藤森照信建築 と鸛庵

ギャラリートークレポート/感想帳より

大変遅くなりました!5月25日に開催した『藤森照信×ローランド・ハーゲンバーグ ギャラリートーク』をレポートします。

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本展プロデューサーでもあり、ライディング・プロジェクト創案者のローランド・ハーゲンバーグが展示プロジェクトの解説を行いました。

(ローランド・ハーゲンバーグ)
オーストリアのライディングはフランツ・リストというピアニストであり、作曲家の生誕の地であり、祝典生誕200年に際し、2006年にリストのコンサートホールが建てられた場所です。日本と同じように過疎化が進み、若者は都心に流出して高齢化の問題を抱えています。実際に老人福祉施設のようなものがあり、日本と似通った境遇にあります。“鉄のカーテン”(英:Iron Curtain とは、第二次大戦後、ソ連と東欧の社会主義券の諸国が、西欧の自由主義国との間に設けた厳しい封鎖線をたとえた語。1946年チャーチルが演説で用いた)という壁がすぐそばにあり孤立するような複雑な歴史を持った村です。実験住宅というプロジェクトを行っているのは、過疎化が進む村の中で観光資源、外から人がやってくるような施設を作りたいという考えが根底にあります。
藤森先生の「鸛庵」の前には老人ホームがありまして、オーストリアでもコウノトリは赤ちゃんを運んでくるシンボルであり、赤ちゃんが成長し、大人になり、老人になって死んでいく有様を再現するという、村にとっても大切な建物になっています。

「鸛庵」に続く次のプロジェクトは原広司先生による「ハラハウス」の建築が進められています。「鸛庵」とは違うアプローチでライディングの風景を取り込んだ作品になるようです。大きなガラス窓や天井も屋根がガラスになっていて空が見える、寝ながら星や天の川が見れるようなアプローチの建物になる予定です。

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最後に質疑応答。
Q.どうして日本人建築家を選んだのでしょうか。(ライディングプロジェクトでは10人の日本人建築家が参加予定)
A.20年前から日本の建築について、ヨーロッパやドイツの雑誌で執筆していました。その時からの付き合いのある建築家に依頼しました。プロジェクトのために大切なことは強い関係や友達に対する気持ち、フィーリングが大切です。もちろんデザインも大切ですが、長いプロジェクトになるので心地よさが必要だと考えました。
藤森先生は展示で見ていただいた通り、とても元気でハッピーでプラス思考で、皆を笑顔にします。子どもたちも先生の作品が大好きです。そういう気持ちを大事にして、そういう人を探しました。選んだ建築家たちはそのフィーリングがあります。加えて面白いデザインをします。そういう理由でこの方達を選びました。快適でシンプルです。

 

Q.ライディングの村人たちが「鸛庵」を見た感想反応はいかがですか。
A.皆楽しんでいます。オーストリア、ドイツではみんなまっすぐな家を建てます。藤森先生のスタイルはとても伝統的な日本のスタイルです。面白いエピソードがあります。曲面カンナ(日本電動工具メーカーの名前“マキタ”)を重いのに藤森先生は持ってきていました。“MAKITA”はまっすぐではなくて曲面に削れるカンナなので、オーストリアにはないもので皆とても驚いて、壊れているから直した方がいいと言っていました。皆勉強して半年後には、藤森先生のスタイルに慣れていきました。
また、日本の焼き杉のテクニックはオーストリアにもありますが、それはワインスティック(ぶどうの樹を支える木)のためです。日本のスタイルとオーストリアのスタイルは少し似ているスタイルもあります。

オーストリアには行ったことがある人いますか?…いない?こんど是非来て下さい!

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展覧会場内に感想帳を設置しておりましたので、その中から少しご紹介します。

◆初めて藤森照信さんの作品を観ましたが、どの作品にも自然素材が生かしてあり、独創的な考えに興味がわきました。
◆「藤森さん=建築を紹介するおじさん」と思っていたので、面白かったです。歴史に詳しい方はシンプルに戻るのですね。
◆絵本の中に出てくるような建物の数々に胸が躍りました。作りながら適宜対応し、変更し…建築はちゃんとした設計図のもとに作られるとばかり思っていたので、とても驚きました。
◆建築の設計をしています。以前から藤森さんの建築の放つ独特な世界観それは特別ですが、風景と一体化しているさまが共振し、魅力を感じていました。東京での展覧会にも行きました。今回福岡で開催ということで大変うれしく思います。「建築は唯一、素人でも関われる現代の大型製造物」というフレーズに改めて、建築を志してよかったと思いました。まだまだ新人ですがわくわくする気持ちを忘れずに建物をつくっていきたいです。ありがとうございました。
◆オーストリア人として、福岡でこの展覧会を見ることはちょっと不思議な感じがします。すごく素敵なプロジェクトなので嬉しいです。子どものころよくブルゲンランドにあるおばさんの家に行きました。そこにある雰囲気にすごく似合うと思います。オーストリアに帰ったら、ぜひ本物を見に行きたいと思います。本当に素晴らしかった!ありがとうございました!
◆自然と一体化した家に憧れます。コウノトリがやってくる家なんてとても素敵です。私も想像力を身に着けたいです。ありがとうございました。

 

藤森照信の自由な発想に建築に対する概念が覆されたかたも多かったのではないでしょうか。今後の藤森建築とライディングプロジェクトが楽しみですね!

 

【展覧会ページ】
藤森照信建築 と「鸛庵」
Storkhouse: The Architecture of Terunobu Fujimori

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