音と旅する鉱物展

会場レポート

好評開催中の本展、会場を構成する4つの部屋に分けてレポートします!九州大学総合研究博物館の鉱物コレクションや原摩利彦さんによるサウンドスケープについて、本展をよりお楽しみいただく鑑賞の一助としてお読みください。

—HISTORY

最初の部屋は、展覧会のイントロダクションとして「HISTORY」と題し、九州大学で使用されていた古い引出し棚に鉱物を展示しています。
九州大学総合研究博物館は2000年に設立。750万点の標本・資料を有し、収集は1911年の旧九州帝国大学創立以来100年以上に渡ります。そのうち、鉱物標本は約9,500点所蔵されており、その中から150点を展示しています。
福岡市東区箱崎にある同博物館は、平日一部の常設展示室が開いておりますが、今回お借りした鉱物は通常一般公開されていないものです。本展は、同博物館の中西哲也先生に学術的な観点からご協力をいただいています。

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展示している鉱物:蛍石、紫水晶、黄鉄鉱、石膏、虎目石、孔雀石など

 

—TIME #1 内包された時間

二つ目の部屋「TIME #1 内包された時間」に展示している鉱物は、珪化木、隕鉄、天河石です。音楽家・原摩利彦さんが本展のサウンドスケープを担当しています。原さんは同館を二度訪れ、展示する鉱物のセレクト、展示構成の検討など企画協力いただきました。
ここでは3つの展示台の中に振動スピーカーを設置しています。台の天板と鉱物を振動させることでそれぞれの鉱物から音がするかのように響きます。植物が時を経て鉱物になった珪化木は水中マイクで録音した水の音、隕鉄はNASAのサウンドアーカイヴより星の光の変動を音に変換した音をさらに編集した音、天河石はシンセサイザーの音を中心に、作曲しています。

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展示している鉱物:珪化木、隕鉄、天河石

 

—TIME #2 時間が止まった森

三つ目の部屋「TIME #2 時間が止まった森」では、時代や産地が異なる大小様々な鉱物を展示しています。ここでは、原さんがフィールドレコーディングで集めた雨、風、波の音やシンセサイザーの音を編集して使われています。佇んでいると「ゴゴー」と低くうごめくような水の音が聴こえて、しばらくすると音が止まり静寂がおとずれます。温度、重力などの環境要因で、途方もない時間と条件により鉱物が生成されたことにふと思いをはせてしまいます。各部屋の音が重なり合っても美しく聴こえるように工夫が凝らされています。

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展示している鉱物:松岩、チムニー、模樹石、菱亜鉛鉱など

 

—SPACE

最後の部屋「SPACE」は13の什器に約80個の多種多様な鉱物が並びます。ここでは、水平方向に音が広がる4つの無指向性スピーカー、直線的に音が跳ね返るような2つの超指向性スピーカー、計6個のスピーカーから立体的に聴こえる音が空間を満たしています。原さんが実際に博物館を訪れた際に讃岐石を叩いて録音した音の他に動物の声、ピアノなどの音がします。音の編集と一言で言っても、低い音を削る、オクターブを下げる、別の音と重ねるなど様々な方法があります。加えて、その場でどう響かせるか、鑑賞という視覚的な部分に音をどう作用させるかということにも思いを凝らして構成されています。自由に想像をめぐらし音に耳をすませながら、鉱物がここまで経てきた時空を旅するように過ごしてみてください。

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天青石

天青石

曹灰長石 photo: Koichiro Fujimoto

曹灰長石

展示している鉱物:天青石、輝安鉱、曹灰長石、黒水晶、ソーダ珪灰石、白雲母、方解石、緑柱石など

 

会期は1/26(日)まで。最終週末は混み合うことが予想されます。ご都合のつかれる方は平日のご来場をおすすめします。ご来場、お待ちしております。

photo: Koichiro Fujimoto

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