トンコハウス展

長砂賀洋さん ギャラリーツアー レポート

8/25(土)にトンコハウスのコンセプトアーティスト長砂賀洋さんをお迎えし、ギャラリーツアーをおこないました。終了後に開催したライブペインティング&サイン会と合わせて、レポートします!

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福岡は初めてという長砂さん。参加者と会場をまわりながら、ここぞとばかりにたくさんの制作秘話を打ち明けてくださいました。なかには、ここだけの話という内容もありましたが、以下、一部抜粋・編集してお届けします!

ー「光」と「影」のためのマケット

(長砂賀洋さん)2Dアニメーションで、なぜ「マケット」をつくるのか。傾向として、日本のアニメは平面的な捉え方をしますが、海外のアニメは西洋絵画がベースになっていて、「光」と「影」が基本にあります。どういう影の入り方をするか、特に短編映画『ダム・キーパー』は、フルペイントで光を表現しているんですよね。キャラクターにどういう光が当たって、どういう影ができているか。マケットを見ることで、光や影の入り方を理解することができます。
というと、ちゃんとマケットを作ってもらえるので、そう言いますけど(笑)。一方で、制作スタッフのテンションが上がるから、楽しいからという理由もあります!制作スタッフのテンションが上がるというのは重要で、現場が楽しくないと良いアニメーションはできないんですよね。

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ーCG制作は世界の仕組みを知ること

(長砂さん)(会場の長編テスト映像を見ながら)これは長編映画に向けて、東京のアニマさんという制作会社とコラボレーションしてテスト用に作りました。このクオリティのCG映像を制作するには、非常に高い技術が必要で、日本の会社とこのような3DCGの映像を作れたことはものすごく意味のあることだと思います。
平面の絵は、割と感覚的に描けるところもありますが、CGは全て具体的になるんです。例えば、ブタくんは、この3DCGのアニメーションで見ると、毛が生えています。他にも、着ているデニム生地のオーバーオールの縫い目がどれくらいの大きさになっているか、具体的にひとつひとつ考えていかないといけないんですね。そういう面では、知識や作業がより必要になってきます。だから、CG映像を作るのは世界を知ることに近い。世界の仕組みを勉強することにかなり近いんですよね。

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ー堤大介さんとロバート・コンドウさん

(長砂さん) 堤さんとロバートは、トンコハウスを代表する二人で、同じコンセプト・アーティストですが、実は役割が違っています。ロバートはピクサーではデザイナーだったのですが、この線画はロバートが描いたもので、世界観の構造をつくるための絵です。(絵の中には、まるで設計図のようにストーリー設定の説明が描かれている)
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ペインターとして堤さんが描いた色が付いている絵は、世界観の雰囲気、匂い、光をつくる。
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デザイナーとペインターで分かれているのは、デザインする能力と、ペイントする能力が違うからです。二人の異なる才能が奇跡的に合わさって、気が合って、会社をつくるというのは、絵描きからしたらとても羨ましい、すごいことだと思います。

 

ー短編映画『Moom』

(長砂さん)最近では『君の名は』でも知られる、映画プロデューサー・川村元気さんが文章を書いた絵本『ムーム』(2014年、白泉社)があります。この絵本を短編映画にした作品『Moom』で、僕はアートディレクターとしていろんな絵を描きました。これはフルCGで作っていて、トンコハウスと日本のマーザさんという会社と制作しました。
これは『Moom』の 「エモーショナルチャート」と「カラースクリプト」と呼ばれるものです。これらはセットのようなもので、大人数のスタッフとどういう映画を作りたいかということをシェアするために、この二つがあります。 エモーショナルチャートは、縦線が観客の心の動き、悲しい時と嬉しい時。横線が時間になっています。グラフにすることで、一番高いところで観客が一番テンションが高い、というふうに設定します。音楽と一緒で、曲にはイントロがあり、サビがあり、アウトロがありますよね。観客に物語を飽きずに見てもらうために画面にどう写すかをエモーショナルチャートで、全スタッフで共有するわけです。 それで、カラースクリプトで、こういう絵が入りますというのを具体的に示していく。『Moom』で照らし合わせてみると、感情的に最も高ぶるところで花火が上がっています。そういったことを、この二つで、スタッフ同士でより共有していきます。僕の仕事はこういうことがメインですね。

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ギャラリーツアー終了後、ライブペインティングをおこないました。長砂さんは、来場者からの質問に答えたり、エピソードを話したり、お話をしながら描くスタイルで、オーディエンスを終始楽しませてくださいました!
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長砂さんがアートディレクターを務めた短編映画『Moom』に登場するムームやルミン、そして『ダム・キーパー』のブタくんたちが共演したイラストを描いてくださいました!「TONKO(TSU) HOUSE」の仲間たちのイラストは会場でお楽しみください♪

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サイン会では、これまでに来場したトンコハウスの皆さんのサインが揃った書籍を持参されたファンの方の姿も。ここでも『Moom』からムームやルミンを描いてくださっていました。
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エリック・オーさんにはじまり、総監督である堤大介さん、福岡出身の中村俊博さん、そして最後に長砂賀洋さんと、会期中にトンコハウスファミリーが続々と来場してくださいました。『ダム・キーパー』の長編作品など、トンコハウスのこれからが本当に楽しみです! 本展では、制作途中の作品も含めて、作品の制作過程やマケット、スケッチなども展示しています。会期は9/2(日)まで。どうぞお見逃しなく!

【展覧会ページ】
トンコハウス展
「ダム・キーパー」の旅

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