Art Jewelry Today 現在進行形のジュエリー

会場内ご紹介<1>

『Art Jewelry Today 現在進行形のジュエリー』好評開催中です。本展はコンテンポラリージュエリーを牽引するギャラリードゥポワソンの協力のもと、現代のジュエリーをご紹介しています。

現代の固定概念から解放された独創的なジュエリー。本展は現在進行形のジュエリー約350点を一堂に集め、「デザイン」「コンセプト」「アート&ファッション」と3つの要素に分けて世界各国のジュエリーをご紹介します。

スタート初日と翌日には、アートジュエリーに造詣の深い森知彦さん(ギャラリードゥポワソン ディレクター)による作品解説を行いました。こちらをもとに会場内をご紹介していきます。

(以下はギャラリートークでの森さんのご挨拶を一部抜粋・編集したものです。)
本日はお集まりいただき、ありがとうございます。このようなアート施設でのジュエリー展というのはあまりないことです。今回のために31作家350点ほど展示させていただきました。
私は東京でコンテンポラリージュエリーを集めたギャラリーのディレクターをしていますが、少し準備の期間も入れて12、3年ジュエリーの世界に携わっています。その間、世界各国のギャラリーや美術館を巡り、作家さんに会ってきました。今を感じさせるジュエリーはたくさんありますが、気軽に観ることができる状態ではないように思います。今回は面白くて今を感じさせるものを選んで集めていますので、ぜひご覧いただきたいと思います。

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【デザイン】前半
薗部悦子
オランダ、ドイツなどで展覧会を数多く行っている作家です。作品の特徴は石、地金を使ったもので、石のカットもデザインしています。普通石は、面を沢山つけて光る様にカットしますが、その分、色が見えなかったり、中の多少のインクルージョン(物などに入っている液体や小さな結晶などの総称)も無くなります。インクルージョンというのは無ければいいという訳ではなくて、完全にないもので透明なものを使うとガラスに見えます。ですからある程度は石の特徴と言えます。指輪に関して言うと、その石の特徴を生かしながら、石を平にカットして裏の構造も見える様にしています。もうひとつの特徴としては、(地金の)色が見える様にしたいということがあって地金も20Kを使っています。20Kは24分の20で百分比でいうと83.5%で、純度が少し高いです。そうすると少し柔らかい雰囲気が出ます。雰囲気が柔らかくて、色を出すということができるのです。通常であれば、金属を磨いたり光らせようとすると冷たい雰囲気がしますが、彼女のジュエリーに温かみがある印象なのはそのためです。あと作り方で言うと、ジュエリーには大きく2つ鍛造(金属を叩いて鍛える方法)と鋳造という作り方があり、彼女は鍛造で作っています。鍛造の特徴は、細くて堅い雰囲気、薄いものができるので繊細な雰囲気になり、強度があります。

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カール・フリッチ
ドイツの作家で鋳造で作品をつくっています。鋳造の場合は、流し込んでつくるので地金が鍛えられていない状態です。緊張感や固さがないため、柔らかな雰囲気を表現するのに良い制作方法です。手で捏ねてジュエリーを作っていて、普通は緻密につくるために使うものですが、よく見ると手の形跡が残っていたりします。ジュエリー業界ではすごく異端なことで、金属加工ではやろうと思った形にしていきますが、焼き物に近い感覚で複製ができない、ひとつひとつ個体差のある、偶発的にできる美というものを作品にしています。貴金属プラス貴石で、角の部分は銀色の部分が見えてきて使っていくと味が出て、使用感が出てきます。古いものにみえますが全て最近つくった新しい作品です。

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吉良ゆりな
貴金属ではなく、木やアクリルを多く使っています。イタリアで勉強して壁面作品を制作しています。展示している作品はブローチです。人の体を壁に見立てて、壁面の作品を作る感覚でブローチを作っています。半立体やオブジェを身に着ける感覚で着けていただきたいのです。 
KIRAYURINA
(会場内ガイド:作家コメントより)ジュエリーの魅力は、大きさを超越した存在感を放ちつつ装身具として身に着けることができる、視覚的にも精神的にも人をポジティブにさせるところにあると思う。装身具というより気持ちを上げる極小装置という方がなんとなくしっくりくる、そういう視点で興味があり、オブジェとジュエリーの境目にあるあいまいな存在という意味を込めた造語「OBJEWELRY」(オブジュエリー)と銘打って試行錯誤しながら作っています。

 

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ヘルマン・ヘルムセン
オランダの作家です。1981-82年の古い作品を持ってきました。直線と真円だけを使ってジュエリーを作る作家です。人の体は有機的で直線と真円はないので、それを身に着けて対比させる装飾です。きらきらさせるわけでもなく、最低限の要素だけでジュエリーを作っています。ジュエリーの世界でも珍しい考えだと思います。普通だと装飾のためにつけるのですが、ミニマルなジュエリーで面白いですね。人間工学的なことも考えていて、カフスボタンのようになっているものがありますが、これは指輪です。T字のバーが指に沿うような感じで、指の付け根の広がる幅と人間の指の関節の太さを考えて作られています。指輪なのに輪ではない指輪になっています。他にも針を使わないブローチ(下画像:黄色い円になっているもの)や傾いている石の指輪(下画像:ピンク)もあります。石が大きくなると縦長なので指に対して倒れてしまうことを見越して最初からわざと傾けて、大きいものでもつけやすくなっています。プロダクトのようで人の体のことをよく考えて作っています。

ヘルマン・ヘルムセン1
▲こちらのリング作品は併設ショップにて販売しています。他にもきれいな色がたくさんありますよ。ぜひお手に取ってご覧ください。

ヘルマン・ヘルムセン2

>>会場内ご紹介は次回につづきます。

【展覧会ページ】
Art Jewelry Today
現在進行形のジュエリー

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