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会田誠+松蔭浩之トークレポート【その3】

5月1日トークのレポートを全3回に分けてご紹介いたします。【その3】では、アルティアムで1999年・2000年に開催した会田誠・松蔭浩之個展を振り返りながら、当時と現在についてお話を伺いました。【その1】【その2】と合わせてお読みください。

(※本文は、本イベントのトークを一部抜粋・編集したものです。)

(会田さん)福岡と北九州も含めて、福岡県は僕のキャリアの早い時期にお世話になりましたね。アルティアムは、僕の初めての公な場所での個展でした。

 

会田誠 個展「道程」1999年/三菱地所アルティアム

会田誠 個展「道程」1999年/三菱地所アルティアム

 

(松蔭さん)アルティアムができた当初、1989年、日本の現代美術界において衝撃的なニュースでしたね。当時、まだ企業メセナが現代美術をサポートすることも多くない時代に、僕ら若手作家をよく採用してキュレーションしてくれたと思うんです。会田誠がアルティアムで個展をやって、その翌年の2000年に椹木野衣さんのキュレーションで「日本ゼロ年」(水戸芸術館)という大きなグループショーに参加した。そこから『美術手帖』で会田誠の特集が組まれるまで注目を集めていったわけですね。同時に結婚、出産、子育てもあるわけで、それこそアルティアムで展覧会をやってからの道のりが本当に長くて濃いね。

(会田)今回の展示で久しぶりにアルティアムに行った時、会場のスタッフに「よそのお店が壁を押しやって、前よりちょっと場所が狭くなったかな?」と真顔で聞いてしまいました。森美術館や東京都現代美術館の広い会場に目が慣れてしまっていて、なんだかアルティアムが狭くなったと感じてしまったんですね。

(会場)

(会田)東京でも商業地区の真ん中にあるビルのアートスペースは狭いものなので、同じことなんですけど、それにしても当時とは違った印象がありました。

(松蔭)今回、福岡で彼が1999年当時の思い出話をしているのを聞いて、これは故郷に帰った人が『青春プレイバック』みたいに思い出を語っているようなものだと思った(笑)。オレも彼の個展のオープニングで、ゴージャラス(松蔭浩之+宇治野宗輝のバンド)としてライブ演奏をやったんです。アルティアムには、当時の懐かしい写真が残っていました。

 

会田誠 個展ギャラリートークの様子(左から会田誠、宇治野宗輝、松蔭浩之)

会田誠 個展ギャラリートークの様子(左から会田誠、宇治野宗輝、松蔭浩之)

(会田)1999年の僕の個展の話でいえば、当時の会場構成は、アルティアムのパーティションをあるだけ全部出して、お客さんにジグザグに展示を進んでもらう構成にしました。絵は引いて見られなくてもいいから、とにかく一点でも作品を多く入れてさまざまな作品を見せたかった。

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会田誠 展示風景/三菱地所アルティアム

会田誠 展示風景/三菱地所アルティアム

 

(松蔭)当時の個展会場で配っていた作品解説のハンドアウトも貴重でしたね。初期の会田誠は、個展をやる時には必ず手描きの解説文を書いていたんです。

 

会場で配布していた会田誠による作品解説 本展に関する作者の蛇足なおしゃべり 1996.6.24 会田誠

会場で配布していた会田誠による作品解説
本展に関する作者の蛇足なおしゃべり 1996.6.24 会田誠

(会田)翌年にアーティスト・イン・レジデンスでアメリカに滞在したんですけど、そこでお客さんにアーティストが解説して回るのはかっこ悪い、会場にポツンと踏ん反り返っているのがアーティストのあるべき姿だという、悪しき勉強をしてきちゃったんです。

(松蔭)現在、彼はTwitterもやっているし著書も出版していますしね。今はもう手書きの文章は書かなくていいよね(笑)続きまして、オレは2000年にアルティアムで個展をやりました。

 

松蔭浩之 個展 「FOREVER」2000年/三菱地所アルティアム

松蔭浩之 個展 「FOREVER」2000年/三菱地所アルティアム

これはフライヤーです。二人とも印刷物のデザイナーが同じ宇治野宗輝でした。個展のテーマは、松蔭浩之が2000年に亡くなった、という設定でした。仮設壁が一枚もない会場に、女性の写真をずらっと並べたんです。発表したての「STAR」もインスタレーションした。

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松蔭浩之 展示風景/三菱地所アルティアム

松蔭浩之 展示風景/三菱地所アルティアム

オレは生まれが福岡の西区ですし、大牟田、久留米と転勤して、小中高は小倉なのでメンタリティは小倉っ子です。2000年にアルティアムで個展をやらせていただきましたけども、実はずっと以前の1990年に当時のディレクターから、「コンプレッソ・プラスティコ」(当時の松蔭のアートユニット)で個展をやらないかとお声かけをいただいていました。ただ同じ時期にベネチア・ビエンナーレに参加することになり、いったんお断りした後であらためて2000年に個展を開催したという流れでしたね。

 

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近年でも会田さん、松蔭さんはアルティアムで2011年に開催した「JALAPAGOS(ジャラパゴス)展」にも出品いただいており、その中で松蔭さんはアーティスト・トークも行っていただきました。また松蔭さんは「街じゅうアート in 北九州」をはじめとする九州での展示・プロジェクトに参加されるなど多岐に渡って活躍されています。

その後、質疑応答も挟みながらトークは盛況の内に終了いたしました。

☆最後にお二人の今後の活動についてお知らせです。

会田さんは現在、小説『青春と変態』以来、20年ぶりに小説の執筆に着手されているとのこと。出版時期はまだ未定だそうですが、文才溢れる会田さんの小説が今から楽しみです。また7月にミヅマアートギャラリーで個展を開催予定。そして、昭和40年会としてお二人とも今年も瀬戸内国際芸術祭に参加されます。

松蔭さんは現在、香川県の男木島図書館で個展「著者近影」を開催中で、好評につき異例の会期延長(9月4日(日)まで)とのことです。さらに大学時代に活動していたバンド「PBC」の復活にむけて準備中とのことでした。

お二人ともに変わらず精力的に活動されており、ますますのご活躍が本当に楽しみです。会田さん、松蔭さん、当日ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

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