Art Jewelry Today 現在進行形のジュエリー

会場内ご紹介<3>

会場内ご紹介はつづいて【コンセプチュアル】の展示からお届けします。

リン・チャン
片方が出て片方が凹んでいるピアスの作品は「In one ear,out the other」というタイトルで、右から左に筒抜けで聞いていないというモチーフになっています。「reasons」というタイトルの指輪は「あなたはなぜジュエリーをつけるのか?」というアンケートに対する答えの言葉が刻印されています。ジュエリーは人からもらって、たとえ高価でなくても形見や誕生日にもらったり、初めて買ってもらったというエピソードがすごく大事なことで、それは人からみても分からないものです。その意味が目に見えるようになっているのです。意味合いを目立たせるために価値の低い金属ステンレスを使っています。“Hobit=癖”、“取れない”などさまざまで面白いです。2012年のロンドンパラリンピックのメダルをデザインした作家でもありますので大変貴重な機会だと思います。

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ディニエ・ビシムス

甘く編んだチェーンで、どこでもフレキシブルに首に通してネックレスとしてつけられるようになっています。

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▲試着会(→今後の日程)で着けてみました!見ているとこんな小さな穴に通るのかしらと心配でしたが、実際に着けてみるとずるずるずるとチェーンがずれて大きく広がりました。いろいろな着け方が楽しめそうです。
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フランク・ティプケマ
モチーフは400個のブランドロゴです。マクドナルドやディーゼル、キヤノンなどなんでもあります。現代のクロスになっています。ステンレスの板に金メッキしたブランドロゴをレイヤーにすることで、表面的な価値を表しています。板が擦れて金メッキが剥がれていくことを想定していて、消費されていく様子を表現しています。

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トラフ建築設計事務所
建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、プロダクト、空間インスタレーションなど、多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいます。こちらの作品は先ほどの作家と近い発想で、結婚指輪の金の上に銀のメッキをかけていて、着用することによってエイジングしていきます。結婚生活において、傷や磨耗が味や歴史になって、人によって個体差が出てくるようになっています。

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オットー・クンツリ
コンテンポラリージュエリー界ではもっとも有名な作家の一人です。黒いブレスレットはチューブになっていて、押さえると中が空洞だと分かります。中には金の玉が入っていますが、中が見えないので本当に入っているか分かりません。入っているという想いだけで作品を買うことになります。金は歴史を振り返ると、それによって戦争が起こったり暗い世界に閉じ込めるという意味もあることから、黒いチューブにしています。1980年の作品です。もう一つは、もともと1mのハート形の筒状のもの(上段・中央)を「あなたの愛はどのくらいか?」とその量を量り売りした作品です。今秋に東京の庭園美術館で個展をする予定のあることからもキャリアのある作家であることがお分かりになると思います。

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ベッティーナ・シュペックナー
写真を使った作品が有名です。写真というのは過去の思い出や夢を表し、それを携帯できるようにジュエリーにしたものです。ジュエリーというのは身に着けることができるので、景色やイメージを携帯することができます。写真を自分で撮ってカットし、装丁をして枠をつけながらその他の要素を加飾していきます。本人は関係ないといってはいますが、額装屋で働いていたことがあるのでフレーミングも上手く考えられていると思います。

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テッド・ノートン
(写真上段)メルセデスベンツのボディを切ってブローチにしたものです。二つの意味合いがあって、「ベンツという美しい車をパーツだけを見ても美しさを認識できるか」ということと、もう一つは「ベンツを持つことをステータスに感じる」という皮肉っぽい作品です。(写真下段)アクリルを使った作品は時を止めるというテーマで制作しています。葉っぱや昆虫などジュエリーには使えない不向きな素材です。実物に力を加えるともろいものですが、アクリルの中に閉じ込めることで、そういう素材を使うことができます。石を入れるのは効果的で斜め方向から見ると複数に見えたり、石を留めるときに枠がないので360度見ることができる面白い発想です。

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ハイス・バッカー
今回展示している作品の中で一番古い1967年の作品2点(写真左下のリング)です。その当時、貴金属を使ったジュエリーが基本でしたが、貴金属を使わずアクリルやアルミを使って彫刻的で誰でも手することができるジュエリーを作りました。今はアルミやプラスチックが悪いという人はいませんが、50年近く前のジュエリー界では貴金属が基本という考えでしたので、その当時としては画期的な作品です。軽いアルミやステンレス、アクリルを使うと大振りなジュエリーを作ることができるのでファッション性も高くなり、センセーショナルでした。常に新しいことに取り組む作家で、パソコンでデザインしたものを手で削り出しています。

(写真左上)アルファロメオの広告のコピーで「I don’t wear jewels, I drive them」というのがあって、「アルファロメオは素晴らしい車だけど、私はジュエリーを身に付けるのではない、運転を自分のものにするんだ」という意味を逆手にとって作り出した作品です。類似性もテーマにしていて、「スポーツカー」と「ジュエリー」のステータスシンボルの意味合いも示唆しています。コレクターも多くエディションナンバーがついています。

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>>会場内ご紹介はまだまだつづきます。

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