安野モヨコ展

会場+トークライブ&サイン会 レポート

好評開催中の安野モヨコ展、会場の様子と、6/29(金)に終了したトーク&サイン会のレポートを合わせてお届けします!

本展では、安野モヨコ先生の20年以上の漫画家としての活動を一堂にご覧いただける原画約250点が並んでいます。1995年に連載が始まった初期の代表作『ハッピー・マニア』をはじめ、本展のために描きおろされた最新作まで、お楽しみいただけます。

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会場に入ってすぐの「安野モヨコの世界」では、2014〜2016年に描かれ、本展に合わせて刊行された画集『STRIP! PORTFOLIO1996-2016』(小学館)の表紙の原画などを展示しています。安野先生の愛用品や年表もありますよ♪

この展示室をはじめとし、順路を進みながら数々の名作に出会えます。2018年6月に完結したばかりの『鼻下長紳士回顧録』、2007年より現在も連載中の『オチビサン』、イムズの夏の広告のビジュアルにも登場している『働きマン』、映画化もされた『さくらん』、若い世代を中心に大人気の『シュガシュガルーン』の5つの作品を中心に、17作品の原画を展示しています。

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『働きマン』の原画はなんと会場内最多の50点!主人公の編集者・松方弘子のいろいろな表情をお楽しみください♪

また、アルティアムのあるイムズの正面入り口の外壁に、イムズの夏の広告「IMS SUMMER 2018」のビジュアルで松方弘子が登場しています!イムズへお越しの際はこちらにもご注目ください!

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『ハッピー・マニア』の主人公、重田加代子も人気のキャラクターです。シゲカヨとさまざまな恋愛模様を繰り広げた男たちを紹介するコーナーもあります♪

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『さくらん』の作り込まれた展示空間も見どころのひとつです。また、単行本未収録の幻の第二部の原画を一部展示しています!併設ショップで販売中の画集に第二部がすべて収録されていますので、ぜひご覧ください。

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『シュガシュガルーン』の部屋では、写真を撮られる来場者多数です!ショコラとピエールのあの名シーンの原画も!会場でご堪能ください。

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カラー原画の色の美しさや、登場人物たちのファッション、その時代や設定を感じる空気感など…いろいろな見方でお楽しみいただけるのでは。

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本展は撮影可能です。ハッシュタグを付けてSNSに投稿すると、安野先生のポストカードがもらえるキャンペーンも平日限定で実施中!ご参加お待ちしております。※なくなり次第終了予定。
会場には、安野先生のエッセイ漫画『監督不行届』でお馴染みのカントクくん&ロンパースがたくさんいます。ぜひ探してみてください!

 

6/29(金)に安野モヨコ先生をお迎えしトークライブ&サイン会を開催しました。10代〜60代の方まで幅広い年齢層の方にお越しいただきました!

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申込開始直後に満席となり、当日は開場前から並ばれる方も多く、開演を待ちわびる皆さまの熱気が伝わってきます。

トークMCの方も作品をすべて読んでいる安野先生の大ファンということで、ファンとしての目線も盛り込みつつ、トークを進行していただきました。当日の様子を一部抜粋してレポートいたします。


ー作品の違い

(MC)作品によって、作風や絵のタッチが違いますよね。正直パッと見たら先生のものではないと思ってしまうような、作品の違い。この違いは、どこからくるのでしょうか。

(安野モヨコ先生)想定する読者の方によって変えています。描きたいことと、読んでくださっている方の求めていることが、ちょうど合わさるところを探している感じですかね。

(MC)その擦り合わせの部分ってすごく大変じゃないですか。

(安野先生)そうでもないと思います。新聞で『オチビサン』の連載が始まった時は、70代の女性がメインの読者だったんですね。家族でお住まいになっている時からずっと新聞を購読していて、ご主人が先に亡くなられて、お子さんも独立して、一人になってもずっと読まれている方も多くて。そういう方が読んで楽しいと感じてもらえるようなものが一番良いと思ったんですよね。

(MC)なるほど。『オチビサン』からファンになられた方も多いですよね。

 

ーファッションについて

(MC)『働きマン』で、シャツやスーツも格好良かったですよね。私もすごく参考にしていました。ボタン一個開けてネックレスをこうしたら良いんだとか。先生の作品はその時の流行のお洋服、女性が参考にしたい、真似したい、そこを刺激されているように思います。ファッションについては、どこからヒントを得られているのでしょうか。

『働きマン』 © Moyoco Anno / Cork

『働きマン』 © Moyoco Anno / Cork

(安野先生)自分が好きというのもありますが、『働きマン』や『ハッピー・マニア』など、現代の女性が主人公という時は、リアルに着られる服というのはすごく考えていますね。イラストとして可愛い服って、あまりリアルに着られない時もあるじゃないですか。あるにしても値段が高かったり、そんなにキラキラした人生じゃないし、みたいな(笑)。

(MC)そうですよね。ちょっと自分と遠くなっちゃいますよね。

(安野先生)でも、『働きマン』の一巻が出た頃に実際に編集者から、「しわしわになっちゃうから、シャツなんか着ない」と言われて、そうかぁ…と思ったんですよね。帰れないまま仮眠をとって、次の日現場に行くこともある。そういう時にしわになるからと言われて。

(MC)実際、そういう声も返ってくるんですね。

(安野先生)はい。なるほどと、すごく参考になりました。

 

ーキャラクターの目について

(MC)いろいろな作品を見ていて気になったのが、一人一人の目が違うところです。本当に特徴的ですよね。目について、先生の中で重視されているポイントがあるのですか。

(安野先生)そうですね。目に光を入れると、すごく漫画っぽくなるんですよ。

(MC)目の中のキラッとしているところですね。

(安野先生)そうです。漫画!という時はこれを入れる。『さくらん』は目に光が入ってないんですよ。光を入れちゃうとすごい漫画っぽくなるので。江戸時代はカサっとした感じで、光沢のものが少ない時代なんですよね。光るのは漆塗りのものだけで、漆は輪郭がふわっと浮いたような光。ぴかっと光る感じは、私の中では現代っぽさに繋がるんです。それもあって『さくらん』では光らせない。

『さくらん』 © Moyoco Anno / Cork

『さくらん』 © Moyoco Anno / Cork

(MC)そういう点で、この時代だから、この目なのですね。

 

ー作品を通して伝わる感覚

(MC)『シュガシュガルーン』をお好きな方がおっしゃってたんですけど、何回も読み返しちゃうんですって。読み返した時に、今の大人の女性としてのときめきではなくて、少女時代のうきうき感とか、キュンとした気持ちになるとおっしゃってました。

(安野先生)私も描いていた時は、自分が子どもの頃にそう感じていた感覚を思い出しながら描いていたので、そう言っていただけるのは本当に一番うれしいですね。

(MC)このように作品から伝わっていくものって不思議に思われませんか。読まれた方にしっかり伝わっていくという感覚。

(安野先生)そうですね。やっぱり描いている時の感覚が読者の方に通じるというのはいつも思いますね。自分も他の作家さんの作品を読んでいて、「この作家さんすごい、こういう気持ちで描いているんだな」と感じたりする時があります。

 

トーク終盤は、来場者の方から事前に受けた質問にお答えしていただきました。90分間があっという間に感じられるトークとなりました。ここに載せきれなかったお話も安野先生の担当編集まりもさんが公式Twitterで実況したものをまとめてくださいました。ぜひこちらからお読みください!

トーク終了後に、サイン会をおこないました。

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サイン会参加者お一人お一人のお名前とサインを書かれる安野先生。憧れの安野先生と対面し、感極まるファンの方のお姿も。

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最後にアルティアムにもサインをいただきました…!受付の近くに飾らせていただいております。ご来場の際はどうぞご覧ください!

会期は7/16(月・祝)まで。2018年秋広島パルコでの巡回も決定した本展!九州での貴重な機会をどうぞお見逃しなく!

【展覧会ページ】
安野モヨコ展
STRIP! PORTFOLIO 1996-2016

2018/6/2 − 7/16

Local Prospects 4

公募告知 募集期限 8/3必着

Open Call for Submission of Works Application deadline: Must arrive by Fri, August 3, 2018

三菱地所アルティアムでは、九州・沖縄とその周辺地域を拠点とする作家を中心に、“いま、ここで紹介すべき作家”を発信する展覧会シリーズ「Local Prospects 4」を開催いたします。
2015年にスタートした本シリーズは、門戸の開かれた展覧会とするため、第2回から出展作家4名のうち1名を公募で選出してきました。回を重ねて迎えた今回の「Local Prospects 4」では、さらなる可能性を求めて、出展作家全員を公募で選出することとなりました。また、本シリーズは、鑑賞者の補助線となり、作品にとっては共振の鍵となるようテーマを設定しています。
さて、完全なる公募展となった「Local Prospects 4」では、どんなテーマを設定すべきか。独自の制作動機を持つ作家にとって足枷あしかせとならず、 “いま、ここで紹介すべき作家”を発信する展覧会としてふさわしいテーマであること。そのことをふまえ、「地域を見つめる多様な視点の創出と対話の深化を目指す」というシリーズの目的に立ち戻ったとき、作品(展覧会)と鑑賞者の間にある距離や差について考察することをテーマにしたいと思い、「この隔たりを」としました。
“隔たり”は作品と鑑賞者の間にだけ存在するわけではありません。異なる前提や価値観を持つ他者との隔たり、発達し続けるテクノロジーと人間との隔たり、自然と人間との隔たり。日々溢れる様々な“隔たり”に対し、私たちはどのような在り方をするのかを問われ、対峙するものが変化する度にアップデートを強いられる時代を生きています。
現代を生きる作家が「この隔たりを」というテーマをどのように解釈し、新しい独自の世界観や作品を生み出すのか。そして、その作品を鑑賞者にどう手渡すのか。「Local Prospects 4」を開催することで、現代における新しい関係性の在り方を模索したいと思います。
また、第4回では応募資格を見直しました。“ローカル・プロスペクツ(九州・沖縄の将来性)”を広く解釈し、「九州・沖縄および周辺地域を拠点に作品を創作する個人または団体」という限定的な応募資格から、「九州・沖縄にゆかりのある作家」としました。九州・沖縄をテーマに制作している、レジデンス経験がある等の作家も応募可能です。
本シリーズに、新たな1ページを加える表現をお待ちしています。

三菱地所アルティアム

【展覧会概要】
タイトル:Local Prospects 4
テーマ:この隔たりを
会期:2018年10月27日(土)〜11月18日(日) ※11/6(火)休館
会 場:三菱地所アルティアム(福岡市中央区天神1-7-11イムズ8階)
主 催:三菱地所、三菱地所アルティアム、西日本新聞社
協 力:Fukuoka Art Tips

【公募概要】
■募集内容
三菱地所アルティアムの展示空間を使った、テーマに沿った作品展示プラン。立体、絵画、インスタレーション、写真、映像作品など表現の形式・ジャンルは問いません。

■採用作家
3名(または3グループ)

■応募資格
日本語または英語でのコミュニケーションが可能で、制作の拠点を九州・沖縄および周辺地域に置いている、あるいは九州・沖縄にゆかりのある個人または団体。応募する作品の著作権を有すること。

■サポート
・制作補助費:30万円程度(予定/補助費を超える必要費用は自己負担/搬出入は各自でおこなうものとし、展示に使用する什器や備品も出品者が用意)
・展覧会記録冊子作成
・三菱地所アルティアムウェブサイトにおける展覧会の紹介、および郵送・Eメールによる開催告知

■審査方法
応募プランおよびファイルによる審査でおこないます。

■提出内容
① 応募用紙(PDFエクセル
応募用紙は、三菱地所アルティアムのウェブサイトよりダウンロードしてください。あわせて、「注意事項」も必ずご確認ください。原本とコピー1部を提出してください。
② 過去の代表的作品の画像、活動実績のまとめ
※映像作品は、作品を収録したDVD(1枚)、イメージ画像数点、3分程度にまとめたダイジェスト版を送付してください。

■応募方法
・A4サイズのファイル(1冊)に、上記の項目を入れ、郵送または宅配便にて提出してください。
※実際の作品は受け付けません。応募書類の持ち込みもお断りしております。
・選外者のファイルは返却しますので、返却用切手貼付の封筒を同封してください。
※封筒が無いもの、封筒のサイズが合わないもの、返信用切手が貼付されていないもの、または料金不足の場合は、着払い扱いで返送します。なお、応募用紙は返却いたしません。

■審査員(順不同・敬称略)
後小路雅弘(九州大学大学院 教授)、阿佐美淑子(三菱一号館美術館 学芸員)、宮本初音(ART BASE 88/Fukuoka Art Tips)、山田晃子(三菱地所アルティアム)

■スケジュール
募集期限:2018年8月3日(金) 必着
結果発表: 8月31日(金)
搬 入: 10月24日(水)〜10月26日(金)
会 期: 10月27日(土)〜11月18日(日)
搬 出: 11月19日(月)

■結果発表
審査結果は2018年8月31日(金)に三菱地所アルティアムのウェブサイトを通じて発表します。結果に関するお問い合わせはお断りいたします。ご了承ください。

■注意事項
・搬入可能な作品は、搬入用エレベーター(幅2.5m×奥行1.6m×高さ2.5m)に積載可能なサイズです。
・発音、発光、臭気を発する作品など他の作品や展示環境に及ぼす影響が大きい作品は不可とします。
・過去にコンテスト等で発表歴のある作品は、出展不可とします。
・会場内での火気の取り扱い、塗装作業、食品販売、生き物の持ち込みは厳禁です。
・床面への釘打ちやカッティングシート貼り等の作業はできません。カッター等工具を使用する際は、必ず床面を養生してください。
・壁への釘打ちは可能ですが、会期後はパテ等で穴埋めをお願いいたします。
・法律や何らかの契約、または公序良俗に反した作品の応募は不可とします。
・応募者は、作品が第三者のいかなる権利も侵害していないことを保証し、万一苦情等があった場合には自らの責任で解決してください。
・展示上、支障が生じた場合は、作品の撤去について協議することがあります。
・展示室内での特定企業や店舗の宣伝行為、応募作品、関連商品の販売表示や呼びかけはできません。
・入選が確定した後、作品のタイトル、形状、構成、材質など著しく応募作品と異なる場合は入選を取り消すことがあります。
・応募用紙の記載内容に不備、虚偽が認められた場合、または規定違反、その他の問題が生じた場合は、入選を取り消すことがあります。
・出品作品は十分注意して取り扱いますが、損傷については理由のいかんに関わらず、主催者は一切責任を負いません。必要と思われる方は、各自で保険加入をお願いします。
・出品作品の著作権は、応募者本人に帰属します。ただし、展覧会での公開・発表、使用、およびその広報・告知(印刷物やインターネットなど)、記録目的で使用する権利については、三菱地所アルティアムにあります。

■個人情報の提供・利用目的
応募用紙にご記入いただいた個人情報は主催者が適正に管理し、本事業に関する資料送付、連絡、その他必要と思われる事項(来年度以降も含む)以外での使用はいたしません。また主催者は入選者の氏名・生年月日・居住都道府県名・経歴等の公表ができるものとします。

■お問い合わせ・ファイル送付先
三菱地所アルティアム 810-0001 福岡市中央区天神1-7-11イムズ8階
「Local Prospects 4」事務局
TEL 092-733-2050
info@artium.jp

【審査員プロフィール】
後小路雅弘
九州大学大学院人文科学研究院 教授
福岡市美術館学芸員として、アジア近現代美術の紹介に取り組み、学芸課長として1999年開館の福岡アジア美術館の設立に関わった。2002年より九州大学へ移り、アジア近現代美術史を研究するかたわら、ベトナム近代絵画展などのキュレーションを手がけるとともに、学生によるAQAプロジェクトを指導し、アジア現代美術展を企画実施してきた。主な展覧会企画に「第4回アジア美術展」(1994年)、「東南アジア─近代美術の誕生」展(1997年)、「第1回福岡アジア美術トリエンナーレ」(1999年)、「アジアのキュビスム」(2005年)など。

<応募者へのメッセージ>
1978年に福岡市美術館の学芸員になって以来、福岡アジア美術館学芸課長、九大教授と立場は変わりましたが、ずっとアジアの現代美術のキュレーションに関わってきました。研究教育の面でも、汎アジア的な視点から「日本」を捉えなおそうと努めてきました。アジアの中の九州へ、九州の中のアジアへと往還するような作品に出会えたらうれしいです。

阿佐美淑子
三菱一号館美術館 学芸員
専門は染織を中心とした装飾美術、東西交流史。東京芸術大学大学院美術研究科西洋美術史専攻修了。レンヌ第二大学(フランス)に留学後、神奈川県立近代美術館、東京芸術大学大学美術館、北九州市立美術館を経て2007年より現職。主たる担当展覧会に、「高松次郎―思考の宇宙」展(2004年)、「田園の輝き 児島善三郎」展(2007年)、「田園讃歌―近代美術に見る自然と人間」展(2007~2008年)、「三菱が夢見た美術館 岩崎家と三菱ゆかりのコレクション」展(2010年)、「KATAGAMI Style」展(2012年)など。現在、ファッション、デザイン関係の展覧会を準備中。

<応募者へのメッセージ>
16年前、東京から北九州に来た初めの年、九州には面白い作品を作る作家が多く、現代アートの地盤が確立していることに気づきました。九州といえば、何百年も前からものつくりを連綿と行ってきた土地柄で、陶芸にせよ、染織にせよ、その歴史が土地にも空気にも脈々と流れ、現代にまで受け継がれているということなのでしょう。審査に二回参加して、その思いは更に強くなっています。今年もエッジの効いた作品がたくさん集まることを期待しています。

宮本初音
ART BASE 88/Fukuoka Art Tips
1962年生まれ。福岡市在住。ART BASE 88 代表。福岡市を拠点に1980年代より街なかのアートプロジェクトやアートマップ制作、海外交流事業などを企画運営。携わったプロジェクトに「ミュージアム・シティ・天神」「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」「WATAGATA福岡プサンアートネットワーク」「筑後アート往来」など。近年は九州沖縄のアーティストに関わる企画を手がける。

<応募者へのメッセージ>
今回すべて公募になったのは、なぜでしょう。これまで応募してきたみなさんの力があったからです。自信をもって、挑んでください。自分のなかで、どうしても止められない考えがあって、それが形になりそうだと思ったら、表に出してあげてください。それは意外とほかの人にはできないことで、あなた自身にとっても意外と今しかできないことなのです。オリジナルなプランを、楽しみに待っています。

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Local Prospects 4 is the fourth in an exhibition series held at Mitsubishi Estate Artium, primarily to showcase artists based in or near Kyushu and Okinawa that merit wider recognition here and now.

This series was launched in 2015, and since the second edition, we have selected one of the four exhibiting artists through an open-call process so as to make the exhibition accessible to the general public. Now, for Local Prospects 4, we are expanding the search for new possibilities by selecting all of the artists through an open call for submission of works.

Each exhibition in this series has a theme intended to supplement viewers’ appreciation of the works and serve to bring the works into harmony and resonance with one another.

So, what would be a suitable theme for Local Prospects 4, as a fully open-call exhibition? It should be a theme in line with the goal of “showcasing artists that merit wider recognition here and now,” but not one that would overly shackle artists who are driven by their own individual motivations. With these considerations in mind, and a renewed focus on the series’s objective of “generating diverse insights on the region and deepening dialogue,” it seemed appropriate to shed light on the distances and disparities that lie between works of art (or exhibitions) and viewers, and the theme of Distances was selected.

Distances do not only separate works of art and viewers. There are distances between the self and others with different assumptions and values, between rapidly advancing technologies and humanity, between nature and humanity. Every day we are faced with the challenge of bridging these distances and divisions, and in the current era, we are constantly forced to update our approaches as the set of issues we are facing continuously evolves.

How do contemporary artists interpret the theme of Distances, and create works of art conveying unique views of the world? And how are these presented to the viewer? In organizing Local Prospects 4, we aim to explore new modes of interrelation in the current age.

For the fourth exhibition in the series, we have also revised the criteria for entry. We have expanded the idea of “local prospects (i.e. the future of Kyushu and Okinawa)” from the limited scope of “groups or individual artists actively working in or near the Kyushu and Okinawa region” to also include “artists with ties of some kind to Kyushu or Okinawa,” including those who focus on the region in their work or have done residencies there.

We look forward to receiving a wide variety of submissions for this exciting new chapter in the Local Prospects series.

Mitsubishi Estate Artium

 

【Exhibition outline】
Title: Local Prospects 4
Theme: Distances
Exhibition period: Sat, Oct 27 – Sun, Nov 18, 2018  *Closed on Tue, Nov 6
Venue: Mitsubishi Estate Artium (8F IMS, 1-7-11 Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka 810-0001 Japan)
Sponsors: Mitsubishi Estate, Mitsubishi Estate Artium, The Nishinippon Shimbun
Cooperation: Fukuoka Art Tips

【Guidelines for applications】
■Content
Artworks should be submitted together with a plan for display within the Mitsubishi Estate Artium gallery, in line with the exhibition theme. All genres will be considered, including sculpture, painting, installation, photography and film.

■Number of exhibitors selected
Three individual artists or groups

■Application criteria
Applicants should be individual artists or groups actively working in or near the Kyushu and Okinawa region, or with some manner of ties to the region, with communication skills in English or Japanese. Applicants must have intellectual property rights to the works submitted.

 ■Support
・Production support of 300,000 yen (scheduled). Artists will need to personally supplement any costs above this amount. Delivery to and from the venue is the responsibility of individual artists, along with any furnishings or accessories intended as part of the display.
・Production of exhibition catalogue.
・Promotion via the Mitsubishi Estate Artium website, newsletters and emails.

 ■Evaluation method
Applicants will be judged based on their submitted plan and file.

 ■Application requirements
(1) Application form(PDF/Excel
Please download an application form from the Mitsubishi Estate Artium website. Be sure to read and understand the guidelines and submission rules before submitting your application. Please submit the original form and one copy of it.
(2) A collection of pictures of important works and achievements from the past
*For video works, please send a DVD of the work, multiple images, and a digest version no longer than approximately three minutes.

 ■How to apply
・Please insert the above-mentioned items in an A4-size file and send them by post or delivery service.
*Actual works will not be accepted. Hand-delivery of application documents is also prohibited.
・Files submitted by those who are not selected will be returned, so please include a stamped, self-addressed envelope.
*Applicants who do not include return envelopes, or send envelopes that are not the correct size or lack sufficient postage, will have their works returned C.O.D. Note that application forms will not be returned.

 ■Judges (in no particular order, titles and honorifics omitted)
USHIROSHOJI Masahiro (Professor, Faculty of Humanities, Kyushu University), ASAMI Yoshiko (Curator, Mitsubishi Ichigokan Museum, Tokyo), MIYAMOTO Hatsune (Art Base 88/Fukuoka Art Tips), YAMADA Akiko (Mitsubishi Estate Artium)

 ■Schedule
Application deadline: Must arrive by Fri, Aug 3, 2018
Results announced: Fri, Aug 31, 2018
Preparation: Wed, Oct 24 – Fri, Oct 26
Exhibition period: Sat, Oct 27 – Sun, Nov 18
Cleanup: Mon, Nov 19

 ■Notification of selection
The names of successful individuals or groups will be posted on the gallery’s website (http: //artium.jp) by Friday, August 31, 2018. Please note that we cannot respond to inquiries about selection results.

 ■Handling of personal information
The personal information in the application form will be properly managed by the event organizers, and will never be used for any purpose other than sending documents regarding this competition, and contacting the applicants if necessary (including next year and thereafter). We reserve the right to disclose the name, date of birth, prefecture of residence, career record, etc. of the selected artists.

 ■Contact information for inquiries and sending files:
Mitsubishi Estate Artium
8F IMS, 1-7-11 Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka, Japan 810-0001
“Local Prospects 4” section
Tel: +81-92-733-2050
info@artium.jp

 【Profile of judges and message from judges】
USHIROSHOJI Masahiro
Professor, Faculty of Humanities, Kyushu University
Ushiroshoji focused on showcasing modern and contemporary Asian art as a curator at the Fukuoka Art Museum, and was involved in the 1999 establishment of the Fukuoka Asian Art Museum as chief curator. Since 2002 he has been at Kyushu University, researching modern Asian art history and curating exhibitions including of modern Vietnamese painting. He has also led students in carrying out the AQA Project and planned and implemented exhibitions of Asian contemporary art. Major shows Ushiroshoji has played a key role in organizing include the 4th Asian Art Show (1994), The Birth of Modern Art in Southeast Asia (1997), the 1st Fukuoka Asian Art Triennale (1999), and Cubism in Asia (2005).

<Message>
Since I became a curator at the Fukuoka Art Museum in 1978, my position has changed over the years, to chief curator at the Fukuoka Asian Art Museum and then to professor at Kyushu University, but I have remained involved in the curation of contemporary Asian art all this time. In terms of research and education, as well, I have sought to reframe Japan from a pan-Asian perspective. I will be happy if I can encounter work through which we can see Kyushu as part of Asia, and see the Asia in Kyushu.

 

ASAMI Yoshiko
Curator, Mitsubishi Ichigokan Museum, Tokyo
Asami is an expert on decorative arts, with a focus on textiles, and on the history of East-West interaction. She completed the graduate program in Western art history at the Graduate School of Art, Tokyo University of the Arts. After studying abroad at Université Rennes 2 Haute-Bretagne, France, she worked at the Museum of Modern Art, Kamakura, the University Art Museum at Tokyo University of the Arts, and Kitakyushu Municipal Museum of Art before taking her current position in 2007. Major shows she has played a key role in organizing include Takamatsu Jiro: Universe of His Thought (2004), Pastoral Splendor: Kojima Zenzaburo 1893-1962 (2007), Songs in Praise of Rural Life: The Nature and Man Relationship in Modern Art (2007-2008), From Dream to Reality: The Iwasaki / Mitsubishi Collection (2010), and Katagami Style (2012). Asami is currently preparing an exhibition related to fashion and design.

<Message>
Sixteen years ago, during my first year in Kitakyushu after relocating from Tokyo, I realized that there were many artists producing interesting work in Kyushu, and the foundations for a contemporary art scene were in place. For centuries Kyushu has been a center for production of crafts, including ceramics and textiles, and this history seems interwoven into the land and the air, living and breathing to this day. After serving as a judge for this exhibition twice, I feel this all the more strongly. I hope to see a lot of edgy and intriguing works submitted again this year.

 

MIYAMOTO Hatsune
ART BASE 88 / Fukuoka Art Tips
Miyamoto was born in 1962 and lives in Fukuoka City. She is the director of ART BASE 88. Based in Fukuoka since the 1980s, she has been engaged in organizing local art projects and creating art maps, and in planning and running overseas exchange projects. She has been involved with projects including Museum City Tenjin, Beppu Contemporary Art Festival Mixed Bathing World 2009, Watagata Fukuoka Busan Art Network (WATAGATA Arts Network), and Chikugo Art Traffic. In recent years, Miyamoto has been handling projects relating to Kyushu and Okinawa artists.

<Message>
What was behind the decision to select all the artists by open call this time around? I believe it was the energy and talent of the artists that have submitted work thus far. If you are considering an entry, be confident and take this challenge. If you have ideas in your mind that clamor to get out and seem ready to take shape, by all means make your vision a reality. You may find that, to a surprising degree, nobody but you can achieve this, and you may only be able to achieve it if you act now. I look forward to seeing many highly original proposals.

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津田直 エリナスの森

津田直スライドショー&トーク レポート

5/5に開催したスライドショー&トークのレポートをお届けします。津田直さんと東京からリトアニア専門店LTshop店主の松田沙織さん、そして、お二人ともに旧知の仲であり、最新写真集『Elnias Forest』の出版を手がけられたhandpickedの盆子原明美さんにも、聞き手・進行役としてご参加いただきました。
津田さんがリトアニアで撮影した写真を投影し、本のページをめくるように丁寧にお話していただきました。その中で、津田さんが写真家として大切にされていることなどが見えてきました。
(以下はスライドショー&トークの内容を一部抜粋・編集したものです。)

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出会い

(盆子原明美さん)最初に、津田さんからリトアニアとの出会いについてお話いただけますか。

(津田直さん)5年前、リトアニアとラトビアに行ったのが最初です。少し急ぎ足な旅だったので、リトアニアからラトビアに向かう時、リトアニアの風景が消えていくことに後ろ髪を引かれて。もう一度ここに戻りたいという気持ちを抱えながら旅を続けたことがきっかけでした。

(盆子原さん)津田さんと松田さんの共通の場所はリトアニアですが、お二人はどのようなきっかけで出会ったのでしょうか。

(津田さん)東京のGallery916で個展をした時の担当者に、「津田さん、最近どのあたりを移動しているんですか」と聞かれて、ちょうどリトアニアに入り始めているとお伝えしたら、「実は知り合いがリトアニアのお店をやっています」ということで松田さんのことを知りました。ただ、それから結構時間が経ってから松田さんのお店に行ったと思います。僕は常々流れを大事にしていて、自分の力に惹き込む力が加わったときに一番一致するというか、心地よい時間が流れると感じているので。そのタイミングでLTshopを訪ねたら、松田さんがいらっしゃった。

(松田沙織さん)ある日、津田さんがお訪ねくださって、彼女に「津田さんが来てくださったんだよ」という話をしたら、そういえば、そういう話をしたかもしれません、と。

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津田直さん、松田沙織さん

(津田さん)僕が旅している時は、いつもいろんな手掛かりがあるんです。地図とかじゃなくて、形の無いものを手掛かりにしていくことが多い。例えば、松田さんとは知人を介して繋がりが生まれたけれども、LTshopのお店に入った瞬間の匂いが、リトアニアを旅した時のものに含まれていた。それは意図して作ろうとした香りではないんです。多分森の中もそうなんですけど、なにか一種類の香りではなくて、複数の香りが重なり合った厚みのあるもの。それで、自然と松田さんのお店に通うようになりました。

(松田さん)匂いのことですが、大使館の公使のおばさまが来てくださった時、「あら、おばあちゃん家の匂いがするわ」とおっしゃって。それはすごく嬉しい言葉でした。

 

ーリトアニアについて

(津田さん)リトアニアはポーランドとも接していて、飛び地のロシアがあり、北にラトビアとエストニアがあって、バルト海をまたいでフィンランドがある。今は「バルト三国」と観光的にくくったりしますが、僕の中では、とてもコントラストのある国々だと思っています。言語的にもかなり違う。

(松田さん)本人たちも、一緒にしないでくれって思っているみたいです。

(津田さん)決して仲が悪いとか一言では言えない。隣接するから複雑な感じがあります。いろいろ領土の問題もあったし。

(松田さん)バルト三国で一つの国だった歴史はなく、リトアニアの歴史はポーランドとの関わりが大きいです。リトアニア、ラトビア、エストニアの三国はともに資本主義になっていく過程で、「バルト三国」として手を携えてきたという感じがあります。

(盆子原さん)松田さんはどういうきっかけでリトアニア専門店を始めたのですか。

(松田さん)お店がやりたくて何を売ろうかっていう順序ではなくて、リトアニアと出会って、リトアニアと関係を深めていき、それを日本のお客様と共有していきたいと思い、お店という形に結果的になりました。
私がリトアニアに行きはじめた8年前は、発展する夜明け前みたいな時期で、独立して20年くらい経った頃です。すごく静かでものがなくて、でもなんだか幸せそうで、なんだろうこの国は?というのが最初の印象です。その翌年から時代が動き始めて、どんどん西の空気に変わっていく様子を肌身で感じました。その中で、クラフトは他の国より純粋な形で残っているように思います。
リトアニア語に「かごを編む」という動詞があるように、かごは生活で必要な道具として今も農閑期に作られています。こうしたものを通して、リトアニアを日本の暮らしの中に取り入れることで、まだ見ぬ国に思いを馳せてもらえたらと思ってお店をやっています。

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(津田さん)ヨーロッパが持っている冬の空の重たさが、工芸的な心をくすぐり、人を土に近づけ、木を大事にし、集めておいたもので冬を越えるという、本来人間が何千年もやめなかった行為がリトアニアには残っています。「かごを編む」という動詞があるのは、一番大事なものがまだ残っているということだと思うんです。自然の揺らぎが人を動かしているということが、松田さんの選ばれているもの中にもある気がしています。

(松田さん)かごも、木が芽吹く前の方がきれいに編めるので、冬に編まないといけなくて、眠っている木を申し訳ないけれど収穫して、春からの収穫に備えて作る。そういう自然に合わせたサイクルが営みとして残っています。

 

ー陶芸と写真

(津田さん)リトアニアは、自然信仰が長く残った国で、自然と人がとても近い。滝そのもの、岩そのものが信仰の対象だったり、神様だったり。古い時代の時間と現在がゆるやかにまだ繋がっている場所だと思いました。
僕はリトアニアに通いながら、前の時代からずっと残っている信仰や行いを丁寧になぞっている人たちが住む小さな村に行き、徐々に知り合いができていった。そういうところで撮っていました。
そんな中で、ある陶芸家と出会い、その人の作品も写真に収めました。僕は、写真を撮ることと、陶器が焼かれることはちょっと近いような気がしています。僕の場合はフィルムカメラがベースなので、シャッターを切った瞬間はレンズが閉じて、厳密に言うと撮った瞬間は、僕が見てない時間なんです。撮った時は目を閉じていると言ってもいい。でもその瞬間だけが写真として定着する。写真はそういう不思議なことを、一番大事なところで行うわけです。
陶芸も窯の中で焼かれ完成する。最後のフィニッシュのところは誰も見ていない。僕が出会った陶芸家は「これは私が作ったものというよりも、火の神、灰の神が生み出したものなんだよ」っていう言い方をします。火の神様が最後を仕上げていく陶芸の世界と、ある意味誰も見ていない光景としての写真が、僕の中では重なっています。

 

ー展覧会について

(盆子原さん)今回の展覧会は、写真集を立体的に体感してもらうというコンセプトと聞きました。

(津田さん)今回、僕が撮ってきたものは、言葉にして分かるというよりも、不思議な、掴めるような掴めないような距離感とか、意味以外のものです。古いものが現在残るというのは、意味が剥がれ落ちたものだと僕は思っています。それは見ておかなきゃいけないし、結んでおかないといけない。もしかしたら、ひっかかったままで置いておかないといけないものかもしれないと思っていて。構想の段階で、それらをどううまく混ぜ合わせるかを考えたとき、バラバラの本のページがそこに立っているようなイメージがありました。そして今回、空間構成をお願いした豊嶋秀樹さんに、僕がリトアニアで見た距離感のまま写真を置けないかと話しました。それで、始めにエリナスの絵を置いて。いきなり暗い冬のシーンがあって、それが扉になって、裏に行けば、また写真があって。写真の裏に回れたらいいなと思った。一つ越えた時に、初めて次の風景が見えてくるような。写真を見る中で、丘を越えていく。森の中は入っていけば行くほど迷うわけですけど。そういうことが、来場するみなさんの中で起こった方が良いなと思いました。

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盆子原明美さん

(盆子原さん)普通、展覧会には順路がありますけど、自由に見て立ち止まっても良いし、また戻っても良いというコンセプトでしょうか。

(津田さん)リトアニア自体が、標識のようなものがあまりないんです。史跡はどの辺ですかって聞いているうちに、もうその上に立っていたりする。本来そういうもののような気がします。

(松田さん)裏庭から雑木林に行って、そのまま行ったらもう森みたいな感じです。日常の延長ですね。公園とか、野外博物館とかも村みたいな感じです。垣根がよく分からないんです。

(津田さん)境界線があまりない、過去と現在がゆるやかに繋がっている。力んで観光的なことをあまりやっていないということかもしれません。

 

ー自然について

(津田さん)リトアニアの人たちの、見えないものにどれだけ目を向けるかというのは、日本人の感覚と共通するもののような気がしています。今は資本主義の社会の中で、輪郭がはっきりしたものや、名前の付いたものを頼りに見ているのかもしれないですけど、そうではなくて、ちゃんと気配を感じてほしい。展覧会会場では、自分の歩く速度で、自然のものと対峙して、そこに転がる意味以前のものを感じてほしい。
「自然」と僕が言っているものは、決して人間以外の、いわゆる大自然が生んだものだけを指しているのではありません。人が関わることで開かれていったり、残っていったりしたものもある。例えば、歌い継がれてきた歌などの、人間の小さな解釈。僕の場合だと、それは写真です。そういうことを介して、次へ繋いでいけたらと思っています。一番長く残っていくものはそういう世界観だと思うから。だから、この自然をどういうふうに見てほしいとかは、敢えて強くあったりするわけではありません。

 

ーこれから書くエッセイのこと

(津田さん)これから、今回のプロジェクトに関するエッセイを書こうと思っています。
今回のプロジェクトには、詩のようなテキストのある写真集と、見ている人の身体的感覚に委ねられている展覧会があり、その2つの間には少し距離があります。またそこから距離を置いて、エッセイを書こうと思っています。みなさんには時間差が生じるかもしれないけど、いつかそれが重なって共鳴する時が来ればいいなと思っています。
これは、リトアニアの古い歌から学んだ方法です。リトアニアの古い歌は、パラレルでできていることが多い。4番まである木の歌とか。1番の歌詞では森の中の大きな木の話、2番ではその木は実は3本の枝に分かれていてという話、そして春が来て、そこで実って、実が落ちて、という季節のうつろいのことを歌っているんだけど、4番目まできた時に、これって木の話じゃないかもって気づくんです。それは、1本の木の話をしているようで、実は人間のあるお母さん、ある家族に置き換えられるように書いてある。木と人間という2つの話が少し離れて並行している。同じ速度でその2つの流れが進んでいる。そういうところに場所が生まれるのかなと僕は思っています。
歌うときは、複数の人が輪唱します。1人、2人だと始めは声を聴いている気持ちで聴いているんですけど、4人とかになっていくと、誰の声でもなくなって、誰が歌っているのかじゃなくて、歌が一つの声として聴こえる。つまり共鳴した時にたった一つのものが自分に残る。リトアニアを体感して、その感覚こそが「伝える」ってことなんだと強く思いました。
皆さんの中にその感覚を起こせるかは分からないんだけど、場所や季節や意味がどうだとかいうことではなく、それよりも何かが繋がった瞬間に皆さんが見たものや感じたことが一番大事なことのような気がします。

 

ーつくるということ

(盆子原さん)津田さんは作品をつくる時に、何を最も大切にしていますか。

(津田さん)とても難しいことなんですけど、「速度」が一番大事だと思っています。今の日本の社会はかなり過密な中、高速で動いていますが、その中に何かを持ち込んでも、倒れてしまうんだったらあまり意味がない。僕がたった一人で違う速度を持ち込んだとしても、はっきりとした存在感を持てば、その速度になっていく人が出てくるような気がして、まずは提案をします。
例えば、今回の写真展では、アルティアムの空間を見て、四辺の壁は一切触れず、真ん中に場所を作るという提案しました。安定した壁に掛けてしまったのでは、多分揺らがないと思ったから。揺らさなきゃいけないんだと思い、豊嶋さんと話していくなかで、今回の会場構成が生まれていった。だから僕が持っている感覚だけですべてが動いてるのではないということは、はっきりと言えます。関わっている人たちの速度が、大きく関わって入ってきている。僕だけではなくて、関わったメンバーの皆さんの持っていた時間を見ながら、間を見ながら、ずっと自分が立っていた場所そのものでつくったという感じです。
スケジュールとは違う時間軸で動くので、非常にリスクの高い仕事のやり方になります。ぎりぎりまで苦しみながら決断しました。
ただ、入り口で春の兆しを持たせたいと思って、あのピンクに。そのあとに入るならば、裏面をグレーにしても大丈夫っていうのが自分の中であるんです。人肌の温もりを一瞬見たうえで、グレーに入っても苦しいはずはないと。その向こうに太陽が待っている。奥に行けば光を浴びて、その中で蘇る。ペルクーナス(雷の神様)に打たれて、雷に打たれて、みんな命を吹き返すんだということが、設定としてあります。だからこそ皆さんを歩かせなきゃいけないし、それぞれの速度でそこを歩いてほしい。結果的にはリスクの高いことをやって、スタッフには非常に負担をかけたけど、豊嶋さんの力が加わり、心地よい空間を作ることができた。須山悠里さんというデザイナーの力で写真集が出来上がった。やはりメンバーですから。その人たち、みんなを信頼しています。

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リトアニアや展覧会のこと、津田さんにとって作品をつくるということについて、より知っていただける貴重なトークとなりました。LTshopの松田さんがセレクトしたリトアニア関連の商品は、本展会期中、併設ショップドットジーで販売しております!ぜひお立ち寄りください。
会期は残り10日となりました。ご来場、お待ちしております。

【展覧会ページ】
津田直 エリナスの森
Nao Tsuda Photo Exhibition | Elnias Forest

2018/4/28 − 5/27

津田直 エリナスの森

オープニングレセプション レポート

初日4/28(土)に津田直さんが来場し、オープニングレセプションをおこないました。その模様をレポートします。
津田さんに語っていただいたことの中に、本展をご覧いただく際のヒントがたくさん隠されているように思います。これらの言葉を手掛かりに、ぜひ会場でエリナスの森を体感してみてください。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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(津田直さん)お集まりいただき、ありがとうございます。
僕は福岡に住んでいるので、何度もアルティアムの展覧会を見ています。今回、福岡で新作の展覧会ができるということで、今回のテーマでしかできない空間を作りたいと思いました。今日は来れませんでしたが、豊嶋秀樹さんに会場構成を担当してもらいました。彼と話しながら、イメージとしては、写真ひとつひとつが、その向こう側に入っていけるような扉になったらいいなと。それは本のページをめくるということにも繋がるのかもしれないですけど。写真に入っていく、知らない国に出会っていく、そういうことが体感できたら…というところから構想は生まれています。ご覧いただいているように、ギャラリーの四方の壁には写真が一点も掛かっていません。入口で写真に出会って、進んで、振り返ったらまた写真があって。「森」がひとつのテーマになっています。あまり動線を縛りたくないこともあって、なにか見過ごしてしまったとしても、行きたい方向に自由に身体を振りながら進んでいけるような写真展をつくりたいと思い、こういった会場になりました。わずかですが、言葉・詩のようなものを書いています。展覧会と同時に、写真集もリリースしました。
会期中にトークも行います。その時は、制作の裏側の話をしようかなと思っています。4年もリトアニアを旅したこともあり、なぜその場所に惹き込まれたのか、そこでどういうふうに写真を撮っていく日々があったのか等、お話できればと思っています。
福岡に暮らし始めて6年経って、今までいくつか小さな展覧会をやったり、トークイベントをやったりしてきましたが、こうやって自分が今拠点を置いている身近なところで展覧会をできること、そして僕にとって今本当にやりたいことができたことは、すごくうれしく思っています。
5/12(土)から太宰府天満宮でも展覧会(津田直写真展 辺つ方の休息)をさせていただきます。この5月は三菱地所アルティアムと太宰府天満宮の2つの場所をまたいでもらえればと思っています。ここの扉を開いて、また次の扉が来てという連続性で展覧会をつくる、写真や言葉を巡るということをやりたいなと思って、この季節を迎えました。5月の太宰府の展覧会も楽しみにしていただきながら、本展を見ていただければと思います。

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ータイトルにある「エリナス」について

入り口の展覧会タイトルの下に、僕が依頼して描いてもらった絵を展示しています。写真家が写真展をやる時に絵があるというのは例外的で、僕も今までやったことがないです。タイトルの「エリナス」ってなんだろう、土地の名前か、女性の名前なのか、とかいろんなことを思われているかもしれませんので、今日この場で言葉を添えておこうと思います。鹿には角が2つありますが、その角1本ずつが9本に分かれている鹿がいたという話を、リトアニアを旅して、高齢のおじいちゃんやおばあちゃんから聞きましたし、古い歌の中にそういう言葉を見つけました。でもエリナスのことをリトアニア人に何度聞いても、ぼんやりと知ってるような、知らないような存在なんです。
今、リトアニアは主にキリスト教文化ですけど、その前は日本と同じような自然の神様、例えば雷の神様、川や泉そのものが神様、そういったものがたくさんあった時代でした。そして、それよりも前には、「エリナス」という信仰があったとちらっと聞きました。そこから今回のタイトルに繋がっていく構想が膨らんで。ある意味、リトアニア人ですらよく分からない単語で、ヨーロッパの人も「エリナス」と聞いて、ピンとくる言葉じゃないからこそ、そのままにしておこうと思いました。大事なものだけぎゅっと詰めておいて、どこかでそれが皆さんの人生の中でもう一度開かれる瞬間がくればいいなと思っています。今回の展示の中で一枚だけでも気になるものが心にひっかかって、リトアニアに目を向けたり。そういう速度でいいと思っているんです。
9本の角を持つ鹿を写真には撮れません。もしかしたら、見てはいけないものかもしれないと思っています。そこで、以前から付き合いのあった画家の寺崎百合子さんに話をして、「そういう古い話を聞いて、それを今リトアニアの中で書き留めておきたいものなんだけど、描いてくださいませんか」と頼みました。普段、人の依頼で絵を描く作家ではないので、断られるだろうと思いながら、言葉を持っていきました。でも、非常に共鳴してくれて、絵を描いてくださり、写真集にも収録しています。
「エリナス」というのは、今は見ることができない架空の存在で、でも昔々もしかすると人々が一番大事に思っていた鹿で、象徴的存在だったかもしれないということから、寺崎さんの作品が案内役というか扉となって、このシリーズは始まっているというふうに僕の中で設定しました。今日も言葉だからこそお伝えできるけれど、このことを書いたりしようとは思っていません。神聖なものとして、日本人が神様を存在としてだけ向き合って、気配だけを大事にしているように、ヨーロッパにもそういう時代があったと思ってもらえれば。そのことだけ、今日はここで触れておきたいと思いました。

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ー4本のキャンドルについて

この4本のろうそくは、普段からリトアニア人が使っているものではありません。小さな村で古い資料が見つかり、再現したものを撮らせてもらいました。ろうそくの芯が1本だけのもの、3〜4本に分かれているものもあります。
左上の芯が1本のろうそくは、「ライフキャンドル」と言われています。生まれた時に家族が火をつけて、一つの灯りをそこで分かち合う。命に立ち会う、ということだと思います。火を付けて、家族や身内で過ごし、みんなでひとつの祝福をしたところで火を消す。そして、次の大事な機会に火をつける。その人が死ぬ時までこの1本のろうそくを使うんです。リトアニア人、ヨーロッパには、元々そういう文化があった、ろうそくとはそういうものだったと言っている人もいます。
今回のプロジェクトには、75歳くらいのリトアニア人がスタッフとして入ってくれています。彼の妻のお母さんの体調が悪くなってきて、「そろそろの彼女のライフキャンドルを枕元に持って来なきゃね」っていう話を、たまたま旅の途中で彼が言うのを聞いたんです。それに僕はどきっとしました。ひとつの命が細くなってきて、いよいよ最期が近づいた時に火をつけて、息を引き取る時に消さない。そうやって一人の人が生まれて亡くなっていく。僕らはもう今電気を知ってしまっているから、たくさんの灯りの中で生きているけど、ひとつの灯りと人間の命が同じくらいの重たさというか慎ましさなのかって。この1本のろうそくには、そういう世界観があります。
芯が2つあるろうそくは、「ウェディングキャンドル」と言われています。結婚する時にそれぞれに火をつけて、それが溶けながら1本の芯になっていくのを、周りと自分たちで見届ける。それが結婚という約束なのだと、火が教えてくれる。
芯が3つあるのは、「クロスキャンドル」です。子どもたちが大きくなって10代になった時に、良いもの、悪いもの、いろんなものに触れて、災いが降り注ぐこともある。生きていくってそういうことだから。そういうものから、火で自身を守るために使われるもので、前髪が燃えるくらい近くで、自分の正面、右、左で火をつけると聞きました。
右下のは、「ハウスキャンドル」。自分が家を建てるくらい大人になった時に、家の四つ角でそれぞれ火をつけます。家に結界をはるっていう感覚だと思います。
この4つがあればやっていけると、リトアニアの人たちから聞きました。でも、このろうそくは、リトアニアにずっとあり続けたわけではないんです。ある古い民家の床を開けて補修した時に、このろうそくの古いスケッチが残っていた。リトアニアは何度も領土を奪われてきた小さな国だから、家の中ではなく、土の中や床下に隠していたんだと思います。そして、これらは、それをもとに去年ある村で僕の知り合いたちが再現したろうそくなんです。ちなみに、「ペルクーナスデイ」(雷の神様の日)に作るということも決まっているそうです。

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ー春のはじまりについて

入口入ってすぐのところに緑が茂っている写真があります。リトアニアは、3〜4月になるとグレーの重たい空がだんだん晴れてきて春になります。「ペルクーナス」という雷の神様が、大地に雷をドーンと落として、植物に命が吹き込まれ、動物たちが目を覚まして、春が始まると言われています。僕は、春を連れてくるものが雷だと聞いた時、日本の雷信仰とも繋がっているんじゃないか思いました。リトアニア語は、インド=ヨーロッパ語族で、世界で最も古い言語の一つと言われています。文化とか、習慣とか、この国ではなくなってしまったとしても、遠い国のどこかには残っているかもしれない。床下にあるかもしれない。そんなものを実はこの展覧会と写真集のなかで拾い集めながら、これからまたエッセイを書いたりしながら、最終的にはこの展覧会をリトアニアに持っていこうと思っています。

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5/5(土・祝)にスライドショー&トークがあります。津田さんのリトアニアでの撮影の裏話をぜひ、聞きに来てください。会期は5/27(日)まで。※5/15(火)は休館日。
ご来場お待ちしております!

【展覧会ページ】
津田直 エリナスの森
Nao Tsuda Photo Exhibition | Elnias Forest

2018/4/28 − 5/27

森のヒミツ COMPANY展

バスツアー うなぎの寝床プレゼンツ 八女のヒミツ レポート

4/1(日)に「バスツアー うなぎの寝床プレゼンツ 八女のヒミツ」を実施しました。当日は、COMPANYがコラボレートした3カ所の八女の職人さんを訪問しました。今回のイベントは、作り手の方たちとの交流を大切にするCOMPANYのスピリットに触れていただければと思い企画しました。バスツアー当日の様子を写真を交えてご紹介します!

1件目の訪問先へ向かう道中、特別ゲストの登場です!
COMPANYの二人から、バスツアー参加の皆さんに向けて、以前八女を訪れた時のことや、九州の森のイメージについて、ビデオメッセージをいただきました。

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八女のヒミツ1

1件目は、独楽工房 隈本木工所さんを訪問。創業100年を超える老舗独楽屋で、6代目の隈本さんが八女コマの歴史や特徴を丁寧に教えてくださいました。

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隈本木工所では、子どもたちの遊び方が変化し、また材料自体が入手困難になる中、手に取りやすいかたちで工夫を凝らしながらコマをはじめとする良質な木材玩具を制作されています。
隈本さんは、COMPANYとのコラボレートについて、デザインの斬新さに驚きながらも、一方で親近感も湧いて、北欧と日本の親和性を感じたとおっしゃっていました。
COMPANYとのコラボレート作品はこちら。見ている人までニコニコ笑顔になりますね。本展会場内には、2種類の新作も含めて展示していますので、ぜひチェックしてくださいね。

Secrets of Southern Japanシリーズより八女コマ《MOSS MOSS SPIN》 2017年

Secrets of Southern Japanシリーズより八女コマ《MOSS MOSS SPIN》 2017年

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途中、バスを降りて矢部川沿いを歩きながらお花見タイム。この時期ならではの八女のヒミツですね。

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歩いてお腹も空いてきたところで、元気食堂 八女サヘホさんへ。
2017年11月にオープンしたからだに優しい薬膳料理を提供する食堂です。今回はなんと、展覧会テーマである「森のヒミツ」をテーマにしたオリジナルメニューを準備いただきました!

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木と森をイメージして、ふんだんに使用したお野菜、森と海のつながりを表現したお味噌汁、切り株ケーキなど。素敵なストーリーが、それぞれのレシピに込められ、優しい美味しさのお料理でした。COMPAYの二人にもぜひ食べてもらいたいランチでした。
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今回、お料理を作ってくださった中村さん。お料理のコンセプトを聞きながら美味しくいただきました。ご馳走さまでした!

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2件目の訪問先は、1836年創業、装飾提灯を手がける伊藤権次郎商店へ。展示会場でも、天井からディスプレイされた大小様々な提灯が会場空間の素敵なアクセントとなっています。
伊藤権次郎商店さんの提灯は、細い竹骨と和紙を使用した繊細なつくりが特長です。
COMPANYからは、「布を貼って、木をイメージしたフォルムの提灯を作りたい!」とのオーダーがあり、布をきれいに貼る作業に苦戦しながらも新しい形の提灯ができあがったそう。
COMPANYとのコラボレート作品はこちら。

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職人さんによる軽快なトークとともに、型に竹骨を螺旋状に巻いて、和紙を貼る工程を見学し、八女提灯のヒミツを知ることができました。

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最後の訪問先は、久留米絣の織元・創業70年の下川織物さん。
COMPANYがデザインしたこけしの目や鼻をあしらった絣の織元です。
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COMPANYと下川織物さんの取り組みは、2015年に青森県立美術館で開催された二人の展覧会の際に「こけし半纏を作りたい!」と、COMPANYから袢天メーカーの宮田織物に問い合わせがあり、久留米絣の織元である下川織物さんと繋がったのがきっかけだったそう。絣の構造とCOMPANYデザインのすり合わせを何度もおこないながら、完成したそうです。
下川織物さんは、ライフワークとして国内外のアーティストと様々な取り組みをしているそうで、「織物で会話する」という下川さんの言葉が印象的でした。

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そのほかにも、うなぎの寝床さんが運営し九州の商品も並ぶ素敵なスペース・旧寺崎邸や八女福島の街並みを散策し、八女の魅力満載の1日となりました。
訪問先では、職人さんのものづくりに対する想いや技に触れ、COMPANYのデザインのヒミツを体感することができました。

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会場には、佐賀や熊本の伝統工芸とコラボレートした作品も並んでいます。また4月15日(日)には、佐賀の郷土玩具「尾崎人形」の絵付けワークショップを実施します。ぜひお楽しみくださいね♪

ツアーコーディネート:茶のくに観光案内所、うなぎの寝床

【展覧会ページ】
SECRETS FROM FOREST
森のヒミツ COMPANY展

2018/3/17 − 4/22

森のヒミツ COMPANY展

オープニングレセプション レポート

初日3/17(土)に開催したオープニングレセプションのレポートをお届けします。フィンランドからデザインユニットCOMPANYのヨハン・オリンさん、アーム・ソンさんをお迎えしました。お二人のご挨拶は八女・うなぎの寝床の渡邊令さんに通訳していただきました。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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COMPANYのアーム・ソンさん(左)とヨハン・オリンさん

(ヨハン・オリンさん)(日本語で)いらっしゃいませ。

(アーム・ソンさん)こんにちは。アーム・ソンです。

(ヨハンさん)ヨハン・オリンです。私たちはフィンランドのヘルシンキを拠点に活動しているCOMPANYです。

(アームさん)たくさん知っている顔も見えます。素敵な皆さんが集まってくださって、嬉しく思っています。

(ヨハンさん)私たちは世界中の伝統工芸やクラフトのマスターたちと一緒にものづくりに取り組んでいます。今回九州の作り手の方々と制作をする機会を与えていただき、私たちは本当に楽しませていただきました。

(アームさん)以前、私たちは青森や東北のこけし職人の方々と出会い、特に日本文化やものづくりのスピリチュアルな部分にとても影響を受けました。青森のプロジェクトが終わった後に九州に来てみたら、東北と空気が違うことが分かりました。九州で様々な人と関わる中で、リラックス、ハッピー、ハハハというような雰囲気を感じました。九州にいる間に屋久島などたくさんの森に行きました。たった一個のおにぎりを持って、6時間も屋久島でハイキングをして、木々や森のパワー、エネルギーをとても感じました。

私たちの家族に新しく柴犬のヤヤを迎えました。毎日10kmくらいフィンランドの森に散歩に出かけます。「私たちは何のためにデザインをしているのだろう」と森に行くと思うようになりました。形、色、食べ物も森の中にはある。ある意味デザインを全く必要としない空間が森にはある。森はそういったことを考えさせる場所でもあります。

もちろん森は素晴らしい。ただ街に戻ってくると、そこにはカフェやレストランがあって、マーケットがあって、ヤヤも一緒に行くのが好きで。人々が住んでいる街の生活も私たちはとても好きです。だから、この展示では、ものがあり人がいる、にぎやかな街の世界と、ある意味デザインを必要としない完璧な森と、その間をつなぐものづくり、デザインしたものを自分たちなりに表現しました。

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(ヨハンさん)最後に、今回アルティアムでたくさん力をいただいた安田さん、什器など素晴らしい仕事をしてくださった徳永昭夫さん、うなぎの寝床の原博子さん、そして、作り手を案内してくれた渡邊令さん。皆さん、本当にありがとうございました。

(アームさん)私たちは日本語は少ししか話せませんが、あまり言葉は必要ないと思っています。会場の天井にスケッチを展示していますが、制作する中で世界中の作り手の方々とやり取りをした時に使ったヒミツのメッセージ、コミュニケーションの痕跡です。会場にいる皆さんとも何か伝わらないことがあれば、絵を描いてコミュニケーションしましょう。

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ご挨拶にあった通り、このあとも、気さくに皆さんとお話されたり、サインに応じたりしていました。なかには、一緒にものづくりをした作り手の方の姿もありました。

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お二人の来場はこの日が最後の機会となりましたが、会場の映像でCOMPANYの二人に会えます♪ぜひ会場でCOMPANYのチャーミングなスピリッツに触れてください。会期は4/22(日)まで!

【展覧会ページ】
SECRETS FROM FOREST
森のヒミツ COMPANY展

2018/3/17 − 4/22

密やかな部屋 ―きらめく昆虫標本―

おしえて!丸山先生 Q&A紹介

会場に設置している質問BOXに、ご来場の皆さまからたくさんの質問をいただきました。その中からいくつかの質問に丸山宗利さんにお答えいただきました!青い文字が丸山先生からの回答です。ぜひお読みください♪
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・けむしはどうしてさわったらかゆくなるの?(りゅうせいくん 6才)
実は触るとかゆくなるようなケムシはあまりいません。福岡だったらドクガやイラガのなかまなどの一部だけです。ドクガのなかまの幼虫は毒針毛といって、毛に毒があります。イラガのなかまの幼虫は体の突起に注射器のような毒針があります。

 

・福岡でツノゼミを見つけたいです。どの辺にいますか?(千裕さん 小4)
いちばんよく見つかるのは、ただの「ツノゼミ」です。夏の暑い時期(7月~8月)に高い山(できれば1000m以上)に行くと、あちこちの木の枝先についていますので、探して見てください。私は英彦山と脊振山でたくさん見ました。

展示中のツノゼミの一部

展示中のツノゼミの一部

 

・ミイデラゴミムシのガスは100度位なのに、なぜゴミムシは耐えられるのですか?
お腹に2種類の液体が入った袋(ヒドロキノンと過酸化水素)が別々にあって、それがお腹の先端で混ぜ合わさることによって、100度のおならになります。お腹のなかに100度の液体があるわけではありませんが、混ぜ合わせる先端部分は頑丈にできています。

 

・テナガカミキリムシはどうして手が長いのですか?
カブトムシが角を使うように、メスをめぐってオス同士で戦うためです。メスの手はそんなに長くありません。テナガオサゾウムシも同様です。

 

・バイオリンムシはどうして平べったいんですか?
サルノコシカケというキノコに住んでいて、その隙間に入り込んでいるので、ひらべったいのです。

会場内に展示中のバイオリンムシ

会場内に展示中のバイオリンムシ

 

・ゾウムシはどうしてゾウムシってゆうの?(ゆきたくん 6才)
口が長く伸びていて、それがゾウの鼻のようだからです。先端に口があって、植物に穴をあけて、そこを食べたり、卵を産んだりします。

 

・ちょうちょうは花の蜜を吸うだけであんなに大きくなるんですか?
チョウ(成虫)になったらもう大きくなりません。イモムシ(幼虫)のときに食べた葉っぱの栄養で大きくなります。蜜は卵を産んだり、交尾したりするための栄養です。

 

・どうしてオスが見た目が良い昆虫や動物が多いのですか?(由加さん)
いろんな理由がありますが、メスをめぐって戦うための武器だったり(クワガタのおおあご)や、オス同士でなわばりあらそいや同種認識するための模様(チョウ)だったりします。

 

・昆虫のどんなところに惹かれますか?
多様性ですね。とにかくたくさんの種数が存在し、無限に新しい出会いがあるところ。

 

・蝶と蛾の違いを教えてください。
蝶は蛾のなかまです。つまり蝶は蛾に含まれます。蛾のなかでも、昼間に活動し、触角の先がマッチ棒のようになっているのが蝶だと思えばだいたい間違いありません。ただ、例外もあってややこしいです。

会場入口に展示しているニシキオオツバメガは「世界で最も美しい蛾」と言われているそうです

入口に展示しているニシキオオツバメガは「世界で最も美しい蛾」と言われているそう

 

・標本は時間が経つと色落ちしたり型が崩れたりしないのでしょうか?
光に当てるとどうしても劣化(色落ち)します。とくにチョウの標本がダメになりやすいです。ですのでこの展示では光を暗めにしています。甲虫は100年くらいは変化なく保存できます。湿度と害虫にも気を付ける必要があります。

 

・ゴキブリは進化しているのですか?
原始的といわれるゴキブリでも、日々進化しています。近年では殺虫剤が効きにくくなっているものもいて、これも一種の進化です。

 

・人間と昆虫の関係は一番どうあるべきでしょう?
昆虫がいないと地球の生態系は成り立ちません。嫌いなのは仕方ないとしても、地球のなかまとしてその存在を尊重し、共に生きていかなくてはなりません。

 

・なんで日本の虫は地味で外国の虫はキラキラなんですか?(のぶさん 34才)
日本にもキラキラの虫がいます。熱帯は日差しが強いので、きわだってキラキラしたものがいたりしますが、地味な虫もたくさんいます。ここではきれいな虫を偏って展示しているにすぎません。

 

・モルフォチョウの仲間は標本の体(下半分)がないものが多いのですがなぜですか?
体から脂が出やすく、腹部があると、油が滲んで、翅が真っ黒になってしまうからです。現地の採集者が捨ててしまうのですが、標本としては残念なことです。

 

・何故昆虫を接写しようと思われたのでしょうか?とても美しく斬新だと思いました。(美沙さん 大学生)
肉眼では見えない構造をお見せすることによって、昆虫にはまた別の世界があることをお見せしたかったからです。

「深度合成写真撮影法」による昆虫写真

「深度合成写真撮影法」による昆虫写真

 

・ヘラクレスオオカブトの立派な角の下にあるふさふさしているものは何のためにあるのですか?(たけまささん)
オス同士でケンカするとき、相手を挟んで投げ飛ばすのですが、その際に滑り止めの役割を果たします。

 

・蝶の羽は、何の素材(物質)で出来ているのですか?見れば見るほどシルクにしか見えません。(ひろみさん)
カニの甲羅と同じような成分で、そこに生えている細かい毛が板状になっていて、タイルのように模様を作り出しています。

 

・深度合成写真にあるところどころツンツンとした触覚のようなものは何でしょう?蝶以外の虫にはだいたいありました。
毛です。昆虫の体にはいろいろな種類の毛が生えています。模様を作るための毛であったり、根元に神経があって、感覚器官となっていたり、その役割や構造はさまざまです。

 

・日本では昆虫食は一般的ではありませんが、先生は昆虫を食べることはあるのでしょうか、あればおいしい昆虫とオススメの調理法を教えてください。昆虫は栄養があるのでしょうか?
あまり食べたことはないのですが、コオロギはおいしいです。あと、タガメはかんきつ系の香りがするカニのようで、なかなか美味しいものでした。

 

・オオツノハナムグリの仲間で展示されていたモノたちは同じ種類なのでしょうか?背中の黒い部分と白い筋、ワレメの差が随分あるのですが違う種類だからですか?個体差なのですか?不思議です。(月さん)
だいたい1種につき数箱で、箱が違えば別種です。地域によって別の種にわかれていたり、同じ場所のものでも個体によって大きな模様の変異があったりします。

 

・タガメについて教えてください。以前沢山タガメを飼っていました。餌はオタマジャクシをあげるグループ、メダカをあげるグループがいました。いづれのグループも餌をたくさん食べた後死んでいまいました。多分満腹になるまで餌を食べたと思います。(タガメのお腹が膨らんでいました)なぜ死んだのでしょうか?
食べ過ぎで温度が下がると消化できなかったり、場合によっては食べ過ぎで消化不良になってしまうこともあります。あと、たくさん糞をすることによって水が汚れ、水面に膜がはって、うまく呼吸できずに死んでしまうこともあります。1回あげたら数日から1週間はなにもあげなくていいです。

 

・バイオミメティクスについて興味があります。甲虫類の羽の折りたたみ構造は明らかになっているのでしょうか?甲虫の種類によって違うのですか?何かの製品に応用されていますか?具体的に知りたいです。
最近ではハネカクシとテントウムシで明らかになっていますので、以下のページを見てみてください。ハネカクシの研究では私も協力しています。
ハネカクシ
テントウムシ

 

・30年位前子どもの頃、アオオサムシを手にのせたとたん、おしりから白いガスを噴射されました。目の周りがピリピリして刺激臭がしました。あのガスは何ですか?身を守る方法ですが、体の中で化学変化を起こしたりいているのでしょうか?
オサムシの出す物質は、メタクリル酸が主成分で、非常に強烈な匂いと腐食作用があります。体内にある袋から直接噴射します。目に入ったりすると大変で、皮膚の柔らかい部分につくとやけどようになります。

 

・細かい作業の連続だと思いますが、昆虫に夢虫になりすぎてずっと同じ大勢のままでいると、体中が痛くなったり動かなくなったりしませんか?何かいい対処方法があったら教えてください。(昆虫好きの主婦さん 44才)
なります。肩が凝ったりします。そうなったら山に出かけます。

 

・昆虫の擬態という現象が不思議でなりません。そのメカニズムは解明されているのでしょうか?(敏行さん)
突然変異が生じ、そのなかでたまたま生存に有利なものが生き残っていき、その積み重ねで植物に似たり、毒のあるものに似たり進化していきます。虫が「よしこうなろう」と思ってなるものではなく、膨大な時間をかけた進化の賜物です。

 

以上、いかがでしたか?丸山先生は『昆虫こわい』、『きらめく甲虫』(幻冬舎)、『昆虫はすごい』(光文社新書)など著書も多数あります。この機会にお読みいただくと、より昆虫に興味を持っていただけるのでは♪
ご協力いただいた丸山先生、本当にありがとうございました!

【展覧会ページ】
密やかな部屋 ―きらめく昆虫標本― 
WORLD OF INSECT SPECIMENS

2018/1/20 − 3/11

密やかな部屋 ―きらめく昆虫標本―

オープニングレセプション レポート

1/20(土)に開催したオープニングレセプションの様子をお届けします。当日は昆虫標本をお貸しいただいた九州大学総合研究博物館の緒方一夫館長と監修者の丸山宗利さんにご挨拶をいただきました。昆虫への思い溢れるお話に、開幕の喜びもひとしおのレセプションとなりました。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)
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(アルティアム・鈴田)本日はお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本展は三菱地所アルティアムの主催のもと、九州大学総合研究博物館の丸山宗利准教授の監修により、実現した企画展です。九州大学総合研究博物館から昆虫標本2,000点、そして旧帝国大の時代から使用されていた家具をお借りして、今回の空間構成が実現しました。関係者の皆さまにこの場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。また、本日は九州大学総合研究博物館館長であられる緒方一夫さまにお越しいただいておりますので、一言ご挨拶をいただければと思います。

(緒方一夫館長)皆さん、こんにちは。九州大学総合研究博物館の緒方でございます。私は本務は熱帯農学研究センターというところで研究をしているんですけれども、もともと私も昆虫学者でした。人間には2種類ありまして、虫が好きな人と嫌いな人と言われています。この部屋に入ってくると、虫の好き嫌いに関わらず、本当に独特の雰囲気、オーラが感じられて、とても素晴らしい展示だと思います。この展示で使っている家具もよく見ていただくと、備品の票が貼ってあります。昔、大学の備品だったものです。こういったものも楽しんでいただければと思います。
本日は鈴田さんをはじめ、関係者の皆さま、うちが持っている標本をこういうふうに展示していただいて、本当にありがとうございました。本館のバックヤードにはさらに数100万の昆虫標本があります。展示を度々企画しているところですので、ぜひお越しください。今後とも、九州大学のご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

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(鈴田)ありがとうございます。では、続いて丸山先生、ご挨拶をお願いいたします。

(丸山宗利さん)九大博物館の丸山です。本日はお集まりいただき、ありがとうございました。
唐突ですけれども、あらゆる生き物は実は無駄がなく、美しい機能美と構造美を兼ね備えています。もちろん昆虫も例外ではなく、多くの大人は気持ち悪いという刷り込みによって、じっくり観察することさえしなくなっていますけれども、そういった先入観を省いて観察すると、それぞれの昆虫が実に美しい姿をしていることが分かると思います。見るからにきらびやかな蝶や甲虫はもちろん、この部屋にもあるような茶色くて一見地味な昆虫も、よく見るとそれぞれに美しい姿形をしていることが分かると思います。今回はその標本の美しさを皆さんに堪能いただくために、静かな空間でじっくり見ていただくような展示を目指して作りました。この静かな場所でゆっくり見ていただきたいという思いと、標本の持つ雰囲気を味わっていただきたいということで、当館が所蔵している古い家具を用いて、このような空間を演出しました。

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最後の部屋では昆虫の体表の構造を拡大した写真を展示しています。普通、被写体は小さくなればなるほどピントが浅くなって、絞りを絞って撮影すると深くはなるんですが、こんどはボケボケの写真になってしまうんです。この写真の撮影方法は、「深度合成」といって、カメラを動かして、小さな構造を顕微鏡のレンズで層状に撮影して、ピントの合っている部分だけを合成する方法です。展示している大きなパネルで、実物は大体3~4mm四方くらいの大きさです。肉眼で見る標本も真実ですけど、こうやって拡大して展示しているような構造を昆虫が持っているというのも真実で、肉眼では見えないけれども、ある意味別の真実を見ることができるというふうに思ってこの展示をしました。

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ところで、なぜ私がこんなに皆さんに昆虫を好きになってもらいたいと展示をしているかというと、ひとえに私が昆虫が好きだからです(笑)。実は日本人ほど、幼少期に昆虫が好きな民族はいません。コンビニで捕虫網が売っているのは、世界広しと言えども、日本だけです。しかし、残念なことに子供の頃は昆虫が好きでも、多くの人は成長とともに興味を失っていってしまいます。日本は豊かな自然に恵まれていて、だからこそ昆虫が好きな子どもが多いんですけれども。ガラパゴス諸島よりもずっと固有種が多いほど、日本は自然が豊かですが、そんな事実を知る人は少ないし、人口が減っているにも関わらず、あちこちが無駄に開発されていって自然が失われて、本当はここにしかいないというような小さな虫が、その存在すら無視されて絶滅していっています。私は環境省の委員などもやっているんですけども、コウノトリとかトキとかは、注目を浴びて保護の対象になるんですけれども、例えばある場所にダムとか発電所ができるとなった時に、小さな昆虫に関してはその存在すら軽く見られてしまう。「この小さな昆虫はここにしかいない」と言ったところでその開発が中止になるようなことはまずないんですね。その背景にはやっぱり、多くの人の昆虫に対する無関心、もともと興味がないとか嫌いだとか、そういうことが少なからずあると思います。私がいろんなところで展示をしたり、本を出したりしているのは、やっぱり昆虫を好きな人を少しでも増やしたいという思いがあるからです。そうすればこういう現状を少しでも改善できるのではないかと思っています。今回の展示ではこの素晴らしい会場をお借りして、いつもとは別の層、最初から昆虫が好きというわけではない人にも、昆虫に対する関心を持っていただいて、新たに昆虫が好きという人を増やせればと思って企画しました。
最後になりますが、標本準備から、デザイン、会場設営まで、本展示にご協力いただいた皆さまに厚くお礼を申し上げます。また、この企画が決まって以来、一緒に構想を重ねてきてこのように美しい空間を演出することができたのは、三菱地所アルティアムの鈴田ふくみさんのおかげです。そして、デザイナーの大村政之さんがこれまでにない格好良いチラシや解説パネル類を作ってくださいました。企画段階で、この3人でどういう展示をしようかと考えて、映画とか色々なものを出し合って相談した時に、小川洋子の原作でフランス映画になった『薬指の標本』というものがあるんですね。それをたまたま鈴田さんも私も見ていて、そんな雰囲気を作れたらなということもあって、こういう会場になりました。もし興味のある方は見てみてください。
長くなりましたが、とにかく昆虫の標本の美しさをご堪能ください。今日はどうもありがとうございました。

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会期は3/11(日)までです。※2/20(火)、21(水)は休館日です。ご注意ください。
ご来場お待ちしております。

【展覧会ページ】
密やかな部屋 ―きらめく昆虫標本― 
WORLD OF INSECT SPECIMENS

2018/1/20 − 3/11

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