田根 剛|未来の記憶

田根 剛 トークイベント レポート1

初日に開催した『田根 剛 トークイベント「Archaeology of the Futureー未来の記憶 Image & Imagination」』の模様を3回に分けてお届けします。第一回目は、トークの導入として建築家の田根剛さんにプレゼンいただいたご自身の設計事務所や本展のテーマやマニフェストについてご覧ください。


Atelier Tsuyoshi Tane Architects

(田根剛さん)オフィスはAtelier Tsuyoshi Tane Architectsという名前で、パリに拠点があります。フランス、日本、イタリア、オーストラリア、カナダやキプロス島など様々なところから集まった30数名のスタッフがいます。若い世代を中心に、異なる文化や背景を持ったスタッフが集まり、一緒に建築を考えています。
デジタル化が進み、コンピューターでの設計作業も多いですが、しっかりと自分たちの手を使いものを考えながらつくっていこうと思い、「アトリエ」を事務所の名前の最初につけました。また、「アーキテクツ」には、建築家として未来、次の時代を考え、つくっていこうとする意思を持った集団でありたいという想いがあります。
つくることからものの始まりがあると思っています。つくりながら考え、考えたものを図面に起こし、建築に展開することを日々の仕事としています。

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展覧会のテーマ

今回の展覧会のテーマは「Archaeology of the Future」です。「アーキオロジー」は「考古学」や「遺跡」などの訳がありますが、今回は展覧会に向けて「記憶」と意訳し、「未来の記憶」というタイトルにしました。
建築が生まれるときに、遺跡発掘現場のように、その場所を掘り返していく。過去を掘り返すことで、遠い時代や、現在の場所や時代にはなかったものが発掘される。考古学の発掘現場では、発掘されたものによって、それまで与えられてきた歴史を塗り替えることがあります。建築においても、この建築をつくることによって未来が変わるかもしれない。
そう考えたときに、考古学的なアプローチを「Archaeological Research(考古学的リサーチ)」と呼び、設計のプロセスを始める前に、その場所にまつわる様々なものを文脈だけでなく、ありとあらゆるものを調べ尽くします。気になったもの、発見したもの、そこから関係、発展したものなどを考察し、類推することで、多くの知らないことを知っていくという作業です。

去年の秋に15年間続けてきた仕事を東京の二会場で展示しました。単純に仕事を紹介するより、時代を切り取る「展覧会」というフォーマットを使って、「この時代、建築が何を考え、何を志すのか」を示すチャレンジの場にしたいという思いがありました。
東京オペラシティ アートギャラリーでは、サブタイトルを「Digging & Building」とし、掘り下げていくことと、未来を立ち上げていくことをテーマに。建築の専門ギャラリーであるTOTOギャラリー・間では、サブタイトルを「Search & Research」とし、仕事の考察のプロセスを探索していく作業と、リサーチという実験のような作業を見せ、同じ展覧会テーマ「Archaeology of the Future」で、二館違う側面を提案しました。

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展覧会のマニフェスト

展覧会のメッセージは、『記憶』、何かを覚えていること、それは単に過去を覚えているだけではなくて、「記憶は未来をつくるためにあるのではないか」という問い掛けです。展覧会を構想していく中で、このメッセージをいかに伝えるかを考えてきました。
そして今回、アルティアムの展覧会サブタイトルは、「Image & Imagination」としました。一見似た言葉ですが、「Image」は、ものを視覚的にみること、または見なくても自分の中でイメージできること、図像としてのイメージ。そして、「Imagination」には、想像力によってイメージを乗り越えたいという思いがある。東京会場とは異なるサブタイトルと展示構成で伝えようとしました。

また、作品集を初出版し、展覧会で考えてきたこと、見せてきたものを1冊の本にまとめています。単なるプロジェクトの紹介ではなく、建築が持つ形式や言語を、マニフェストやコンセプト、イメージ、ドローイングなど異なる役割を持ったフォーマットで表現した本です。

 

レポート第二回目は、池田美奈子さんをお迎えした対談に続きます。

【展覧会ページ】
田根 剛|未来の記憶
Archaeology of the FutureーImage & Imagination

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