Local Prospects

会場内のご紹介1

「Local Prospects ―海をめぐるあいだ」会場内の様子を少しずつご紹介してまいります。
今回ご紹介するのは、現実と物語世界が折り重なるビデオ・インスタレーションで台湾やアジアの記憶を再構築する許家維(シュー・ジャーウェイ)の作品です。オープニングレセプションのご挨拶でも述べられていたように、日本では初めての展示となります。

展示作品《鉄甲元帥 – 亀島》(2012年)の舞台となる「亀島」は、中国大陸と台湾の間にある海・台湾海峡にある馬祖島沿岸に位置する小さな島。(Google Map ズームアウトすると位置関係が分かりやすいです)本作では、この小さな島の伝説や歴史を紐解き、映像作品で物語世界と歴史的な出来事の仲介を試みています。

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映像の冒頭には古い祠の室内が登場します。
(以下、作家による解説文より抜粋)
清の時代、この亀島は“鉄甲元帥”を祀る祠のある場所でした。ところが、蒋介石が台湾へ退避したとき(※1949年)に、この祠は近隣の島へと移築され、トーチカ(※軍事施設の一種)が建築されました。

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映画撮影で使われる「緑のスクリーン」(背景を排除するための特別な機材)を用いることによって、作家は島に架空の祠を設置しました。それを背景に、老齢の男性が、福建省の南部(鉄甲元帥が清時代以前に祀られていた寺院があった)に伝わる地方劇の節で、第二次世界大戦の経験について吟唱しています。この長い歴史を持つ伝統的な地方劇は、鉄甲元帥の最愛の娯楽であったと伝えられていますが、映像に映る老人はこの民謡を歌うことの出来る最後のひとりであり、忘れ去られる運命にあります。
ゆっくりと全体が見えていく中で、室内だと思っていた祠が実は合成された架空のものだと映像内で暴露されます。祠の情報はほとんど残っておらず、作家が想像で補ったそう。鉄甲元帥がかつて祀られていた地方の民謡、第二次世界大戦や国共内戦など様々な歴史が作品に編み込まれています。

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壁面には歌詞のほか、作家が鉄甲元帥に作品制作の許可を請う手紙、その手紙に鉄甲元帥がとった反応とされる写真も組み合わされて展示しています。
ぽつんと浮かぶ島を眺めていると、色々な考えがめぐるのではないでしょうか。

【展覧会ページ】
Local Prospects
―海をめぐるあいだ

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