川島小鳥+谷川俊太郎|おやすみ神たち

朗読とスライドの会 レポート2

「朗読とスライドの会」のレポート、続編です。ぜひ、レポート(1)からお読みください。

roudoku07

写真についてのお話が、さらに深まって参りました。
(谷川俊太郎さん(以下:T)と川島小鳥さん(以下:K)のお話しを一部抜粋・編集したものです。)

T 社会的に意義のない写真ばっかり撮っていいんでしょうかね。世の中、大変なことがいろいろ起こっているんだから。そういうのに対して現場に行って命がけで撮るとか、しないですか。

K そういう写真も大切だと思うんですけど、僕は・・・なんと言いますかね・・・違う。

T 違う?いいですねぇ。そういう態度はすごく必要なんですよ。英雄的な態度をされるとそっちのほうに気持ちが行くんですよ。あれは間違っていますよね。英雄は英雄でいていい。僕たちはみんな尊敬するしね。だけど自分はここで臆病に何かをしているっていう信念を持っていなきゃいけないね。そこで自分の立場を守るって大事だと思うんだよね。

K そう!でもどうしたらいいですかね。信念を持って?

T 信念を持つって言ったってお固いじゃない。だからいい加減がいいんじゃないでしょうか。つまりあんまり正義とか正しいとか決めないで、自分がいい加減に生きていくということに基礎をおいていればいいんじゃないでしょうか。どうでしょう。

K そうかも。

T でも小鳥さんは若いから、俺はもう80歳超えているからいい加減でいいんだけど、80年生まれの人はいい加減になるのは早いかもしれない。

K うーん。ははは

T これからいろいろ修行をしていい加減になったらいいかもしれない。

K 谷川さんはいついい加減になったんですか?

T 恥ずかしくないいい加減になったのはもしかして70歳過ぎてからかもね。50代40代はちょっとねー。

K もがいてたんですか?

T 後ろめたさがありましたね。今はね、いい加減さに後ろめたさがないの。今言っていることもいい加減だから気をつけて聞いてくださいね。

K なんか・・・励まされました。(納得した様子)

T そんなに素直に聞かないで。

K すごくないですか。未来からいらっしゃった?

T 1931年生まれですよ。過去でしょう?過去から来てますよ。

K 過去から未来へ。

T じゃあ私をモデルにして「未来さん」を撮ります?(笑)

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roudoku06

K 福岡の素晴らしいパワーで、東京では聞けないような話でした。

T 福岡って良いからね。

K 福岡大好き。

T アジアに近いでしょう。福岡アジア美術館なんか行った?いいですよ。そこで昔でっかいバリ島のテーブル買っちゃったんですよ。立派なテーブルが1万5千円だったから、うかうかと買って、うちに持って帰って、迷惑しちゃったの。貰ってくれる人がいたのでその人のうちで使われていると思います。

K 谷川さんってものを買うんですか?

T うん。ものが好き。でも今は断捨離だから買わないように頑張っています。

K なんで断捨離しているんですか。

T ものが溜まっていくじゃないですか。一人で暮らしているのに億劫でしょう。整理するのが大変だし、各部屋のゴミを集めて、燃えるゴミと燃えないゴミを分類して、何曜日は何ゴミって出すわけじゃないですか。そういうのやっていると、詩を書く時間もないんですよ。日常の雑務に飽きて、やっと詩を書くことでほっとするっていうそういう生活ですね。

K いきなり詩を書いたりするんですか?ゴミを捨てながら「あ!」みたいな感じは?

T それはないです。何かをしている時にはそれに熱中する人なの。

K 写真を撮る瞬間のように。

T そう、シャッター切る瞬間の集中している時みたいに。だから今日僕はすごく集中しているんですよ。小鳥さんと話すということに。分かるでしょ、この気迫。感じるでしょう?

K 分かる。感じる〜

T 何の話してたっけ?(笑)詩をどういう時に書くかって話ね。この頃ね、ベッドで目が覚めてまだぼんやりしているときに言葉がぴょこっと出てきたりして、それが良さそうだったらちょっと紙切れにメモするんですよね。それを今度はコンピュータに打ち込んでみてそれから詩が出来てきたりすることもあります。この頃はそうやってたくさん詩を書いているんですけど。前は注文生産だったから、注文されないと書かなかったんだけど、この頃は注文されなくても詩が溜まっちゃってるの。

K うっそーすごい!それは詩が溢れ出て止まらないっていうことですか。

T そこまではないけど。書くと、何度も見直すんですよ。そして推敲してこれ以上いじっても良くないなと思ったらプリントアウトしておいて、それが溜まったら詩集にするの。ナナロク社からも今度詩集(『あたしとあなた』)が出るし。1番怖いのは読者に飽きられるということなんですよ。

K それはないでしょう。

T “谷川俊太郎の詩なんか飽きたよ”って言われたら・・・

K そしたら勝ちじゃないですか?

T だって詩集が売れなくなっちゃうよ。飽きられたら。詩集売って食ってるんだから。

K そっかあ。

 

レポートお楽しみいただいていますか?次は最終回です。

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