず、何気なく目にしていたものもあるかもしれません。
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多岐に渡る仕事は、ここ福岡でも。さまざまな動物が登場する九州大学病院小児医療センターの環境デザインや、ロゴデザイン、選書など館全体のプロデュースにも携わった「絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオ」など、主に子どものための仕事を身近な場所でも目にすることができます。

九州大学病院小児医療センター

九州大学病院小児医療センター

 

 

第3章     絵本の仕事/第4章 ワークショップ

駒形さんは、89年に娘が生まれたことをきっかけに、絵本を作り始めます。自身が立ち上げたワンストロークの代表作でもある絵本『Little Eyes』シリーズ。
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これまでに10巻刊行された本シリーズは、現在も入手可能な絵本ですが、試作・スケッチなど、カードの形をした新しいタイプの絵本がどのように生まれたか、試行錯誤しながら完成に至るプロセスをご覧いただけるのは、展覧会ならではです。
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次の「4章 ワークショップ」は、世界をまたにかけ様々な場所で活動をおこなう駒形さんのワークショップについて紹介しています。ワークショップは、駒形さんが最も好きな活動のひとつだそうです。常時上映するのは、駒形さんの手話絵本の制作過程に密着したドキュメンタリー番組です。
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インスタレーション

最後の部屋では、駒形さんの絵本のインスタレーション展示や、これまで手掛けた絵本の年表を展示しています。駒形さんがワンストロークや出版社から刊行した本は約30年で60冊超。
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代表作『Little Tree』は、小さく芽吹いた葉が、枝を生やし木となり、季節を経てページごとに姿を変えていくポップアップ絵本です。1ページずつ開いて展示しています。
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子どもの成長に向き合いながら始まった絵本制作ですが、『Little Tree』は1本の木を巡る普遍的なテーマで大人にも読まれるロングセラーとなっています。家の中で過ごす時間が増えた状況の中で、お子さんやご家族、もちろんお一人でも、今なら絵本を読む時間を作ることができるかもしれないという方もいるのでは。興味を持たれた方は下記からのぞいてみてください。
ワンストローク オンラインショップ

「小さなデザイン 駒形克己展」図録はこちらから☟
ブルーシープ オンラインショップ

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ー小さなデザイン
駒形さんが大切にしてきた「小さなこと」。それは、会場の作品を見ても伝わってきます。
手に中に収まる小さなサイズの絵本や招待状、ワークショップや少数の人に向けたデザインなど。小さいからこそ広がる想像の豊かさを伝えてくれます。

6/21(日)まで、併設ショップでもワンストロークの書籍など関連商品を販売中です。6/16(火)は休館日。ご来場、お待ちしております。

画像はすべて 撮影:古賀亜矢子
(九州大学病院小児医療センター内観画像を除く)

【展覧会ページ】
小さなデザイン 駒形克己展
2020/3/14 − 6/21

音と旅する鉱物展

会場レポート

好評開催中の本展、会場を構成する4つの部屋に分けてレポートします!九州大学総合研究博物館の鉱物コレクションや原摩利彦さんによるサウンドスケープについて、本展をよりお楽しみいただく鑑賞の一助としてお読みください。

—HISTORY

最初の部屋は、展覧会のイントロダクションとして「HISTORY」と題し、九州大学で使用されていた古い引出し棚に鉱物を展示しています。
九州大学総合研究博物館は2000年に設立。750万点の標本・資料を有し、収集は1911年の旧九州帝国大学創立以来100年以上に渡ります。そのうち、鉱物標本は約9,500点所蔵されており、その中から150点を展示しています。
福岡市東区箱崎にある同博物館は、平日一部の常設展示室が開いておりますが、今回お借りした鉱物は通常一般公開されていないものです。本展は、同博物館の中西哲也先生に学術的な観点からご協力をいただいています。

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展示している鉱物:蛍石、紫水晶、黄鉄鉱、石膏、虎目石、孔雀石など

 

—TIME #1 内包された時間

二つ目の部屋「TIME #1 内包された時間」に展示している鉱物は、珪化木、隕鉄、天河石です。音楽家・原摩利彦さんが本展のサウンドスケープを担当しています。原さんは同館を二度訪れ、展示する鉱物のセレクト、展示構成の検討など企画協力いただきました。
ここでは3つの展示台の中に振動スピーカーを設置しています。台の天板と鉱物を振動させることでそれぞれの鉱物から音がするかのように響きます。植物が時を経て鉱物になった珪化木は水中マイクで録音した水の音、隕鉄はNASAのサウンドアーカイヴより星の光の変動を音に変換した音をさらに編集した音、天河石はシンセサイザーの音を中心に、作曲しています。

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展示している鉱物:珪化木、隕鉄、天河石

 

—TIME #2 時間が止まった森

三つ目の部屋「TIME #2 時間が止まった森」では、時代や産地が異なる大小様々な鉱物を展示しています。ここでは、原さんがフィールドレコーディングで集めた雨、風、波の音やシンセサイザーの音を編集して使われています。佇んでいると「ゴゴー」と低くうごめくような水の音が聴こえて、しばらくすると音が止まり静寂がおとずれます。温度、重力などの環境要因で、途方もない時間と条件により鉱物が生成されたことにふと思いをはせてしまいます。各部屋の音が重なり合っても美しく聴こえるように工夫が凝らされています。

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展示している鉱物:松岩、チムニー、模樹石、菱亜鉛鉱など

 

—SPACE

最後の部屋「SPACE」は13の什器に約80個の多種多様な鉱物が並びます。ここでは、水平方向に音が広がる4つの無指向性スピーカー、直線的に音が跳ね返るような2つの超指向性スピーカー、計6個のスピーカーから立体的に聴こえる音が空間を満たしています。原さんが実際に博物館を訪れた際に讃岐石を叩いて録音した音の他に動物の声、ピアノなどの音がします。音の編集と一言で言っても、低い音を削る、オクターブを下げる、別の音と重ねるなど様々な方法があります。加えて、その場でどう響かせるか、鑑賞という視覚的な部分に音をどう作用させるかということにも思いを凝らして構成されています。自由に想像をめぐらし音に耳をすませながら、鉱物がここまで経てきた時空を旅するように過ごしてみてください。

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天青石

天青石

曹灰長石 photo: Koichiro Fujimoto

曹灰長石

展示している鉱物:天青石、輝安鉱、曹灰長石、黒水晶、ソーダ珪灰石、白雲母、方解石、緑柱石など

 

会期は1/26(日)まで。最終週末は混み合うことが予想されます。ご都合のつかれる方は平日のご来場をおすすめします。ご来場、お待ちしております。

photo: Koichiro Fujimoto

【展覧会ページ】
音と旅する鉱物展
九州大学総合研究博物館コレクション

2019/12/21 − 2020/1/26

近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前

近藤聡乃トークイベント2019年も考え中レポート後編

近藤聡乃さんのトークレポート後半をお届けします!前編はこちらからお読みください。
※印の作品は展示しておりません。

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③《KiyaKiya》以前

《果肉》※ キャンバスに油彩 2008

《果肉》※ キャンバスに油彩 2008

(近藤聡乃さん)《てんとう虫のおとむらい》の次に作ったアニメーションが《KiyaKiya》なんですけど、二つのアニメーションの中間に制作した油彩です。過渡期の作品で、かつ初めての油彩で、なんとなく全体的に考え中だったような気がしますね。油彩はやっぱり難しかったです。

(アルティアム・山田)
これはどういったテーマで描かれたんでしょうか。

(近藤さん)
植物と人との交わりみたいなものがテーマになっています。「詩人の萩原朔太郎が精神的に衰弱した時、植物と交わる夢をみた」というエピソードを読んだことがあり、そういうところからもイメージを広げていきました。それについては「猿とみかんの皮」というエッセイでも触れています。

 

《1/15秒のスケッチ》※紙に鉛筆、油彩 2008

《1/15秒のスケッチ》※紙に鉛筆、油彩 2008

(近藤さん)これも同時期に描いた、考え中のような作品で、少し次のアニメーションに印象がかぶるところがあったりもします。

(山田)タイトルが《1/15秒のスケッチ》。

(近藤さん)1/15秒というのはアニメーションの単位で、スタジオジブリのアニメーションなどは1秒が24枚の絵でできているのですけど、私のアニメーションは15枚なんです。1/15秒を積み重ねて5分くらいのアニメーションにするのですが、その5分のアニメーションを作るのに、2、3年かかります。2、3年かけて1/15秒を積み重ねていく、みたいなことをしていると、特殊な時間の感覚になっていくんです。

(山田)絵画だと、アニメーションと違って構造を複雑にできるというか、いろんな情報が盛り込まれていますね。

(近藤さん)アニメーションとドローイングとで表現できることが違うと思います。マンガはもう少し物語を明確に伝えられますね。

(山田)1/15秒についての書かれたエッセイ「二十年後の皺寄せ」は、会場内壁面に近藤さんが手書きしています。ぜひご覧ください。

 

(近藤さん)これらの作品を2008年のミヅマアートギャラリー での個展で発表し終えてから渡米しました。

(山田)実際にニューヨークに行かれてどうでした。

(近藤さん)スッと気持ちが軽くなるような、解放されたような感じがしました。いい加減にしていても許されるような気楽さがあって、肩の力を抜いて生活できますね。言葉が日本語ほどは分からないのも案外良いのかもしれません。

 


④KiyaKiya

《KiyaKiya_sketch》紙に鉛筆、水彩 2009-2010

《KiyaKiya_sketch》紙に鉛筆、水彩 2009-2010 《KiyaKiya_sketch》紙に鉛筆、水彩 2009-2010

(近藤さん)アニメーション《KiyaKiya》の構想スケッチです。どんなアニメーションを作ろうか、ちょっとずつイメージを固めて描きためていったものが、今回の展示ではアニメーションの前に積み重ねてあります。

(山田)スケッチはあれで全部ではないですよね。

(近藤さん)そうですね。

(山田)1日に何枚くらい描かれていたんですか。

(近藤さん)1日何枚とは決めずに気が向いた時に描きました。描こうと思えばいくらでも描けるけど、一枚も描かない日もありました。描きながら考えて、いいものを残していきました。

 

(山田)「きやきや」という言葉については、フライヤーにも書いてくださっていますね。

(近藤さん)澁澤龍彦の『少女コレクション序説』の中で初めて知ったのですけど、「胸がきやきやする」という言葉があって。簡単にいうと、デジャヴみたいなものを体験した時に感じる、不思議な気持ち、あれを指す言葉なんですね。その言葉を知った時に、そういえばあの気分というのはよく知っているけど、あの気分の名前を知らなかったことに気がついて。そういう「名前のついていない物事」があるのかとすごく新鮮に感じました。英語圏で暮らすようになって、日本語と英語が噛み合っていかないとか、日本語にはあるけど英語にはないとか、その逆とかもあったり、言葉について考える機会が増えました。《KiyaKiya》は言葉について考えながら作った作品でもあります。

 

《KiyaKiya》シングルチャンネル・アニメーションビデオ 6分39秒 2010-2011 音楽:ジョン・ゾーン music copyright ©︎ John Zorn

《KiyaKiya》シングルチャンネル・アニメーションビデオ 6分39秒 2010-2011 音楽:ジョン・ゾーン
music copyright ©︎ John Zorn

(近藤さん)これはアニメーション《KiyaKiya》の中から抜き出した静止画です。ここに出てくる文字はアルファベットとひらがなを組み合わせて自分で作った文字です。それで宮沢賢治の『インドラの網』という小説から抜粋した文章を書いています。

(山田)そうなんですね!何を書いているかは公にしていらっしゃらないと思っていました。

(近藤さん)公にはしていないんですけど、別に隠してもいないです。最初の3行は「ごらん そら インドラの網を」「ごらん そら 風の太鼓」「ごらん 青孔雀を」という文章になっています。

(山田)紙芝居というのは、何か意味があるんでしょうか。

(近藤さん)紙芝居は、絵と対応している文章が同じ紙の裏には描かれていないということに大人になってから気づきました。1枚前の絵の裏に、今見せている絵の文章が書かれているんです。紙の表裏に1枚分の時差があるんですよね。そのことに気がついて、びっくりして、それが《KiyaKiya》を作るときにはすごくヒントになりました。

 

⑤現在進行形の作品

(山田)近藤さんの手書きの文字が好きという方、すごく多いと思うんですけど、文字に対する思い入れはありますか。

(近藤さん)多分何かあると思うんですけど、あまり具体的には自分でもわからないですね。

(山田)現在連載中のマンガ『A子さんの恋人』では明朝体の文字ですが、近藤さんが手で書いてらっしゃる部分は、それ以上に何か見る人に強い印象を与えるようにと思います。

(近藤さん)そうですね。このマンガで初めて活字を使っています。作中作として5巻に主人公が描いたマンガがでてきますが、そこは手書きの字にしています。
今回展示しているのは、生原稿です。なるべく修正を出さないように描いています。

(山田)それは理由がありますか。

(近藤さん)それが一番きれいに描けるというか、一息に線を引いて決める方が気持ちが良いです。私はマンガ以外のドローイングなども描くので、そちらに修正を入れないように、マンガ原稿にもなるべく入れないようにしています。

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(近藤さん)次に作るアニメーションの構想段階のドローイング6点も展示しています。なんとなくこんな感じのものを作ろうかなと思っています。

(山田)今回の展覧会で初めて公開された作品ですね。女の人が小さな子どもを抱いている《アニメーションのためのドローイング01、母》というタイトルのこの作品は?

(近藤さん)まだニューヨークに住み始める前に、子どもを生んで名前をつけるという夢を見ました。今回の展示のタイトルに繋がるのですが、その夢をヒントにまだ呼ばれたことがない名前のものだけど、存在している何か、みたいなものをテーマにしようかなとちょっと考えています。この《アニメーションのためのドローイング02、貝》という作品も同じです。これも夢を見たことを元に描いた気がするんですけど、ちょっと忘れてきちゃったな。やっぱり具体的に作品にしていないことは忘れがちですね。

(山田)おかっぱの女の子ではないですね。

(近藤さん)もうおかっぱの女の子は出てこない気がしています。この《アニメーションのためのドローイング02、貝》という作品は、貝が空に浮かんでいるようなイメージがありました。『A子さんの恋人』の中でちょっと触れている、大江健三郎の『空の怪物アグイー』という小説の影響を受けている気がします。 これは《アニメーションのためのドローイング06、しみ》というタイトルが付いていて、その頃フルーツのしみで絵を描くのはどうかなと思ったりしていました。

(山田)エッセイを読んで、果物があまりお好きじゃないのかと思っていました。

(近藤さん)そうですね。食べるのはあまり好きじゃないんですけど、やはり「植物と人との交わり」というイメージから、興味があるものではあります。

(山田)これらのドローイングが描かれた2014年は…。

(近藤さん)多分『A子さんの恋人』の連載が始まっています。

(山田)『A子さんの恋人』と新しいアニメーションの構想を、同時進行で考えていらっしゃったんですね。

(近藤さん)そうなんですけど、『A子さんの恋人』で手一杯で、アニメーションの方は全く進まないままになっています。

(山田)《KiyaKiya》の時もスケッチをたくさん描きためて、そこから絵コンテを作るということだったので、今覚えていないとおっしゃっているけれども、これからこういったドローイングをたくさん描いていく段階なのですね。

(近藤さん)いつも作り終わったあとに、「作っていた時はこういうことが気になっていたのかな」と分かったりもするので、作った後にもうちょっとうまく話せるのかなという気がします。

 

(山田)夢の中で子どもを生むというのはすごく不思議な体験ですね。

(近藤さん)夢占いによると縁起が良いことのようです(笑)。夢の中で、私が突然子どもを生んで、それが女の子なんですよ。そして、私が架空の夫に向かって「この子には『窓乃』(まどの)という名前を付ける」と宣言するんです。「『外に向かって開かれた人になるように』という願いを込めて『窓』、『聡乃』から『乃』をとって『窓乃』、「マドノ」は「『ノマド』のアナグラムでもある」と夢の中で滔々と説明するんですよ(笑)。まだ結婚もしておらず、出産についても考えたことがなかったので、びっくりしましたね。アメリカに移住する前に見た夢です。

(山田)以前そのお話をしてくださった時、近藤さんは「名前しかない子どもだ」という言い方をされたんですよ。それが「からだのない子どもたち」という2001-2002年のアニメーション作品《電車かもしれない》のたまの歌詞と合致して驚きました。同じモチーフが間隔をあけて再浮上してくる近藤作品の流れを垣間見た瞬間でした。

(近藤さん)そうですね。ずっと何か気になっている何かなんでしょうね。

 

(山田)近藤さんの20年以上におよぶ制作を俯瞰すると、高校生の頃から現在に至るまで一貫したものを感じます。ノンジャンルで包括的な展覧会をしましょうとなった時に、近藤さんは「展覧会全体を大きな物語として捉えたい」とおっしゃったんです。そこで、展覧会の構成は、物語の章立てなんだなと思いました。ただし、当初から「年代順でなくていい」ということもおっしゃっていて。つまり、順序の入れ替え可能な物語であり、その都度様々に読み替え可能な物語を、作家活動全体を通して実践していらっしゃるのかなと思いました。制作のときに、その点を意識されていますか?

(近藤さん)いや、意識はしていないんですけど、卒業制作の《てんとう虫のおとむらい》が頓挫した経験から、間違えると進まなくなることはわかっているので、「慎重に勘で選ぶ」ようにしています。

(山田)それから、近藤さんの作品のほとんどに日付がきっちり入っていますよね。あの膨大な数の《KiyaKiya》のスケッチにも一枚一枚に、ほぼ日付が入っていました。『A子さんの恋人』1巻で、A子さんとA君が出会うシーンの背景に、河原温さんの《Today》シリーズが描かれていますが、日付は意識されているのでしょうか。

(近藤さん)意識はしてないのですが、自分にとって重要なことなのかもしれません。河原温さんの《Today》シリーズは、本では知っていたのですが、実際に観てハッとした経験があります。それ以来大好きな作品です。

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最後に設けた質疑応答のコーナーでは、興味深い質問がたくさんあがりました。以下にいくつか紹介いたします。

Q. おかっぱの女の子は、今後はもう出てこないのでしょうか。

(近藤さん)おかっぱの女の子は、今描いているエッセイマンガ『ニューヨークで考え中』で自画像として出てきます。多分それに置き換わってしまって、『ニューヨークで考え中』だけにずっと出てくるのかなという感じもしています。

(山田)『ニューヨークで考え中』はある意味、ドキュメンタリーではないんですね。近藤さんの髪型は、おかっぱじゃないですし。

(近藤さん)そうですよね。自画像でエッセイなので、そのまま、「あのキャラクターが私自身で、私の生活全て」みたいにも読めるんですけど、実際は描きたいことを選んで描いている訳で、作中の自画像は「私がこういうふうに見られたいという姿」だとも思うんですよね。そのせいかあのマンガを読んでくださった方から、すごく良い人だと思われていると感じることが多いです(会場笑)。『ニューヨークで考え中』ではずっとおかっぱの女の子を描くと言いましたが、キャラクターが私の年齢に見えないという問題に直面しています。今私は38でもうすぐ39になるので、キャラクターにもちょっとずつ年をとらせたいのですが、なかなか難しい。最近はアップの時とかに顔をたるませたりして工夫してるんです(笑)。

(山田)『ニューヨークで考え中』の連載は、ずっと続けていくのでしょうか。

(近藤さん)担当の編集さんと、お互いどちらかが死ぬまで頑張りましょうと言い合っているので、多分死んだら代表作になると思います(笑)。

(山田)『ニューヨークで考え中』を続けていく一方で、今『A子さんの恋人』に集中している時期だと思うんですけど。マンガが終われば、次はアニメーションを作って、絵画も描いてという流れを一つとすると、さらにその次のアニメーションはまだまだ先になりそうですね。

(近藤さん)そうですね。だから死ぬまでにあと何本アニメーション作れるんだろうと考えてしまいます。案外2本くらいなんじゃないかと思っています。思いがけずマンガの連載に6年近くかかっていて、それも全く予想外だったので。また何か予想外のことに取り組んだりもしそうですし。

 

Q. 『A子さんの恋人』を描いた理由は?

(近藤さん)「主人公の女の子が恋人に物を貸されてしまったせいで縁が切れない」というアイデアは随分前からあり、ラフを描いて、ずっと編集さんに預けていました。ただ、「今はまだ描けないような気がする」ということで、まず『うさぎのヨシオ』を描いたんです。『うさぎのヨシオ』の連載が終わって、編集さんが「では、そろそろこれはどうですか」ということになって、『A子さんの恋人』を描き始めました。

(山田)『A子さんの恋人』を読んだ時、この人も英子なんだと驚きました。おかっぱじゃないし、年齢も29歳。どんな理由があるんでしょうか。

(近藤さん)私はぎりぎり28の時に渡米して、行ってすぐに29になったんですけど。昔読んだ本で、人の人生は29で転機があるって。人生には一度しか転機がなくて、それが29で、29で良い転機を迎えられた人はその後の人生がうまくいくとその方はおっしゃっていました。「29でうまくいかなかった人はどうなるんですか」という質問に対しては、「来世まで待つしかない」と(笑)。それで主人公は29だなと思ったんですよ。

 

Q. 『A子さんの恋人』5巻で主人公以外のキャラクターの作家性や方向性も描かれていますが、なぜそうした要素を盛り込んだのでしょうか。美大出身で作家でもある近藤さん自身の経験を反映していますか。

(近藤さん)自分が作家になりたいと思って、実際に作家になって、作家の知り合いとかもできてみると、結構驚いたことは「あ、みんな全然私と似ていないんだな」ということでした。どこかで「私みたいな人が作家になる」と思い込んでいたので、それは割とショックだったんですよ。「あ、全然気が合わない人もいる!」と思って(笑)。作家と言ってもみんな違うような人が違うように作家になるんだなと気づきました。A子さんたちは美大出身ですが、それぞれ向き不向きがあって、それぞれの生き方を探しています。向いていることを見つけて仕事にできたら良いかもしれないけど、そうでなくても生活は続くし、別に美大を出たからってそれを仕事にしなくたっていいと思うんですよね。まだ描いていないのでなかなかうまく言えないですが、最後の巻にはそのあたりのことも描けたら良いです。

 

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本展会期は11月10日(日)まで。レポートを読んで展覧会をご覧いただくと、さらなる深い体験が味わえると思います。まだ展覧会を見ていない方はお早めに。併設ショップにも映像作品を展示しています。グッズと合わせてお見逃しなく!ご来場お待ちしています。

【展覧会ページ】
近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前
Kondoh Akino Exhibition: Never Before Named

2019/10/12 − 11/10

近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前

近藤聡乃トークイベント2019年も考え中レポート前編

10月13日(日)におこないましたトークの内容を抜粋編集し、2回に分けてお届けします!
※印の作品は展示しておりません。

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(アルティアム・山田)
最初に近藤さんにアルティアムで個展をお願いしたいというお話をした時に、アニメーション、マンガ、絵画などのジャンルに限定せず、網羅的な展覧会はどうでしょうかと提案しました。

(近藤聡乃さん)そうですね。初めの頃は開催時期について相談していて、今雑誌で『A子さんの恋人』というマンガを連載しているので、その連載との兼ね合いで時期を決めましたが、予定はずれにずれ、まだ連載は終わっていないです(笑)。

(山田)すごくお忙しい中やっていただいて、ありがとうございます。近藤さんにとって過去最大規模の個展ということで、回顧展にしましょうという話になり、作品の選定や構成を近藤さんご自身に考えていただきました。展覧会は①初期作品、②てんとう虫のおとむらい、③《KiyaKiya》以前の作品、④KiyaKiya、⑤現在進行形の作品という5つの構成になっています。今日はこの5部構成の流れに沿って、近藤さんにお話していただきます。

①初期作品

《女子校生活のしおり》コピー用紙にインク 1998 撮影:古賀亜矢子

《女子校生活のしおり》コピー用紙にインク 1998 撮影:古賀亜矢子 《女子校生活のしおり》コピー用紙にインク 1998
撮影:古賀亜矢子

(近藤さん)会場入ってすぐのところに展示してある、マンガ「女子校生活のしおり」は、高校3年生の時に当時通っていた美術予備校のコンペに出品するために描いたマンガです。展示作品のほとんどにおかっぱの女の子が描かれていて、多くの作品では主役として登場していますが、その女の子が初めて登場したのがこのマンガです。「英子」という名前で、はじめは主役ではなくで、主人公の女の子が憧れる女の子という設定で登場しました。主人公の女の子が英子に惹かれるきっかけになるのが英子の書いた作文なのですが、この作文は私が実際に体験したことをもとに書きました。エッセイ集(『近藤聡乃エッセイ集 不思議というには地味な話』ナナロク社、2012年)にもその話を書いていますが、実家の近くで見かけたカエルを毎日見ていたらどんどん石になっていったという体験です。本当かどうかは分からないですけど、人から聞いた話では、カエルは死ぬと石化して石になることがあるらしいです。私が見たのも本当にカエルだったのかもしれません。

(山田)三つ編みの女の子が主人公の陽子ちゃんですね。

(近藤さん)そうです。特に迷わずに、陽子ちゃんと英子ちゃんにしたのですけど、理由はあまり覚えていないです。「英子」という名前はこの後もずっと出てきて、連載中のマンガ『A子さんの恋人』の主役もこの名前です。

 

《3年5組》イラストボードにアクリル絵具 2000

《3年5組》イラストボードにアクリル絵具 2000

(近藤さん)大学2年生の課題で描いた作品で、大学で初めてとても褒められた作品です。確か「シュルレアリスム」という課題だったと思います。この頃からどんな作品を作りたいかお方向性がなんとなく決まってきた気がします。

(山田)学科はグラフィックデザイン科でしたよね。

(近藤さん)あまりデザインが向いてなくて、大学3、4年生は表現系と呼ばれる、イラストレーションやアニメーションなど自由に作って良い授業ばかり選択していました。デザインが全くさっぱり分からなかったというか、ぴんとこなかったですね。

 

《密着アルバム》手術用ゴム手袋にビーズ、スパンコール、刺繍糸 2002 《密着アルバム》漫画原稿用紙に鉛筆、インク 2005 撮影:古賀亜矢子

《密着アルバム》手術用ゴム手袋にビーズ、スパンコール、刺繍糸 2002
《密着アルバム》漫画原稿用紙に鉛筆、インク 2005
撮影:古賀亜矢子

(近藤さん)大学4年生の時、表現系の授業の課題で作った作品です。手術用のゴム手袋に刺繍をしています。触覚的な思い出を立体化するというテーマで作りました。同じタイトルのマンガ作品と対になっています。マンガで描かれている、てんとう虫の思い出が、後の《てんとう虫のおとむらい》というアニメーション作品に繋がっていきます。

(山田)アニメーション作品以外にも、近藤さんの作品にはてんとう虫というモチーフが繰り返し出てきますよね。

(近藤さん)てんとう虫に関する印象的な思い出がいくつかあるんです。私は小さい頃の体験や記憶をもとに作品を作ったりするのですが、一つの体験から複数の作品を作ることもあります。

 

《電車かもしれない》シングルチャンネル・アニメーションビデオ 3分56秒 2001-2002 音楽:知久寿焼 music copyright ©︎ CHIKU Toshiaki

《電車かもしれない》シングルチャンネル・アニメーションビデオ 3分56秒 2001-2002 音楽:知久寿焼
music copyright ©︎ CHIKU Toshiaki

(近藤さん)《電車かもしれない》は、初めて作ったアニメーション作品です。自分の好きな音楽にアニメーションをつけるという大学3年の課題で作り始めました。

(山田)この作品でNHK「デジタルスタジアム」や文化庁メディア芸術祭アニメーション部門などで賞を獲られています。課題で作った立体作品と対になるマンガ《密着アルバム》も青林工藝舎から出版されるなど、学校の課題でありながら、作家として発表し評価された作品が多いですね。

(近藤さん)グラフィックデザイン学科はとても課題が多くて忙しかったんですよ。なので、うまく課題を使わないと自分の作品を作れなくて。作品だけど、課題としても出せるようなものを作っていました。

 

《月の花 vol.4 背後の気配》※ 紙に鉛筆、アクリル絵具 2003

《月の花 vol.4 背後の気配》※ 紙に鉛筆、アクリル絵具 2003

(近藤さん)大学を卒業した後は、就職はせずに作家になろうと思っていました。そんな時に、ギャラリーエスというところで個展をさせていただけることになったので、そのために描いた作品です。

(山田)本展ではこの作品は展示していませんが、《月の花》シリーズの別の作品を2点展示しています。一つのテーマをもとに、複数の作品を描くというシリーズ展開を、この後も結構されていると思うんですが、それは理由がありますか。

(近藤さん)自分の好きなことをテーマに絵に描くと何度も同じような絵を描きたくなるんですよね。そういう意味でも、同じような作業を毎日繰り返すアニメーション制作は自分に向いているのかなと思います。

 

②てんとう虫のおとむらい

卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》※ シングルチャンネル・アニメーションビデオ 2002

卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》※ シングルチャンネル・アニメーションビデオ 2002 卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》※ シングルチャンネル・アニメーションビデオ 2002

 

《てんとう虫のおとむらい》2003(『はこにわ虫』所収 青林工藝舎 2004)

《てんとう虫のおとむらい》2003(『はこにわ虫』所収 青林工藝舎 2004) 《てんとう虫のおとむらい》2003(『はこにわ虫』所収 青林工藝舎 2004)

(近藤さん)これは大学の卒業制作で作ったアニメーション作品で、卒業制作版《てんとう虫のおとむらい》と呼んでいます。今回展示しているアニメーション《てんとう虫のおとむらい》とは違う作品です。卒業制作版は、先に描いた同じタイトルのマンガをもとにアニメーションを作り始めたのですが、頓挫しました。仕上がらなかったけれど、卒業はしまして(笑)。割と忠実にマンガから抜き出してアニメーションにしています。ただそのやり方に無理があって、失敗したのかなという気がします。アニメーションは完成するまでにとても時間がかかるので、最後までその作品に興味を持っていないと、なかなか作り切るのが難しいのですが、途中で気力が失せてしまいました。大学を卒業したのは2003年ですが、それからずっと気になっていたので、2005年に作り直しました。完成版《てんとう虫のおとむらい》は、絵コンテから描き直して作り、卒業制作版とは全く違う内容になりました。

(山田)絵コンテの前にされることはあるんですか。

(近藤さん)スケッチブックみたいなものにイメージをたくさん描いて構想を固めたりします。それで作り切るまで気持ちが持つところまでもっていって、絵コンテをおこして、それに沿って1、2年かけて制作する、というプロセスになります。

(山田)いったん抽象的なところまで立ち戻って、改めて組み立て直したという感じでしょうか。

(近藤さん)そうですね。

 

《夜の鼓動 vol.2》パネルに鉛筆、アクリル絵具、ジェッソ 2005

《夜の鼓動 vol.2》パネルに鉛筆、アクリル絵具、ジェッソ 2005

(近藤さん)これは2004年から2005年にかけてドローイングを集中して描いていた時期の作品です。アニメーション《てんとう虫のおとむらい》の構想段階に描いた作品です。てんとう虫が出てくるわけではないけど、なんとなく似たイメージですね。

(山田)このシリーズは、円形の作品が多いですね。

(近藤さん)四角い形の絵もあるんですけど、よく見ると四隅のところを切り落としても大丈夫な構成になっていることが多くて。丸が一番自分に向いている形なのかなという気はします。

(山田)小さい人も、よく描かれていますね。

(近藤さん)小さい人が最初に出たのは、高校3年の時に描いた《女子校生活のしおり》ですね。教室の中を飛び回る卵子の絵があって、多分その延長上の何かだと思います。

 

《てんとう虫のおとむらい2-10-02》※パネルに鉛筆、アクリル絵具、ジェッソ 2006

《てんとう虫のおとむらい2-10-02》※パネルに鉛筆、アクリル絵具、ジェッソ 2006

(近藤さん)このドローイングは、アニメーションが完成したあとに描いたもので、アニメーションで描ききれなかった部分を描くという意味もあったと思います。

(山田)最初にマンガを描いて、スケッチやドローイングを描いて、アニメーションを作って、描ききれなかったものを絵画にして「てんとう虫のおとむらい」という一つのテーマを、何年もかけて複数のメディアを巡って終了したんですね。

(近藤さん)この《てんとう虫のおとむらい》のシリーズが終わった後に作った《KiyaKiya》のシリーズも、何年か掛けて取り組んでいます。

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レポートは後編に続きます。

【展覧会ページ】
近藤聡乃展 呼ばれたことのない名前
Kondoh Akino Exhibition: Never Before Named

2019/10/12 − 11/10

ひびのこづえ展みる・きる・つくる

関連イベント レポート

7/20(土),21(日)に開催した二つのイベントを紹介します。両日たくさんの方に参加いただき、ありがとうございました。

ダンスパフォーマンス「WONDER WATER」
ひびのこづえ×ホワイトアスパラガス×川瀬浩介

ひびのこづえ(構成・衣装)、ホワイトアスパラガス(ダンス)、川瀬浩介(音楽)によるダンスパフォーマンス「WONDER WATER」を本展初日に開催しました。イムズの吹き抜け空間からたくさんの方が見守る中、ひびのさんが手がけたコスチュームを纏ったパフォーマーの谷口界さん、ハチロウさん、作曲家の川瀬さんがイムズプラザの空間を大いに盛り上げてくださいました。ユニークな音や身体の動き、あっと驚くジャグリングやアクロバットの数々で、子どもから大人までご覧の皆さまを魅了したパフォーマンスとなりました。
ホワイトアスパラガスのお二人は9月にも福岡で公演されるそうです☞http://www.ffac.or.jp/sh/

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夏のちいさな生きもののブローチを作ろう

7/20,21にひびのこづえさんのワークショップ「夏のちいさな生きもののブローチを作ろう」を行いました。アイデアスケッチを描き、カラフルな端切れの中から布を選び、それらを切ったり縫い付けたりしながら、約2時間で思い思いの生き物たちのブローチが完成!お子さまも大人も夢中になって、完成後はうれしそうに服やカバンに付けていました。ひびのさんのアドバイスや講評を受けながら、贅沢なひと時となりました。
今回ご参加が叶わなかった方も定期的にひびのさんはワークショップを行われています☞http://haction.co.jp/chiisanaikimono/index.html

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最後に、会期中会場内で、ブローチ作りのミニワークショップと、ひびのさんが手がけたバルーンドレス&ヘッドピースの試着が体験できます♪ご予約不要です。ご希望の方はお近くのスタッフまでお声掛けください。ブローチはそのままお持ち帰りいただけます!「みる」だけでなく、「きる」「つくる」を体験してお楽しみください♪

ミニワークショップ&コスチューム試着
〈注意事項〉
・ミニWSは、好評につき、1日の参加者数に限りがあります。ご了承ください。
・コスチューム試着はスタッフ誘導の上、下記の時間帯に行います。
平日 10:30-13:00、13:45-18:30
土日祝 10:00-19:30

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【展覧会ページ】
ひびのこづえ展
「みる・きる・つくる」

2019/7/20 − 8/25

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