みえないものとの対話

オープニングレセプション レポート①

初日10月10日(土)に参加作家3名が来場し、開催したオープニングレセプションのレポートをお届けします!
会場を回りながら、順番に谷口暁彦さん、渡邉朋也さん、久門剛史さんにそれぞれお話をしていただきました。
当日はたくさんのご参加ありがとうございました。
一回目のレポートでは、谷口さん、渡邉さんのトークを中心にアップします。

(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)
はじめに担当ディレクターからラファエル・ローゼンダールの作品解説がありました。
(ディレクター・鈴田)ラファエル・ローゼンダールは主にweb上で作品を発表している作家です。この作品も彼のwebで観ることが出来ますが、今回はインスタレーションバージョンで、このように展示しております。みなさん先にご覧になられてお分かりかと思いますが、鳥のさえずりが聞こえたり、雨が降ったり、雷雨が起こったりと色々と変化する作品になっています。シンプルなビジュアルをアニメーションで表現しているところが特徴です。
非常に日本贔屓の作家でもありまして、彼自身も英語で俳句を作っています。制約の中で詩情を込める作品をつくっていて、短い単語が並んでいる俳句という世界観と彼のシンプルなビジュアルは共感するところがあるようです。
今回残念ながら来場できませんでしたが、1月に東京のTakuro Someya Contemporary Artで個展を開催する際に来日する予定があるそうなので、興味がある方は東京の個展などの機会にまた作品をご覧いただければと思います。

CIMG4457 - コピー

(谷口さん)僕の中では彫刻作品と呼んでいるんですが、今回は4つから成る彫刻作品のシリーズを展示しています。タイトルは≪思い過ごすものたち≫です。福岡で展示を行うのはこれが初めてで、福岡に来るのも実は10年ぶりくらいで、ここに来れたことをとても嬉しく思っています。
今回展示している作品は2013年の個展で初めて展示した作品シリーズです。
最初に目に飛び込んでくるのが、iPadがぶらさがっていて、扇風機で揺れている作品です。映っているティッシュペーパーの映像は外の環境とは関係していなくて、ただただ映像がループしているだけなんですね。なので、全然外の世界とはつながっていないんだけれども、でもiPad自体が揺れることで、何か画面の中に風が吹き込んでいるように思わせよう、ということをやっている作品です。
(二つ目の作品)こちらの作品ではポンプで水をiPadの表面に流していて、人がタッチしていなくても水が流れることで文字がどんどんどんどん入力されていきます。「タッチしている」と誤認識して入力されているということですね。よく見ると結構な頻度で「VOLVIC」とタイプするんですね。これは特に変わったことはやっていなくて、ありとあらゆるキーボードの入力パターンで「VOLVIC」と変換できるように百何十パターンと入れてあります。
(三つ目の作品)これは上に磁石がくっついていて、それがゆっくりと回転しているんです。それで地図の方位磁石がくるってしまって、ぐるぐる回って時々変な方向を向いてしまうという作品です。磁石がよく動くときと動かないときとあるんですが、今日はよく動いてますね(笑)
(四つ目の作品)二つがセットになっている作品で、両方ともFacetimeというテレビ電話のアプリケーションで常時会話しているようになっています。ここにあるiPod touchともう片方のiPhoneで交互に通話している状態です。iPod touchの方で電球が光るとディスプレイ越しに電球の光がiPhone側の箱の中に送られて、それが照明のように働いて中を明るくして、この中にある電球の絵が明るくなってこちらで見ることが出来る。「ディスプレイ越しに光を送る」ということをやっている作品です。
全体的に画面の中というフィクション、バーチャルなものと現実をどう関与させるかということをやっています。映像という、今までは映画館やテレビのような大きなデバイスで扱いにくかったものが、今は薄くて手で持てるようなものになり、イメージが質量を持ち始めているということがいえる。それをどう現実世界とリンクさせるかということを今後作品では目指していく、目指してきたということなんです。
この作品を作るときに考えていたエピソードや物語についてのキャプションも一緒に展示しています。これも作品と一緒に見てもらえると、少しわかってもらえるかなと思います。
CIMG4465

渡邉朋也さんはイムズ館内へ作品を展示しています。場所の関係上、谷口さんの展示室で説明していただきました。

(渡邉さん)作品がこの場所に無いものですから、どんな説明をしても中々伝わりづらいものがあるかもしれませんが、会場外、このイムズという建物の地下3階から地上8階までに点在するような形で立体作品を設置しています。元々、今年の5月~6月に京都の京都市立芸大ギャラリーで「マテリアライジング展Ⅲ」という展覧会があり、こちらの展覧会には谷口くんや久門さんも展示されていました。そこで出展した4つの作品のうちの1つの作品を展開し少し形を変えて今回出展しています。とりわけ有限性/無限性ということであったり、連続/非連続といったことを中心に据えて作品を制作しようと考えました。その結果、割り箸を選んだんですけど。
これ(割り箸を手に持ちながら説明)、実際の作品とは少し異なるんですけど、というのは割り箸は割る度に少し形が変わるからなんですが、割り
箸はみなさんご存知の通り、身近に溢れた大量生産の製品です。基本的にどれも同じ形をしているわけですが、割る瞬間に形が変わるわけです。たとえば片方に偏って割れたり、均等に割れたりするんですね。それが割る瞬間に決まる。そして、片方の形が決まればもう片方の形が決まるというのが割り箸の特徴なんですね。一回作られたものは二度とつくられることがないというところに、割り箸が持つ連続/非連続が瞬間的に凝縮されていると思って、それをベースにしています。
具体的には、家で荒んだ一人暮らしをしていて、コンビニでお弁当を買って食べたりして、特に片づける必要がなくて食卓で食べたまま残った箸がある。そういうことが、一日、二日と続いていくと、机の上にあったものがいつのまにか無くなってたりとかしてくわけです。幽霊の仕業とかじゃなくて、何かぶつけちゃったりして箸が片方無くなっていたりするんでしょうね。箸が片方しか残っていないという状況を3Dプリンタを使って修復するというようなことをやっているのが今回展示しているものです。
≪荒んだ食卓を極力なおそう≫というタイトルがついているんですけど、そういったものがいろんな場所に置いてあります。
CIMG4483
CIMG4531
≪荒んだ食卓を極力なおそう≫
イムズ館内に9か所展示しています。設置場所を記した資料をご入場時にお渡ししています。

作家の想いや考えを聞く事でさらに作品への興味や理解も深まることでしょう。
二回目は久門さんのトークをレポートします。お楽しみに♪

展覧会は11月8日(日)までです。一度入場された方も作家の言葉を聞いて、改めて鑑賞してみてはいかがでしょうか。

【展覧会ページ】
みえないものとの対話:
Dialogue with Something Invisible

ニュース&レポート アーカイブ