藤森照信建築 と鸛庵

トークイベントレポート1

4月26日に開催した『藤森照信×ローランド・ハーゲンバーグ トークイベント』をレポートします。
前半はこれまでの建築についてお話ししてくださいましたので、会場内の展示とあわせて何回かに分けてお伝えします。

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(以下は藤森照信のトークの内容を一部抜粋・編集したものです。)

神長官守矢史料館
長いこと建築の歴史の先生をやっていまして、45歳のときに故郷に作った最初の作品です。出来るだけ自然の材料で作ろうと思ってやっています。文化財を置くためには可燃物は良くないという法律があるのでコンクリートで作って、自然の素材を貼って隠すことにしました。このように“自然素材を使うこと”、これが私の基本となっています。現代の技術は表に出さず、自然物でカバーするようにしています。そして、もう一つはデザイン上のことですが、現代の建築デザインにも近づかないし、過去の日本の伝統的な民家などのデザインにも近づかないということが基本です。

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▲代表的な藤森建築が1つの木に模型になっています!こういうものを作ってしまう遊び心が私たちを楽しませてくれます。模型は床に配置されていて不便さを感じますが、自然に生えている草木をしゃがんで見るような感覚になります。

浜松市秋野不矩美術館
45歳から設計を始めるまでずっと歴史や建築とは何かということをやってきたので、できるだけ本質を考えるようにしています。それで美術館を作るときどういう状態で絵に向き合えば良いかと考えました。先入観をなくすために裸で絵に向き合う美術館を考えてみました。実際に裸になると目が他の方にいく恐れがある(会場笑い)ので、靴を脱ぐようにしました。最初に市民の建設委員会に提案したら、公共建築や美術館で靴を脱ぐなんてありえないとものすごく反対されてしまいました。前例がないからだめだという意見です。それで「日本画を土足で観るのはいかがなものか」と言ったら、そう言われると和室の畳の上には靴ではあがらないし、お寺には今でも靴を脱ぐという話になり、靴を脱ぐことを認められました。床に白い大理石を使った美術館は他にありません。これは靴を履いたままだと泥がついてしまうからです。靴を脱ぐことが許されたので、白大理石を全面に張ることができました。

焼杉ハウス
自然素材をどうやって使うかというのが私の最大のテーマで、焼杉という技術を使いました。西日本にしかない技術なので九州の方は知っているかもしれません。私は以前、大分で見たことがあります。板の耐水性を強めるやり方で腐らず80年くらい保ちます。普通は2mくらいですが、ここでは8mのものをやってこの厚さになりました。炭の建築というのは世界にないので、私も気に入っています。庭については、人工的な庭には興味がなくなって出来るだけ、笹で埋めてしまっています。
住まいの原則は洞窟だったということが分かっています。中で火を焚いていたということも分かっておりまして、洞窟と火というのも私の建築のテーマです。洞窟の建築的な特徴は床と壁と天井の仕上がりが同じということです。今の建築では床にいい材料を使います。その次が壁で天井は1番安くなります。こちらは壁も天井も床の素材と同じものを使っているのでコストはアップしてしまいました。全面的に庭側を開きます。それ以外は窓を作らないという洞窟的なデザインを私は最近好んで作っています。

熊本県立農業大学校学生寮
林業で木を使う人が少なくなって困っているので林業振興のためにたくさん木を使ってほしいという要望でした。とにかく木をたくさん使いましたが、県の人が実際に見に来て、ぎょっとしていました。私としては向こうが見えないくらいにやりたかったのですが。(会場笑い)向こうが見えないくらいに柱が並んで、人が入ってくると木の間から現れるというように感動的になったと思うのです。柱はランダムに並んでいますが意外と良いですよね。柱がないほうが良いとほとんどの現代の人は思っているようですが、それは単なる習慣でスポーツをやるのなら困りますが、多くの施設は柱があってもそんなに邪魔にはならないということがよく分かりました。

yakisugi▲写真でもご紹介しています。左「焼杉ハウス」

どのような思いで設計してきたのか、とても楽しいエピソードを交えながらお話しくださいました。会場内は終始笑い声で包まれていました。

次回に続きます。お楽しみに!

【展覧会ページ】
藤森照信建築 と「鸛庵」
Storkhouse: The Architecture of Terunobu Fujimori

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