バスキアとNYアーティストたち

オープニングレセプション レポート

開幕初日9/8(土)にローランド・ハーゲンバーグさんをお迎えし、オープニングレセプションをおこないました。その模様をレポートでお届けします。
(以下はオープニングレセプションでのトークを一部抜粋・編集したものです。)

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(ローランド・ハーゲンバーグさん)本日はお越しいただき、ありがとうございます。ローランド・ハーゲンバーグです。このような機会をいただき、感謝します。
こんなに多くの方に興味を持っていただき、感動しています。過去の思い出に浸るように感傷的に80年代を振り返ることもありますが、そうした気持ちとは別に、80年代のNYには、確かに独特で特別なものがありました。そのことについて、少しお話したいと思います。
当時、成功したいと願うアーティストにとって、NYにアトリエを構えてキャリアを築くということは必須であり大前提でした。NYはそういった世界で唯一の場所でした。
時代を遡ると、1940〜1950年代の芸術の中心はパリでした。例えば、ピカソやマチスなどの有名な巨匠たちも、その時代にパリで活躍していました。時代は変わり、特に音楽の分野からロンドンに芸術の中心が移りました。その後、ベルリンに移行し、70〜80年代には芸術の中心地がNYになりました。
今はどうでしょうか。インターネットが普及し、スマートホンがあり、どこにスタジオを構えても大差はありません。アーティストはどこでも展覧会を開催できますし、飛行機でどこにでも行くことができます。スカイプでのやりとりも可能です。私個人の考えですが、そういった意味で、歴史の中で、NYは「アーティストにとって、そこに居なければいけない場所」という最後の都市であったと考えています。

私もその一人で、アーティストとして夢を抱え、80年代にNYに渡りました。アンディ・ウォーホルなどの有名なアーティストに会いたいと思うと同時に、自分自身も有名になりたいという野望を持ち、成功を夢見て、NYに向かったわけです。そういった、すべての人が夢を見ることができる、魅力のある都市がNYでした。
同時に、危険な街でもありました。強盗事件が多発し、ドラッグ中毒者も多くいましたし、エイズなどの病気も広がりつつありました。NYは、危険と隣り合わせた街でありながら、ロマンチックな生活を夢見られる街。そういったイメージを抱いて、ヨーロッパや南アフリカなど世界各地から、NYのソーホー、イーストヴィレッジ、マンハッタンを目指して、アーティストたちが集まってきていました。
往々にしてこうしたアーティストは3人くらいでロフトを借り、生活し、制作していました。
私が見ていた限り、ほとんどのアーティストは、大体お昼の12時くらいに起きて、午後に制作し、夜はディスコのパーティーに繰り出していました。このディスコが、今でいうインターネットの役割を果たしていたと思います。情報収集ができ、いろんな人に会える。ウォーホルやキース・ヘリングにも会える重要な場所、それがディスコでした。名刺を交換し、新しいネットワークを作ったりということができました。

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当時の私はいつもカメラを持ち歩いていました。今はみんなスマホを持っていますが、当時はカメラを持ち歩くこと自体珍しかったと思います。そういった状況下で撮影した写真を、今回展示しています。当時はモノクロフィルムも高価で貴重なものでした。今のようにスマホで簡単にたくさん撮った中からベストの一枚を選ぶのではなく、常に集中して構図を考え、カメラのシャッターを押していました。いろいろな話を伺ったあとに写真を撮ったので、被写体と私の間に緊張感のない、ありのままの作家の姿が撮れたのではないかと思っています。
当時、私はドイツのスターンという雑誌社から仕事の依頼を受け、働いていました。はじめは、ライターとして執筆活動だけをおこなっていました。ある日、取材の日にカメラマンが来なかったんです。その時、ライターとしてそこにいた私が、持っていたカメラで代わりに写真を撮ることになりました。それ以来、ライターとフォトグラファー両方の活動をおこなっていくことになりました。
ご存知のように、『VOGUE』などの大きな雑誌は、ライターとカメラマン両方の仕事を一人に担当させることを好みません。個別に依頼することが多いため、なかなか両方担当することは叶わないことが多いのですが。

最後に、一番奥に展示している短い映像は、バスキアのインタビュー音声です。当時インタビューはカセットテープに録音していました。全体では約50分あるインタビューの中から、前半3分をまとめています。単なる質疑応答という単調なものではなく、ディスカッションしている生き生きとした生の声です。バスキアが感情的になり、怒り出し、そして鎮まっていく場面もあります。どうぞご覧ください。

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ご挨拶のあとは、来場者の質問に答えたり、本展のために作ったパンフレットにサインをされたりと、来場者とのやりとりを楽しまれていました。
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会期は10/21(日)まで。※10/16(火)は休館日。
併設ショップでは、本展で展示しているポートレート作品が収録されたパンフレットのほか、バスキアやウォーホル、キース・ヘリングなどの関連グッズも販売中です。日本初公開の貴重なポートレート写真をぜひ会場でご覧ください!

【展覧会ページ】
バスキアとNYアーティストたち
Roland Hagenberg 写真展

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