バスキアとNYアーティストたち

オープニングレセプション レポート

開幕初日9/8(土)にローランド・ハーゲンバーグさんをお迎えし、オープニングレセプションをおこないました。その模様をレポートでお届けします。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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(ローランド・ハーゲンバーグさん)本日はお越しいただき、ありがとうございます。ローランド・ハーゲンバーグです。このような機会をいただき、感謝します。
こんなに多くの方に興味を持っていただき、感動しています。過去の思い出に浸るように感傷的に80年代を振り返ることもありますが、そうした気持ちとは別に、80年代のNYには、確かに独特で特別なものがありました。そのことについて、少しお話したいと思います。
当時、成功したいと願うアーティストにとって、NYにアトリエを構えてキャリアを築くということは必須であり大前提でした。NYはそういった世界で唯一の場所でした。
時代を遡ると、1940〜1950年代の芸術の中心はパリでした。例えば、ピカソやマチスなどの有名な巨匠たちも、その時代にパリで活躍していました。時代は変わり、特に音楽の分野からロンドンに芸術の中心が移りました。その後、ベルリンに移行し、70〜80年代には芸術の中心地がNYになりました。
今はどうでしょうか。インターネットが普及し、スマートホンがあり、どこにスタジオを構えても大差はありません。アーティストはどこでも展覧会を開催できますし、飛行機でどこにでも行くことができます。スカイプでのやりとりも可能です。私個人の考えですが、そういった意味で、歴史の中で、NYは「アーティストにとって、そこに居なければいけない場所」という最後の都市であったと考えています。

私もその一人で、アーティストとして夢を抱え、80年代にNYに渡りました。アンディ・ウォーホルなどの有名なアーティストに会いたいと思うと同時に、自分自身も有名になりたいという野望を持ち、成功を夢見て、NYに向かったわけです。そういった、すべての人が夢を見ることができる、魅力のある都市がNYでした。
同時に、危険な街でもありました。強盗事件が多発し、ドラッグ中毒者も多くいましたし、エイズなどの病気も広がりつつありました。NYは、危険と隣り合わせた街でありながら、ロマンチックな生活を夢見られる街。そういったイメージを抱いて、ヨーロッパや南アフリカなど世界各地から、NYのソーホー、イーストヴィレッジ、マンハッタンを目指して、アーティストたちが集まってきていました。
往々にしてこうしたアーティストは3人くらいでロフトを借り、生活し、制作していました。
私が見ていた限り、ほとんどのアーティストは、大体お昼の12時くらいに起きて、午後に制作し、夜はディスコのパーティーに繰り出していました。このディスコが、今でいうインターネットの役割を果たしていたと思います。情報収集ができ、いろんな人に会える。ウォーホルやキース・ヘリングにも会える重要な場所、それがディスコでした。名刺を交換し、新しいネットワークを作ったりということができました。

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当時の私はいつもカメラを持ち歩いていました。今はみんなスマホを持っていますが、当時はカメラを持ち歩くこと自体珍しかったと思います。そういった状況下で撮影した写真を、今回展示しています。当時はモノクロフィルムも高価で貴重なものでした。今のようにスマホで簡単にたくさん撮った中からベストの一枚を選ぶのではなく、常に集中して構図を考え、カメラのシャッターを押していました。いろいろな話を伺ったあとに写真を撮ったので、被写体と私の間に緊張感のない、ありのままの作家の姿が撮れたのではないかと思っています。
当時、私はドイツのスターンという雑誌社から仕事の依頼を受け、働いていました。はじめは、ライターとして執筆活動だけをおこなっていました。ある日、取材の日にカメラマンが来なかったんです。その時、ライターとしてそこにいた私が、持っていたカメラで代わりに写真を撮ることになりました。それ以来、ライターとフォトグラファー両方の活動をおこなっていくことになりました。
ご存知のように、『VOGUE』などの大きな雑誌は、ライターとカメラマン両方の仕事を一人に担当させることを好みません。個別に依頼することが多いため、なかなか両方担当することは叶わないことが多いのですが。

最後に、一番奥に展示している短い映像は、バスキアのインタビュー音声です。当時インタビューはカセットテープに録音していました。全体では約50分あるインタビューの中から、前半3分をまとめています。単なる質疑応答という単調なものではなく、ディスカッションしている生き生きとした生の声です。バスキアが感情的になり、怒り出し、そして鎮まっていく場面もあります。どうぞご覧ください。

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ご挨拶のあとは、来場者の質問に答えたり、本展のために作ったパンフレットにサインをされたりと、来場者とのやりとりを楽しまれていました。
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会期は10/21(日)まで。※10/16(火)は休館日。
併設ショップでは、本展で展示しているポートレート作品が収録されたパンフレットのほか、バスキアやウォーホル、キース・ヘリングなどの関連グッズも販売中です。日本初公開の貴重なポートレート写真をぜひ会場でご覧ください!

【展覧会ページ】
バスキアとNYアーティストたち
Roland Hagenberg 写真展

2018/9/8 − 10/21

トンコハウス展

長砂賀洋さん ギャラリーツアー レポート

8/25(土)にトンコハウスのコンセプトアーティスト長砂賀洋さんをお迎えし、ギャラリーツアーをおこないました。終了後に開催したライブペインティング&サイン会と合わせて、レポートします!

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福岡は初めてという長砂さん。参加者と会場をまわりながら、ここぞとばかりにたくさんの制作秘話を打ち明けてくださいました。なかには、ここだけの話という内容もありましたが、以下、一部抜粋・編集してお届けします!

ー「光」と「影」のためのマケット

(長砂賀洋さん)2Dアニメーションで、なぜ「マケット」をつくるのか。傾向として、日本のアニメは平面的な捉え方をしますが、海外のアニメは西洋絵画がベースになっていて、「光」と「影」が基本にあります。どういう影の入り方をするか、特に短編映画『ダム・キーパー』は、フルペイントで光を表現しているんですよね。キャラクターにどういう光が当たって、どういう影ができているか。マケットを見ることで、光や影の入り方を理解することができます。
というと、ちゃんとマケットを作ってもらえるので、そう言いますけど(笑)。一方で、制作スタッフのテンションが上がるから、楽しいからという理由もあります!制作スタッフのテンションが上がるというのは重要で、現場が楽しくないと良いアニメーションはできないんですよね。

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ーCG制作は世界の仕組みを知ること

(長砂さん)(会場の長編テスト映像を見ながら)これは長編映画に向けて、東京のアニマさんという制作会社とコラボレーションしてテスト用に作りました。このクオリティのCG映像を制作するには、非常に高い技術が必要で、日本の会社とこのような3DCGの映像を作れたことはものすごく意味のあることだと思います。
平面の絵は、割と感覚的に描けるところもありますが、CGは全て具体的になるんです。例えば、ブタくんは、この3DCGのアニメーションで見ると、毛が生えています。他にも、着ているデニム生地のオーバーオールの縫い目がどれくらいの大きさになっているか、具体的にひとつひとつ考えていかないといけないんですね。そういう面では、知識や作業がより必要になってきます。だから、CG映像を作るのは世界を知ることに近い。世界の仕組みを勉強することにかなり近いんですよね。

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ー堤大介さんとロバート・コンドウさん

(長砂さん) 堤さんとロバートは、トンコハウスを代表する二人で、同じコンセプト・アーティストですが、実は役割が違っています。ロバートはピクサーではデザイナーだったのですが、この線画はロバートが描いたもので、世界観の構造をつくるための絵です。(絵の中には、まるで設計図のようにストーリー設定の説明が描かれている)
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ペインターとして堤さんが描いた色が付いている絵は、世界観の雰囲気、匂い、光をつくる。
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デザイナーとペインターで分かれているのは、デザインする能力と、ペイントする能力が違うからです。二人の異なる才能が奇跡的に合わさって、気が合って、会社をつくるというのは、絵描きからしたらとても羨ましい、すごいことだと思います。

 

ー短編映画『Moom』

(長砂さん)最近では『君の名は』でも知られる、映画プロデューサー・川村元気さんが文章を書いた絵本『ムーム』(2014年、白泉社)があります。この絵本を短編映画にした作品『Moom』で、僕はアートディレクターとしていろんな絵を描きました。これはフルCGで作っていて、トンコハウスと日本のマーザさんという会社と制作しました。
これは『Moom』の 「エモーショナルチャート」と「カラースクリプト」と呼ばれるものです。これらはセットのようなもので、大人数のスタッフとどういう映画を作りたいかということをシェアするために、この二つがあります。 エモーショナルチャートは、縦線が観客の心の動き、悲しい時と嬉しい時。横線が時間になっています。グラフにすることで、一番高いところで観客が一番テンションが高い、というふうに設定します。音楽と一緒で、曲にはイントロがあり、サビがあり、アウトロがありますよね。観客に物語を飽きずに見てもらうために画面にどう写すかをエモーショナルチャートで、全スタッフで共有するわけです。 それで、カラースクリプトで、こういう絵が入りますというのを具体的に示していく。『Moom』で照らし合わせてみると、感情的に最も高ぶるところで花火が上がっています。そういったことを、この二つで、スタッフ同士でより共有していきます。僕の仕事はこういうことがメインですね。

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ギャラリーツアー終了後、ライブペインティングをおこないました。長砂さんは、来場者からの質問に答えたり、エピソードを話したり、お話をしながら描くスタイルで、オーディエンスを終始楽しませてくださいました!
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長砂さんがアートディレクターを務めた短編映画『Moom』に登場するムームやルミン、そして『ダム・キーパー』のブタくんたちが共演したイラストを描いてくださいました!「TONKO(TSU) HOUSE」の仲間たちのイラストは会場でお楽しみください♪

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サイン会では、これまでに来場したトンコハウスの皆さんのサインが揃った書籍を持参されたファンの方の姿も。ここでも『Moom』からムームやルミンを描いてくださっていました。
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エリック・オーさんにはじまり、総監督である堤大介さん、福岡出身の中村俊博さん、そして最後に長砂賀洋さんと、会期中にトンコハウスファミリーが続々と来場してくださいました。『ダム・キーパー』の長編作品など、トンコハウスのこれからが本当に楽しみです! 本展では、制作途中の作品も含めて、作品の制作過程やマケット、スケッチなども展示しています。会期は9/2(日)まで。どうぞお見逃しなく!

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

トンコハウス展

中村俊博さん アニメーションワークショップ レポート

九州産業大学4年、博物館実習生の野村です。
8月18日(日)におこなわれたアニメーションワークショップの様子をレポートします。

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福岡出身でトンコハウスのアニメーター中村俊博さんにお越しいただき、ゾートロープを作りました。ゾートロープとは、パラパラ漫画のような連続した動きのある絵や写真を、縦にスリットの入った円筒に入れて回転させるとアニメーションのようにみえる原始的な映像装置のことです。この装置を作ることで、アニメーションの仕組みを体験することができました。

まず、外側の枠を作ります。
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木の棒を差し込む筒をボンドで貼り付けます。
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いよいよ、内側に貼るアニメーションのイラストを描いていきます。今回、特別に中村さんが「ダム・キーパー」に登場するブタくん、キツネくん、カバくんが歩いたり、走ったりするゾートロープ用イラストをご用意くださいました!

そして急遽、中村さんにも参加者の皆さまと一緒にゾートロープを制作していただきました!
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中村さんよりゾートロープのアニメーション制作のポイントとして、「動きが繰り返されるサイクルアニメーションなので、複雑なものよりもシンプルな動きの方が見栄えが良く、最初と終わりのイラストが似ているときれいにループした動きになる」とアドバイスをいただきました。
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中村さん作のアニメーションのイラストに色を塗ったり、動きを参考にしながらオリジナルのイラストを描いたりと皆さま思い思いに作っていました。

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この段階では動く姿がわからないので、どんなアニメーションになるのかワクワクしますね!

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中村さんは、『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』に登場するさかなが水浴びしながらダンスするアニメーションを描かれていました。

イラストが完成したら、切り離してゾートロープの土台に貼ります。

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すべて貼り終えると、ゾートロープの完成です。

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回転させながらスリットの間から覗くと絵が動いて見えます。完成して初めて、自分で作ったアニメーションを見ることができ、静止画だったイラストが動き出すとついつい笑顔になってしまいますね!

完成後は自分の作品について発表し、一つ一つの作品に中村さんがコメントしてくださいました。
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中村さんの「アニメーションは言語ではないので世界中の人と繋がることができる」という言葉を聞き、さらにアニメーションの奥深さを感じました。
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アルティアムの受付で、中村さん作のゾートロープを実際にご覧いただけます!お手にとってお楽しみください!ずっと回して見ていたくなります。

ワークショップ終了後、会場でライブペインティングとサイン会をおこないました!
たくさんの来場者と取材カメラが見守るなか、どんどん描き進めていきます。
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福岡出身の中村さんならでは、かつ豪華キャラクターが勢揃いのイラストに仕上がっていました。ご来場の際は、近くでご覧ください!
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サイン会にもたくさんの方にお並びいただき、ありがとうございました!

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アニメーションワークショップは終了しましたが、アルティアム会場内で随時ワークショップ「風車をつくろう」を開催中です。
8/25(土)には、トンコハウスのペインター長砂賀洋さんが来場し、ギャラリーツアーとライブペインティングをおこないます!こちらもどうぞお楽しみに♪
会期は残り10日間!ご来場お待ちしております。

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

トンコハウス展

堤大介監督 in 福岡 レポート

8/3(金)にトンコハウスの総監督である堤大介さんをお招きし、特別上映会+トークを開催しました。堤監督の滞在中は連日、会場内でサイン会やライブペインティングをおこないました。監督が滞在した3日間をまとめてレポートします!

特別上映会+トーク
アメリカから堤監督が来日し開催する貴重なイベントということで、遠方からもたくさんの方にお越しいただきました。特別上映会で上映されたのは、オープニングイベントで来日したエリック・オー監督によるシリーズ作『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』。当日は、劇場版として編集された全10話をまとめてご覧いただきました。堤さんとロバートさんお二人の総監督、そしてエリック監督によってつくられた本作。時に可笑しく、時に切ない展開に、会場は笑いと涙に包まれました。
(以下は、特別上映会後のトークを一部抜粋・編集したものです。)

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ー福岡での開催について

(堤大介監督)僕はピクサーに在籍していた頃、日本全国を『トイ・ストーリー3』のPRツアーで回ったんですが、一番大好きだった街がここ福岡です。食べ物も美味しいし、街の雰囲気もすごくエネルギーがあって。やっとまた戻ってくることができて、そして福岡でトンコハウス展をできて、本当にうれしいです。

トンコハウス展は、2年前に銀座・クリエイションギャラリーG8で、去年は石巻の石ノ森萬画館で、そして今回アルティアムでやらせていただきました。僕たちはまだ作品の数も少ないですし、普通、展覧会というのは大きな作品をつくって、そのあとに発表するのが普通だと思います。ただ、トンコハウスを立ち上げて、苦労と大変な思いもしながら、みんなで作り上げる楽しさをシェアしたいという気持ちがあるんです。僕らが展覧会でやっていることは、今こうして制作途中のものも含めて、制作の過程からみんなと共有していこうというところから来ています。なので、制作途中の作品も含めてトンコハウス展では展示をしています。イムズプラザの「ようこそ!トンコタウン!」も含めて、ワクワクする気持ちで福岡にやってきました。

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ートンコハウスのはじまり

(堤監督)トンコハウスを始めて、4年が経ちます。すごく小さなグループです。原点となる『ダム・キーパー』という18分の短編映画は、僕とロバートがまだピクサーにいた時に、自主制作として、休みの日や早朝、夜に集まって9ヶ月かけて作った作品です。それが良い形でいろんなところで評価を得て、アカデミー賞にノミネートされるという幸運がありました。ピクサーというすべてが整った環境で、夢のような仕事をさせていただいていたんですけど、その時、この自主制作の経験を通じて、新しいことに挑戦したいという気持ちになりました。自分自身になにかを課すとすれば、これ以上待ってはいけないと。

僕はこの時に2歳になる子どもがいましたし、ロバートも結婚したばかりの時でした。二人とも家のローンも抱えていて、普通で言ったら一番最悪な時期にピクサーを辞めて、トンコハウスという会社をつくりました。

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ー映像だけにとどまらないクリエーション

(堤監督)僕らは映像だけでなく、本もつくります。アルティアムの併設ショップでも、「グラフィック・ノベル」と呼ばれる本を販売しています。グラフィック・ノベルは、漫画と絵本を足して二で割ったような日本にはないタイプの作品です。『ダム・キーパー』の長編の構想があって、その原作となるストーリーを、3冊のグラフィック・ノベルとしてつくっています。これまでのストーリーとは違って、ピッグとフォックスがもう少し大人になった時に、ダムの外にピッグのお父さんを探しに行くというお話です。

トンコハウスは、手描きアニメーションもCGアニメーションもやりますし、お話がつくれて、絵が描けて、世界観やキャラクターがつくれる人がいるんだから、いろんなことをやっていこうよという態度で活動をしています。

 

ー福岡出身の中村俊博さんについて

(堤監督)今日上映したシリーズ作品『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』で、エリックの右腕のような存在だったのが、トンコハウスにいる中村俊博なんですね。地元が福岡で、アメリカに留学して、初期の頃からトンコハウスにいて、短編の『ダム・キーパー』の時から活躍しています。今回福岡で展覧会をやらせていただけて、とても喜んでいました。8/18(土)にアメリカから彼がやってきます。その時には僕と同じように、ギャラリーの壁に落書きもするので、ぜひ皆さん会いに来てください!

トークの最後に質疑応答コーナーを設けました。

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(来場者)今まで作品をつくるなかで、伝えたいと思っていることを作品で伝えられなかったらどうしようというようなことを思ったことはありますか。

(堤監督)すごくあります。作品って結局自分自身だと思うんですよね。日常でも、自身が信じていることや、こんな自分でいたいと思うことを、周りが理解してくれないことってありますよね。それと同じで、それは苦しいですよね。でも、作品は自分の手を離れたらいろんなことを言われるわけです。辛辣なことを言われたこともあります。それはクリエーターの宿命というか、そのリスクは負ってつくるという覚悟はあります。

僕らが心がけているのは、客観的な目で意見を言ってくれる人を側に置くことです。僕とロバートは常にペアで、どちらかが客観的な立場をとる。伝わっているのかいないのか、遠慮をしないで正直に言ってあげる。そういう存在を自分の周りにつくるというのが大事だと思います。

 

サイン会&ライブペインティング
特別上映会+トークイベント翌日、急遽、堤監督によるサイン会をおこないました。前日のお知らせにも関わらず、たくさんの方にお集まりいただきました。サインと一緒に描かれるイラストは一つ一つ違っていて、並ばれた皆さまもとても喜ばれていました。

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また、福岡滞在中の合間を縫って、会場入り口に堤監督が絵を描いてくれました!

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たくさんのオーディエンスに見守られながら、どんどん描き進めていく堤監督。

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ほぼ日のプロジェクト「ENOMONO」でトンコハウスと一緒に制作をしている京都在住の画家・junaida(ジュナイダ)さんも飛び入り参加してくださいました。ENOMONOやjunaidaさんのグッズも、会期中、併設ショップで販売していますよ♪

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ご来場の際は、お二人の合作をぜひ近くでご覧ください!ダム・キーパーのキャラクターやjunaidaさんの小人など、見ているといろんな発見があります♪
堤さんがトーク中に触れていた中村俊博さんのライブペインティングは、8/18(土)17時〜アルティアムでおこないます!8/25(土)14時〜は、トンコハウスの長砂賀洋さんによるギャラリーツアーも決定しました!最終日9/2(日)には追加の上映会も♪たくさんのご来場、お待ちしております。

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

トンコハウス展

ワークショップ 風車をつくろう! レポート

九州産業大学4年、博物館実習生の野村です。

現在開催中のトンコハウス展会場内にて行われているワークショップ「風車をつくろう!」をご紹介していきます。
このワークショップでは、トンコハウスの初作品である短編映画『ダム・キーパー』に登場する丘に自分で作った風車を飾ることができます。
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まずは、おりがみの白い面に絵を描いていきます。黄色い面には、ブタくんがプリントされた会場オリジナルのおりがみです!

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ワークショップスペースには、色鉛筆やクレヨンを置いています。どんな風車にするか考えながら、好きな色を塗ったり、形を描いたりしてみてくださいね♪
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次は、はさみでちょきちょきと切り込みを入れて、中心に向かって折り、のりで貼ると、平らだった紙が風車の形になります。

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最後に、風車の中央につまようじを刺して、ストローに差し込むと風車の完成です!
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完成した風車はブタくんたちが待っている丘に飾るか、お持ち帰りいただくこともできます!
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カラフルな模様やトンコハウス作品に登場するキャラクターが描かれたものなど、素敵な風車が丘一面に広がっています。
丘の上でくるくると回る風車はとてもきれいですね♪

『ダム・キーパー』は大気汚染に覆われた街が舞台です。 主人公のブタくんは闇から街を守るために大きな風車を回す役目を負っています。 ブタくんと一緒に風車の力で闇から街を守りたいという気持ちがこのワークショップに込められています。

会期中、子どもから大人までどなたでも参加できます。会場にお越しの際は是非風車を作ってみてくださいね♪お待ちしております。

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

トンコハウス展

旅するトンコハウス展紹介レポート

トンコハウス展の魅力をお届けするイントロダクションとして、トンコハウスや会場の展示作品について簡単にご紹介します!

不思議な名前の由来

最初に作られた短編映画『ダム・キーパー』のメインキャラクターはブタとキツネ。日本語ではブタはトン(豚)、キツネはコ(狐)…あわせて「トンコ」!そこに様々な分野のクリエーターが集まることを願い「ハウス」をつけました。

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堤大介さん、ロバート・コンドウさんの二人が2014年に立ち上げたトンコハウス。ピクサーでの仕事の合間に制作を手伝っていたエリック・オーさんをはじめとし、少しずつメンバーが増え続けているそうです。
トンコハウスの一日を映した動画です。この小さな空間から、作品が生み出されています。会場に、トンコハウスのスタジオと同じ木材をアメリカから運び、スタジオの雰囲気を一部再現しています。ご注目ください♪


光の美しさに注目!

ピクサー時代、光と色のアートディレクションをつとめた堤大介監督。その才能は、アニメーション業界で「光の魔術師」と呼ばれるほど。本展でも作品中の光の演出は必見です!

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平面的な下絵からアニメーションに出てくるブタくんの最終形態まで、影や光を入れていく工程を展示しています。

カラースクリプトやマケット

「カラースクリプト」とは色の設計図のことです。登場人物の感情や展開に合わせて、ストーリー全体の色 や光の方向性を示す役割を担います。アニメーション制作の最初に取 り組むことから、本展もカラースクリプトの展示からはじまります。 ストーリー全体の色使いを観察してみてください!
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アニメーションの中でさまざまな動きを見せるキャラクターたち。立体的にキャラクターを共通理解するために「マケット」がつくられます。アニメーションの制作過程で、まず身長や体格などの個体差をマケットからつかみます。

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続いていく「ダム・キーパー」の旅

はじまりとなった短編映画から、シリーズ作品や長編映画へと繋がっていく「ダム・キーパー」。
シリーズ作『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』は、併設ショップドットジーで、DVD・ブルーレイともに販売中です!TSUTAYAでは先行レンタルもされています。

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会場には、3DCGのリアルな質感のブタくんもいます!長編映画に向け、テスト用につくられたものです。
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また、「グラフィック・ノベル」と呼ばれる漫画版「ダム・キーパー」の展示もあります。長編作品の原作となる3部作となっており、併設ショップで第2部まで購入可能です。(2019年春第3部発売予定)
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会期は9/2(日)まで!会場には随時ご参加いただけるWSコーナーも。ご来場お待ちしております。

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【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

トンコハウス展

オープニングイベント レポート

展覧会初日の7/21(土)に、オープニングイベントとして、アメリカのトンコハウスから『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』で監督を務めたエリック・オーさんをお迎えし、イムズプラザでトークをおこないました。その模様をレポートします!
(以下はオープニングイベントのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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ー『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』をつくったきっかけ

(エリック監督)トンコハウスで最初に、18分の短編映画『ダム・キーパー』を4年前に制作していて、その映画の出来が大変よかったので、また別の展開としてシリーズ作品『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』を発表することになりました。

主人公のブタくんがお父さんを恋しく思う気持ちや感情面で、彼の現在と過去を重ねる作品になっています。この映画に限らず、誰しも人はそういう気持ちを心に持っていると思うので、誰もが見て共感を得られるような作品だと思います。

主人公の記憶の中がテーマになっていますので、なるべく声もいれず、背景もシンプルに、想像力を掻き立てられるようにつくりました。制作期間は最初のストーリーを考えるところから、つくり上げるまで1年ほどです。

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『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』
© 2017 Tonko House Inc. ALL RIGHTS RESERVED

ー『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』で好きなキャラクターとシーン

(エリック監督)ファニーな(面白い)さかなのキャラクターです。深く考えずに生み出されたキャラクターです。
好きなシーンはたくさんありますが、ラストの第10話の父親が帰ってくるシーンが一番好きです。ただ、そのシーンは実際に起きたことなのか分からないようにつくっていて、鑑賞者それぞれの見方で見てもらえたらと思います。第9話のシーンは最後のシーンの伏線になっています。

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トーク中、イムズ吹き抜けの大きなビジョンで『ピッグ 丘の上のダム・キーパー』ダイジェスト版が上映されました

ーピクサーとトンコハウスの違い

(エリック監督)ピクサーはとても大きな会社、トンコハウスはとても小さな会社で、規模が違います(笑)。
トンコハウスの特徴として、作品のストーリーがアメリカのハリウッドのような、いわゆる派手なものでもなければ、かと言って日本的なアニメーションというわけでもなく、間に位置しているような感じです。

※エリック監督は、2010年にピクサーに入社。アカデミー賞受賞作品である『インサイド・ヘッド』、『ファインディング・ドリー』等にアニメーターとして携わったのち、2016年からトンコハウスへ。

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ートンコハウス展の見どころ

(エリック監督)トンコハウスが制作したアニメーションや、その制作過程、これからつくろうとしているアニメーションのプロジェクトについてなど、アニメーションが好きな人はもちろん、大人から子どもまで楽しめるような展覧会になっています!

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アルティアムの会場には、エリック監督直筆のサインと『ダム・キーパー』の可愛いキャラクターのイラストもあります♪会場で探してみてくださいね。

会期は9/2(日)まで。関連イベントもたくさんありますよ♪

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

2018/7/21 − 9/2

安野モヨコ展

会場+トークライブ&サイン会 レポート

好評開催中の安野モヨコ展、会場の様子と、6/29(金)に終了したトーク&サイン会のレポートを合わせてお届けします!

本展では、安野モヨコ先生の20年以上の漫画家としての活動を一堂にご覧いただける原画約250点が並んでいます。1995年に連載が始まった初期の代表作『ハッピー・マニア』をはじめ、本展のために描きおろされた最新作まで、お楽しみいただけます。

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会場に入ってすぐの「安野モヨコの世界」では、2014〜2016年に描かれ、本展に合わせて刊行された画集『STRIP! PORTFOLIO1996-2016』(小学館)の表紙の原画などを展示しています。安野先生の愛用品や年表もありますよ♪

この展示室をはじめとし、順路を進みながら数々の名作に出会えます。2018年6月に完結したばかりの『鼻下長紳士回顧録』、2007年より現在も連載中の『オチビサン』、イムズの夏の広告のビジュアルにも登場している『働きマン』、映画化もされた『さくらん』、若い世代を中心に大人気の『シュガシュガルーン』の5つの作品を中心に、17作品の原画を展示しています。

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『働きマン』の原画はなんと会場内最多の50点!主人公の編集者・松方弘子のいろいろな表情をお楽しみください♪

また、アルティアムのあるイムズの正面入り口の外壁に、イムズの夏の広告「IMS SUMMER 2018」のビジュアルで松方弘子が登場しています!イムズへお越しの際はこちらにもご注目ください!

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『ハッピー・マニア』の主人公、重田加代子も人気のキャラクターです。シゲカヨとさまざまな恋愛模様を繰り広げた男たちを紹介するコーナーもあります♪

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『さくらん』の作り込まれた展示空間も見どころのひとつです。また、単行本未収録の幻の第二部の原画を一部展示しています!併設ショップで販売中の画集に第二部がすべて収録されていますので、ぜひご覧ください。

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『シュガシュガルーン』の部屋では、写真を撮られる来場者多数です!ショコラとピエールのあの名シーンの原画も!会場でご堪能ください。

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カラー原画の色の美しさや、登場人物たちのファッション、その時代や設定を感じる空気感など…いろいろな見方でお楽しみいただけるのでは。

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本展は撮影可能です。ハッシュタグを付けてSNSに投稿すると、安野先生のポストカードがもらえるキャンペーンも平日限定で実施中!ご参加お待ちしております。※なくなり次第終了予定。
会場には、安野先生のエッセイ漫画『監督不行届』でお馴染みのカントクくん&ロンパースがたくさんいます。ぜひ探してみてください!

 

6/29(金)に安野モヨコ先生をお迎えしトークライブ&サイン会を開催しました。10代〜60代の方まで幅広い年齢層の方にお越しいただきました!

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申込開始直後に満席となり、当日は開場前から並ばれる方も多く、開演を待ちわびる皆さまの熱気が伝わってきます。

トークMCの方も作品をすべて読んでいる安野先生の大ファンということで、ファンとしての目線も盛り込みつつ、トークを進行していただきました。当日の様子を一部抜粋してレポートいたします。


ー作品の違い

(MC)作品によって、作風や絵のタッチが違いますよね。正直パッと見たら先生のものではないと思ってしまうような、作品の違い。この違いは、どこからくるのでしょうか。

(安野モヨコ先生)想定する読者の方によって変えています。描きたいことと、読んでくださっている方の求めていることが、ちょうど合わさるところを探している感じですかね。

(MC)その擦り合わせの部分ってすごく大変じゃないですか。

(安野先生)そうでもないと思います。新聞で『オチビサン』の連載が始まった時は、70代の女性がメインの読者だったんですね。家族でお住まいになっている時からずっと新聞を購読していて、ご主人が先に亡くなられて、お子さんも独立して、一人になってもずっと読まれている方も多くて。そういう方が読んで楽しいと感じてもらえるようなものが一番良いと思ったんですよね。

(MC)なるほど。『オチビサン』からファンになられた方も多いですよね。

 

ーファッションについて

(MC)『働きマン』で、シャツやスーツも格好良かったですよね。私もすごく参考にしていました。ボタン一個開けてネックレスをこうしたら良いんだとか。先生の作品はその時の流行のお洋服、女性が参考にしたい、真似したい、そこを刺激されているように思います。ファッションについては、どこからヒントを得られているのでしょうか。

『働きマン』 © Moyoco Anno / Cork

『働きマン』 © Moyoco Anno / Cork

(安野先生)自分が好きというのもありますが、『働きマン』や『ハッピー・マニア』など、現代の女性が主人公という時は、リアルに着られる服というのはすごく考えていますね。イラストとして可愛い服って、あまりリアルに着られない時もあるじゃないですか。あるにしても値段が高かったり、そんなにキラキラした人生じゃないし、みたいな(笑)。

(MC)そうですよね。ちょっと自分と遠くなっちゃいますよね。

(安野先生)でも、『働きマン』の一巻が出た頃に実際に編集者から、「しわしわになっちゃうから、シャツなんか着ない」と言われて、そうかぁ…と思ったんですよね。帰れないまま仮眠をとって、次の日現場に行くこともある。そういう時にしわになるからと言われて。

(MC)実際、そういう声も返ってくるんですね。

(安野先生)はい。なるほどと、すごく参考になりました。

 

ーキャラクターの目について

(MC)いろいろな作品を見ていて気になったのが、一人一人の目が違うところです。本当に特徴的ですよね。目について、先生の中で重視されているポイントがあるのですか。

(安野先生)そうですね。目に光を入れると、すごく漫画っぽくなるんですよ。

(MC)目の中のキラッとしているところですね。

(安野先生)そうです。漫画!という時はこれを入れる。『さくらん』は目に光が入ってないんですよ。光を入れちゃうとすごい漫画っぽくなるので。江戸時代はカサっとした感じで、光沢のものが少ない時代なんですよね。光るのは漆塗りのものだけで、漆は輪郭がふわっと浮いたような光。ぴかっと光る感じは、私の中では現代っぽさに繋がるんです。それもあって『さくらん』では光らせない。

『さくらん』 © Moyoco Anno / Cork

『さくらん』 © Moyoco Anno / Cork

(MC)そういう点で、この時代だから、この目なのですね。

 

ー作品を通して伝わる感覚

(MC)『シュガシュガルーン』をお好きな方がおっしゃってたんですけど、何回も読み返しちゃうんですって。読み返した時に、今の大人の女性としてのときめきではなくて、少女時代のうきうき感とか、キュンとした気持ちになるとおっしゃってました。

(安野先生)私も描いていた時は、自分が子どもの頃にそう感じていた感覚を思い出しながら描いていたので、そう言っていただけるのは本当に一番うれしいですね。

(MC)このように作品から伝わっていくものって不思議に思われませんか。読まれた方にしっかり伝わっていくという感覚。

(安野先生)そうですね。やっぱり描いている時の感覚が読者の方に通じるというのはいつも思いますね。自分も他の作家さんの作品を読んでいて、「この作家さんすごい、こういう気持ちで描いているんだな」と感じたりする時があります。

 

トーク終盤は、来場者の方から事前に受けた質問にお答えしていただきました。90分間があっという間に感じられるトークとなりました。ここに載せきれなかったお話も安野先生の担当編集まりもさんが公式Twitterで実況したものをまとめてくださいました。ぜひこちらからお読みください!

トーク終了後に、サイン会をおこないました。

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サイン会参加者お一人お一人のお名前とサインを書かれる安野先生。憧れの安野先生と対面し、感極まるファンの方のお姿も。

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最後にアルティアムにもサインをいただきました…!受付の近くに飾らせていただいております。ご来場の際はどうぞご覧ください!

会期は7/16(月・祝)まで。2018年秋広島パルコでの巡回も決定した本展!九州での貴重な機会をどうぞお見逃しなく!

【展覧会ページ】
安野モヨコ展
STRIP! PORTFOLIO 1996-2016

2018/6/2 − 7/16

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