記憶のスキャン:袁廣鳴のビデオアート1992-2014

会場内ご紹介後編

福岡アジア美術館「第5回福岡アジア美術トリエンナーレ2014(FT5)」(ー11/30)を中心に盛り上がっている、今秋の福岡のアートシーン。本展でも台湾のアーティスト袁廣鳴(ユェン・グァンミン)の作品を紹介しご好評いただいています。会期が10月5日(日)まで終了間近となってきました。皆さま、お見逃しないようにお越しください。

会場内ご紹介のレポート(後編)をお届けします。(前編)とあわせてお読みください。

 

「一貫して自分、家、そして家族の日常を中心テーマに作品を制作してきた作者が、3.11以後、自宅から半径20キロ圏内に原発があることに気づき、そこを出発点として日常の範囲を物理的・観念的に拡大して制作」(チラシより)された2014年の最新作品。台南にある海水浴場と原発、蘭嶼(らんしょ)島の核廃棄物貯蔵施設などの風景に、廃墟となった遊園地や別荘群、豊かな自然などが差し挟まれます。

《エネルギーの風景》2014 年 シングル・チャンネル・ビデオ 8 分  courtesy of Yuan Goang-ming

《エネルギーの風景》2014 年
シングル・チャンネル・ビデオ 8 分
courtesy of Yuan Goang-ming

 

こちらも2014年に制作された最新作のひとつです。台湾の立法院(日本の国会にあたる)を学生たちが占拠するという学生運動が起こり、多くのアート関係者が支持しました。袁廣鳴もその一人で、テーマソングのMV用のために議場に入り撮影したものを、本展では数倍速で再生する国歌とともに提示しています。緊迫した様子や熱い想いがダイレクトに伝わってきます。

《占領第561時間目》2014年 シングル・チャンネル・ビデオ  6分  courtesy of Yuan Goang-ming

《占領第561時間目》2014年
シングル・チャンネル・ビデオ 6分
courtesy of Yuan Goang-ming

 

娘が生まれた4ヶ月後に父親の他界に直面した袁廣鳴。あまりにも短い時間に経験した生と死は非常に大きな衝撃だったそうです。命、時間、記憶が大事な要素になっている作品です。
こちらは3面スクリーンの作品ですが福岡アジア美術館の「福岡アジア美術トリエンナーレ2014」(ー11/30)では、4面のマルチスクリーンによる大型ビデオインスタレーション《記憶の前》2011年が展示されています。是非あわせてお楽しみください!

IMG_2500《消えゆく風景ー経過Ⅱ》2011 年
3チャンネル・ビデオ・インスタレーション9分14秒
(アルティアム会場内撮影)

 

今回展示出来なかった作品から、短縮版や記録をつないだビデオ・ドキュメンテーションも展示しています。編集にあたり過去作品をまとめて見たことで、作品の根底に流れているものは共通しているとご自身も改めて感じたのだとか。作品によく出てくる「水」や「ゆれ」は昔からよく見る夢に由来しているそうです。こちらにも注目してご鑑賞ください。

会場内の作品をご紹介しましたが、《都市失格ー西門町(夜)》以外は映像作品です。実際に観ていただかないと伝わりにくいと思います。作者の“言葉で伝えられないものを作品で伝えたい”という思いを、会場で感じていただければ。是非会場に足をお運びください!

【展覧会ページ】
記憶のスキャン:袁廣鳴のビデオアート1992-2014
Scanning Memories: Yuan Goang-ming's Video Art 1992- 2014

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