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トークイベント九州と震災とアートレポート1

11/6(土)に開催したトークイベントの様子を全4回にわたってお届けします!
最初に登壇されたのは、宮本初音さん。過去の地震に関するご自身の活動を紹介後、今回の熊本・大分地震での活動、アートによる支援についてお話くださいました。

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プロフィール
宮本初音(アートコーディネーター、ART BASE 88 代表)
1962年生、福岡在住。1980年代より街なかのアートプロジェクト等を企画。独立型アートセンター「ART BASE 88」代表。WATAGATA Arts Network、「筑後アート往来」等が進行中。
http://artbase88.wordpress.com/

(以下はトークを一部抜粋・編集したものです。)
福岡でアート企画の事務所、ART BASE 88 を運営しております宮本初音と申します。今年の4月14日と16日の揺れの時は福岡にいました。18日にFacebookで「九州アート相談」というページを開設しました。5月のゴールデンウィーク時期から熊本県益城町の方にボランティアで行くようになり、10月からは益城町の病院に非常勤として通うようになりました。
10月は博多阪急のアートキューブで熊本大分の作家の作品展をおこないました。熊本と大分の作家に限定し、熊本から8人、大分から6人。立体、絵画、ソフトスカルプチャー、映像、書。デパートなんでいろんな方に見ていただける機会がえられました。作家にも評判がよかったし、アート関係者にも福岡であんまり見ない作家の作品に出会えてよかったと言われています。

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2016/04/26 災害ボランティア講座「平成28年熊本地震 災害ボランティア活動に向けて」福岡市NPO・ボランティア交流センター あすみん セミナールーム(福岡市中央区)

実際に福岡でおこなわれたこととしては、まず4月に旧大名小学校で救援物資の受け入れがありました。この写真は「福岡市NPO・ボランティア交流センター あすみん」でおこなわれたボランティアの説明会の様子です。旧大名小学校は非常に賑わいましたし、あすみんも入れないほどの人たちが集まっていました。でも結果的には物資は余りましたし、ゴールデンウィークを境に急速に人が減った。この説明会の時も「あんまり来ないで欲しい」という結論で、聞きに行った人は非常にがっかりして帰っていました。

私が入ったのは日本財団が益城町の自宅避難者と避難所の個別調査をおこなうというものでした。有償ボランティアで行きました。とにかく益城町はいろんなものが大変な状態でした。6月には雨が降って壊れた家が水を吸ってとても大変でした。

2016/06/16 益城町 仮設住宅の設営中。

2016/06/16 益城町 仮設住宅の設営中。

 

2016/06/16 益城町

2016/06/16 益城町

 

2016/06/16 益城町

2016/06/16 益城町

 

Gallery ADOが蔦屋書店熊本三年坂の地下スペースで展覧会活動を再開した。

Gallery ADOが蔦屋書店熊本三年坂の地下スペースで展覧会活動を再開した。

こちらの写真は仮設住宅の建設の様子。熊本市内にギャラリーADOさんというギャラリーがあるんですが、そこが自分のギャラリーは震災で使えなくなったので、熊本市のTSUTAYAの地下で展覧会を再開しました。7月になるとお盆明けに避難所が閉鎖されるということだったのでかなりの方が仮設住宅に移られていきました。まだガレキはあまり片付いていないです。左側の避難所は仕切られていますが人はほとんどいないです。最初はこの仕切りもなかったです。

新しい建物の建設を伝える張り紙。(団地はA〜Fに別れている)

新しい建物の建設を伝える張り紙。(団地はA〜Fに別れている)

 

D地区の集会所

D地区の集会所

 

団地内にあるバス停

団地内にあるバス停

 

団地の様子

団地の様子

 

団地内にあるスーパーマーケット。隣接して個人商店や飲食店がある。

団地内にあるスーパーマーケット。隣接して個人商店や飲食店がある。

これは10月に行った時の益城町のテクノ仮設団地の様子です。AからFまで分かれていて、かなり大きな団地です。私たちはD地区にお邪魔しました。バス停があって、巡回バスが走っています。スーパーマーケットもあるんですが、がっかりしたのは入った真正面に出来合いの幕の内弁当が売ってるんですよ。それって避難所でいつも配られていたお弁当とほとんど一緒なんです。生鮮食品がほとんどない。あとはカップ麺とペットボトルしかなくて。仮設に入ってそういう生活から抜け出して自分たちでご飯を作るようになったはずなのに、こういうつくりなんだなってがっかりしました。D地区の方とはバーベキューをして、普通に宴会もしました。おひとりずつ地震の前後の話をすると、涙ぐまれる方もいらっしゃいました。

先ほど説明したFacebookページ「九州アート相談」なんですが、編集メンバーはこちらに書いてある通りで福岡熊本大分のアート関係者、報道関係者の方です。自分が目に付いた記事や見聞きした熊本、大分の様子を書き込んでいただいて、現場の声をなるだけ近い所で聞くことができたらと作りました。しかしあまり当事者からは直接の利用はありませんでした。

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初期のころは主に被害状況。徐々に復興の報せがメインになってきた。

初期のころは主に被害状況。徐々に復興の報せがメインになってきた。

左側に挙げている記事が熊本市現代美術館の坂本顕子さんがシェアしてくれた記事です。九州美術ゼミナールという予備校の石膏像が壊れてしまったのでこれに対してヘルプを出されたんですが、あっという間にシェアされて広がりまして。いろんな方から連絡があって、坂本さん自信がシェアをストップしてくださいと言っているという投稿ですね。結果的にこれが一番シェアされた記事になっています。
4/18にスタートして11/5までの時点で全部で342件の記事があります。記事件数としては4月に圧倒的に多く翌月には半分以下。6月にはまだ67件あるんですが、7月から9月はもう一桁です。10月は半年ということもあって盛り返していますが、がくっと落ちていて、これが関心の度合いを示しているのではないかと考えています。内容はまだ吟味できていないので、それについてはまた別の機会に発表しようと思います。

アートによる支援ということは、地震直後から何度か口にしているんですけど、考えるときに出てきたキーワードを幾つか挙げています。

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アートに関わるような支援をやった場合に、本当にそれが受け手にとっていいことなのか。「東北では?」とクエスチョンをつけているのは、東北ではあまり表には出てきませんけれども、「余計なことだった」とか、「木を植えたりしても何の意味もない」とか、現場では不満も結構あるみたいで。やっぱりニーズがどうなのかなということですね。

福岡からだとかなりの方が行ってはいるんですけど、個人で動いている方が多くて、誰がどう動いているのかがわかりにくいというのと、受け手のニーズがわかりにくい。それから、立場、博物館美術館やホール、大学といった組織だったところの人たちは、他の地域の知恵の出し合いがある程度できると思うんですけど、ある程度バラバラであるアートファンの市民とか、ファンでもない市民っていうのは声を出しにくい。
それから美術系のアーティストは個人で活動している方が多いので、これくらいは我慢しなきゃっていうことで、あまりどういう被害が起きているかが伝わってこないです。

構想中のアイデアとして挙げてみます。
釜山にTOTATOGAといういろんなアーティストを束ねている組織があって、そこが主催して貧困家庭にデリバリー型サービスをしているのですが、これを応用できないかという案です。
絵を描いたり、音楽を演奏したり、踊ったり、映画を上映したりっていうプログラムを持っていて、受け手である貧困家庭の方に選んでもらって、そこへアーティストが来てやるというプログラムなんですけど、この仕組みを利用して、仮設とかみなし仮設のかたとか。特にみなし仮設の方はバラバラな状況に置かれているので、そういうことができないかなと考えています。

緊急事態が発生して半年、長期的な支援の段階に今は変わってきています。発生当初より、よくボランティアの話が出てきます。ボランティアというよりは、プロの仕事が必要になっているなと現場に入ると思います。そういう緊急のときにどうするかっていうことは普段から考えておく。同じエリアで他ジャンルの人と交流する、違うエリアで同じジャンルの人と交流するという、やっぱり普段からまたいでいくような活動、視点がいるのかなと。テーマを掲げたイベントがあるといいなと思うのが、結局お祭りとかがおこなわれる仕組みが社会の中にあると、防災上も、被害を受けた後の回復にとっても役に立つのかなと。
私個人はアートと医療の両方に関わっていますが、今まではその二つは割とバラバラに考えていて、あまり融合させることはしなかったんです。が、ジャンルにこだわってられないなと私も思って、これから先はその二つを融合できる方向で個人的にも動いてみようかなと思います。以上です。

トークレポートは第2回以降へと続きます。ぜひご覧ください!

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